Netflix映画『84m2』について気になっている皆さん、こんにちは。
今回は、最近Netflixで配信が開始され、その「リアルすぎる恐怖」で話題になっている韓国映画『84m2』(ウォール・トゥ・ウォール)について、そのあらすじから衝撃のラスト、そして見どころまで、映画好きの僕が深掘りして解説していきますね。
この作品、観終わった後に自宅の壁に思わず耳を当ててしまうほど、日常に潜む恐怖を巧みに描いていますよ。
『84m2』とは? あらすじを徹底解説
まず、この映画の根幹となるあらすじからご紹介しましょう。
主人公は、30代の平凡なサラリーマン、ウソン。
彼は長年の夢だったマイホーム、ソウル市内の84m2のアパートを、退職金の前借りや社員ローンなど、文字通り「人生の全て」を注ぎ込んで購入します。
婚約者もいて、順風満帆な未来が待っているはずでした。
しかし、数年後、彼の人生は一転します。
マンションの価格は暴落し、ローン金利は18%という殺人的な水準にまで跳ね上がり、給料だけでは到底返済できない「ハウスプア」と呼ばれる状態に陥ってしまいます。
ウソンは昼は会社員、夜はフードデリバリーのアルバイトを掛け持ちし、電気代を節約するために家では照明もつけないような極貧生活を送ります。
そんな精神的にも肉体的にも追い詰められた彼をさらに苦しめるのが、夜ごと響き渡る正体不明の「騒音」です。
時には上階から、時には下階から聞こえるその音に、ウソンは眠れない日々を送ります。
さらに悪いことに、他の住民たちは、その騒音の元凶がウソンだと決めつけ、彼に苦情を突きつけ、敵意を向けるようになります。
孤立無援の状況に追い込まれたウソンは、騒音の真犯人を探し出そうと奔走します。
この過程で、彼は上の階に住む男ジンホや、最上階のペントハウスに住む住民代表のウンファと出会います。
彼らを巻き込みながら真実を追求していく中で、ウソンは借金返済のためにGBコインという仮想通貨に全財産を投資するという、さらなる危険な賭けに出ます。
しかし、この投資は失敗に終わり、彼は全てを失い、自殺すら考えるほど絶望の淵に突き落とされます。
そして、彼が知ることになるのは、騒音問題の背後に隠された、想像を絶する巨大な陰謀でした。
84m2(映画)最後の結末の意味は? 驚きの真実と主人公の変貌
この映画の核となるのが、まさに「騒音の正体」と「衝撃のラストシーン」です。
結論から言えば、騒音の真犯人は、ウソンの上の階に住むジャーナリストのジンホでした。
彼はハッキングしたインターホンを使って、様々な部屋に意図的に騒音を流し込んでいたのです。
では、なぜジンホはそんなことをしたのでしょうか。
彼の目的は、かつて自身の不正を隠蔽した元検事のウンファに復讐することでした。
ウンファは現在、このマンションの住民代表を務め、手抜き工事を行う業者から賄賂を受け取り、複数の物件を所有して利益を得ようとしていたのです。
ジンホは、ウソンを「全財産を投じてマンションを購入した挙句、騒音に悩まされ精神を病んでいく若者」という、現代社会の苦しみを象徴する「完璧なメッセンジャー」として利用しようと企んでいました。
彼はウソンを狂気に追い込み、最終的には殺人を犯すように仕向けて、その顛末をスクープしようとしていたのです。
そのため、ジンホはウソンの部屋に隠しスピーカーを設置したり、下の階の住人に金を払って騒音の苦情を言わせたりしていました。
物語はクライマックスで衝撃的な展開を迎えます。
ジンホは自分の計画を邪魔する協力者(下の階の住人)を殺害し、その罪をウソンになすりつけようとします。
しかし、ウソンは機転を利かせ、ジンホにウンファを犯人に仕立てるよう提案し、共にウンファのペントハウスに侵入します。
ウンファの不正を示す帳簿を探す中で、ジンホはウンファの夫を殺し、そしてウンファ自身も刺殺します。
ジンホもまた重傷を負って倒れますが、ウソンは彼を助けようとはしません。
ここでウソンがとった行動が、この映画の最も衝撃的な部分です。
彼は、ウンファの不正を示す帳簿と、自身のマンション売買契約書を含む全ての証拠をオーブンで焼き払い、ガス栓を開けて部屋ごと爆破します。
これによって、全ての罪は死んだジンホとウンファに帰され、事件は闇に葬られることになります。
ウソンは退院後、一度は田舎の母親の元に身を寄せ、久々に平穏な眠りにつきます。
しかし、映画のラストシーンで、彼は再びソウルの自分の部屋に戻ってきます。
そこで、彼は再び上下の部屋から聞こえる「ドン、ドン」という騒音を聞き、狂気じみた高笑いを響かせます。
このラストシーンは、様々な解釈ができますが、僕が最もゾッとしたのは、騒音の正体が、もはや物理的な音ではなく、現代社会が個人に課す「静かな圧力」や「絶え間ないストレス」のメタファーだということです。
ウソンは騒音の原因を取り除いたはずなのに、結局、資本主義の歯車として、借金や社会的なプレッシャーから逃れることはできません。
彼の高笑いは、まさにその「どうしようもない現実」への絶望と諦め、そして彼自身もまた、その狂ったシステムの一部となってしまったことを示唆しているように感じられました。
また、彼が劇中で青い錠剤を飲んでいたことや、現実と妄想の境界が曖昧に描かれていることから、一連の出来事の一部、あるいは全てがウソンの精神的な錯乱による「幻覚」であった可能性も示唆されています。
僕たちが生きるこの社会自体が「狂っている」のかもしれない、という問いが残されます。
84m2(映画)の見どころはここだ!
さて、この映画を観る上で、僕が特に「これは見どころだ!」と感じたポイントをいくつかご紹介しますね。
まず、何と言ってもその「リアルすぎる恐怖」に尽きます。
「隣人トラブル」という誰にでも起こりうる日常的な問題から、ここまで息苦しく、心理的に追い詰められるサスペンスを描き切っているのは本当に見事です。
観ている間中、ずっと神経がすり減らされるような緊張感が続くため、まさに「極上の心理スリラー」と言えるでしょう。
次に、韓国社会が抱える「闇」への鋭い風刺が効いています。
「84m2」というタイトル自体が、韓国で最も一般的なマンションの間取りであり、「夢のマイホーム」の象徴とされています。
しかし、この映画は、その夢がどれほど残酷な現実を伴うか、そして不動産価格の高騰、ローン地獄、そして階層間の歪みが引き起こす社会問題を痛烈に描いています。
ウソンが「騒音の犯人」を追って上の階へ、上の階へと上がっていく描写は、まるで社会の階層構造を登っていくかのようで、非常に象徴的でした。
これは、Netflixの人気作『イカゲーム』や、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』にも通じるテーマであり、観終わった後も深く考えさせられます。
そして、主演のカン・ハヌルをはじめとする俳優陣の圧倒的な演技力にも注目です。
カン・ハヌル演じるウソンが、善良な市民から徐々に精神を病み、狂気に堕ちていく様は本当に圧巻の一言。
彼が抱える絶望や恐怖が、画面を通してひしひしと伝わってきて、観客もまるで自分事のようにその苦しみを共有する感覚に陥ります。
また、元検事のウンファを演じるヨム・ヘランや、謎めいたジャーナリスト、ジンホを演じるソ・ヒョヌも、それぞれが何を考えているか読めない不気味さで、物語の緊張感を最大限に高めています。
彼らの演技が織りなす「心理戦」は、この映画の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
監督を務めたキム・テジュンは、『スマホを落としただけなのに』(韓国リメイク版)でも日常に潜む恐怖を描き出しており、本作でも身近なものを最高の恐怖装置に変える手腕を見せています。
音響効果や狭い空間の使い方など、視覚と聴覚の両方から不快なリアリティを突きつけてくる演出は、まさに監督の真骨頂だと感じました。
まとめ
『84m2』は、単なるスリラーとしてだけでなく、現代社会が抱える問題への警鐘としても非常に示唆に富んだ作品です。
もし、あなたの「夢のマイホーム」がウソンのような状況になったら、あなたは彼と同じように追い詰められることなく「まとも」でいられるでしょうか?
この映画は、そんな重い問いを観客に投げかけてきますよ。