キングダムファンなら誰もが一度は「えっ、今どこから出てきたの?」と叫びたくなったことがあるはずです。
特に趙の天才軍師である李牧(りぼく)が、まるで魔法を使ったかのように戦場のど真ん中に現れるシーンは、ファンの間で「李牧ワープ」という愛称(?)で親しまれるミームになりました。
今回は、そんな李牧さんの華麗なるワープの軌跡を、最新の展開まで含めて徹底的に掘り下げていきたいと思います。
古参ファンも最近読み始めた方も、この「時空を操る軍師」の正体に一緒に迫ってみましょう。
キングダム考察ネタバレ|李牧ワープ1:朱海平原・麻鉱将軍
■朱海平原を激震させた「第一のワープ」:麻鉱将軍の悲劇
まずは、李牧ワープの伝説が決定定的になった朱海平原の戦い、第530話前後を振り返ってみましょう。
秦軍の総大将である王翦の第一側近、あの強面で鳴らした麻鉱(まこう)将軍が、優勢に戦いを進めていたまさにその瞬間でした。
何の前触れもなく、視界が開けた平原に李牧本人が数騎の精鋭だけを連れて「ひょっこり」現れたのです。
気づいた時にはもう遅く、麻鉱の首が宙を舞うという、読者全員が「は?」と声を漏らす衝撃的な展開でした。
大軍がひしめき、何重もの警戒網が敷かれているはずの最前線に、敵の総大将がステルス機能付きの暗殺者のごとく忍び寄るなんて、普通に考えたらありえませんよね。
このシーンは当時のSNSや2chでも「李牧、テレポート習得かよ」「キングクリムゾンで時間を飛ばしただろ」と大荒れになりました。
私もこの回を読んだ時は、あまりの理不尽さに「おいおい原先生、それはやりすぎだよ!」とスマホを放り投げそうになったのをよく覚えています。
キングダム考察ネタバレ|李牧ワープ2:朱海平原・馬南慈軍
■王翦本陣への恐怖:馬南慈軍が森を越えてやってくる
一度味を占めたのか、ワープ芸はさらに磨きがかかっていきます。
朱海平原の戦いの終盤、第614話から615話あたりでは、今度は李牧の副官である馬南慈(ばなんじ)軍がワープを披露しました。
王翦がどっしりと構える本陣の背後に、それまで別の場所にいたはずの馬南慈軍が、森を迂回して突如として現れたのです。
これも演出としては凄まじい絶望感でしたが、読者からは「またワープかよ」というツッコミの嵐が巻き起こりました。
一応、次話で「地形を利用した隠密移動」という種明かし的な説明が入るのですが、あの規模の軍勢が移動してきて誰にも気づかれないのは、やはり時空を歪めているとしか思えません。
趙の馬は秦の馬より速いという「趙の馬最速伝説」もこのあたりで強調され始め、ワープの正当化に使われるようになりました。
納得できるような、できないような、そんなもどかしさがキングダム考察の醍醐味でもありますね。
キングダム考察ネタバレ|李牧ワープ3:番吾の戦い
■番吾の戦いで見せた「神速」を超える移動術
物語が進み、趙北部の番吾(ばんご)の戦いになると、李牧の移動スピードはもはや「神速」の域を超えていきました。
秦軍の想定を遥かに上回る早さで、李牧やその側近たちが戦場の重要拠点に現れ、完璧な包囲網を完成させる描写が繰り返されます。
読者の間では「もう移動経路を考えるのは無駄だ」「李牧は異世界を経由してファストトラベルしている」なんて言われる始末です。
知略型のはずの李牧が、自ら物理的な高速移動を駆使してチェックメイトをかけに来るスタイルは、ある種の「必殺仕事人」のようにも見えてきました。
ここまで来ると、ワープは単なる批判の対象ではなく、李牧というキャラクターの「お約束」として受け入れられ始めた気がします。
「次はどこにワープしてくるかな?」と予想するのが、ある意味での楽しみ方になってしまったのかもしれません。
キングダム考察ネタバレ|李牧ワープ4:邯鄲戦
■最新話・第877話:王都・邯鄲の背後から現れた召喚士
そして記憶に新しいのが、第877話での衝撃的な再会です。
信率いる飛信隊が、趙の王都・邯鄲(かんたん)の巨大な城壁を前に「ついにここまで来た!」と士気を高めていたその時でした。
信が「ん?」と異変を感じて振り返った先には、なんと李牧本人がポツンと立っていたのです。
しかも、その次のコマでは、李牧の背後に数万規模の大軍勢が「無」から湧き出るように出現しました。
単独のワープから、ついに「大軍召喚ワープ」へと進化を遂げた瞬間で、これにはアンチだけでなくファンも苦笑いするしかありませんでした。
遮るもののない平地で、あれだけの大軍が接近するまで斥候(せっこう)にもかからないなんて、李牧さんはステルス迷彩でも開発したのでしょうか。
信の「わあ」という間抜けなリアクションも相まって、シリアスなはずのシーンがギャグに見えてしまうという、作劇上のマジックが起きていましたね。
キングダム考察ネタバレ|なぜ李牧ワープが起きる?
■なぜここまでネタにされるのか?作劇上の「ステルス」問題
そもそも、なぜ「李牧ワープ」がこれほどまでにネタにされ続けているのでしょうか。
一番の原因は、やはり「移動プロセスの全カット」にあると私は考えています。
どうやって見張りを潜り抜けたのか、どの道を通ったのかという論理的な説明が省かれ、唐突に「ハイ、登場!」と描かれるため、読者の脳内で整合性が取れなくなるのです。
また、知略で勝負するはずのキャラクターが、最終的に物理的な「位置取りのズル」で勝ってしまうように見えるのも、反感を買う理由かもしれません。
王騎をハメた時のように、年密な準備と情報封鎖で追い詰めるのが李牧の真骨頂だったはずですが、最近は「ワープ」という便利ツールに頼りすぎている感は否めません。
それでも毎回トレンド入りするあたり、李牧というキャラの注目度の高さはさすがの一言に尽きますね。
■なぜ「ワープ」が必要だったのか?メタ的な視点からの考察
さて、ここで少しメタ的な、つまり作者の視点に立った考察をしてみましょう。
なぜ原泰久先生は、読者にツッコまれると分かっていて「ワープ」を多用するのでしょうか。
それは、圧倒的に強力になった秦軍(特に飛信隊)を、一瞬で絶望の底に叩き落とすための「演出上の必要悪」だからではないかと思うのです。
戦記物としてのリアリティを追求しすぎると、李牧が何日もかけて行軍する描写が必要になり、物語のテンポが損なわれてしまいます。
「一瞬で戦況がひっくり返る衝撃」を読者に与えるためには、物理法則を多少無視してでも、李牧を意外な場所に配置しなければならないのです。
また、李牧を「人知を超えた怪物」として描くことで、彼を倒した時の達成感を最大化しようとしているのかもしれません。
ワープは、李牧という「最強の壁」を維持するための、作者なりの苦肉の策であり、最大の武器でもあるのでしょう。
キングダム考察ネタバレ|史実の李牧
■史実の李牧とキングダム版の違い:悲劇の将から最強のワープ使いへ
ここで少し、現実の歴史に目を向けてみましょう。
史実の李牧は、戦国四大名将の一人に数えられるほどの実力者で、主に北方の匈奴対策や秦の侵攻を食い止める防衛戦でその才能を発揮しました。
肥下の戦いや番吾の戦いで実際に秦軍を撃破しており、彼が健在な間は、秦は趙を滅ぼすことができなかったほどです。
しかし、その最期はあまりにも悲劇的で、秦の策略による讒言(ざんげん)を信じた趙王によって処刑、あるいは自害に追い込まれてしまいます。
キングダム版の李牧は、この「不敗の守護神」というイメージをベースにしつつ、物語のラスボスとして大幅に強化・アレンジされています。
史実では「守り」の人でしたが、漫画では「ワープ」を駆使したアグレッシブな暗殺者としての側面が強調されていますね。
作者の原先生にとって、李牧は連載のきっかけとなった読み切り時代からの思い入れの深いキャラクターだそうです。
だからこそ、歴史上の悲劇の英雄を、漫画の中では「信たちの最大の壁」として、あえて泥臭く、そして最強に描いているのかもしれません。
まとめ
■愛すべき「ワープ」と共に趙滅亡を見届けよう
いかがでしたでしょうか、李牧ワープの歴史を辿ってきましたが、やはりこのネタはキングダムという作品を語る上で欠かせない要素です。
理不尽だと言いつつも、李牧が現れるたびに私たちは「うわ、また来た!」「どうやって勝つんだこれ!」とドキドキさせられています。
演出としてのインパクトと、物語を動かすスピード感のために生み出されたこのワープは、ある意味でキングダムのダイナミズムを支えていると言えるでしょう。
趙の完全攻略戦もいよいよ大詰めを迎え、李牧という巨大な壁がどう崩れるのか、あるいはさらなる驚愕のワープを見せるのか。
これからも、原先生が描く最高に熱くてツッコミどころ満載な戦場を、一話一話噛み締めていきたいと思います。
李牧さん、次は咸陽(かんよう)の王座の後ろにワープしてきたりしないでくださいね!
