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ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン wiki評価|あらすネタバレ・相関図

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『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』は、ライアン・ジョンソン監督が手がけるミステリーシリーズの第3弾として、待望のNetflix配信が始まりましたね。

前作『グラス・オニオン』の華やかなギリシャの島から一転、今回はゴシックで重厚な田舎の教会が舞台となり、シリーズの中でも特にダークで情緒的な深みを持つ作品となっています。

謎解きの巧妙さだけでなく、信仰や共同体の在り方という普遍的なテーマに踏み込んでおり、観客の心に強く響く要素が詰まっていますので、その魅力と結末を徹底的に解説していきますね。

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ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン wiki|あらすネタバレ

■教会を揺るがす不可能犯罪

今回の舞台はニューヨーク州の田舎町にある「永遠なる勇気の聖母教会(OurLadyofPerpetualFortitude)」です。

被害者は、この教会の中心人物であり、怒りと恐怖で信者を支配するカリスマ的なモンシニョール、ジェファーソン・ウィックス(ジョシュ・ブローリン)。

事件は、ウィックス司祭が聖金曜日の礼拝中に説教台脇の小さな控室(密室に見える状況)に入った直後、悪魔の頭の飾りがついた刃物で背中を刺されて倒れるという、まさに“不可能犯罪”として発生します。

容疑者として真っ先に疑われたのは、元プロボクサーという異色の経歴を持ち、過去にリングで人を殺めてしまった罪悪感から司祭となった若きジャド・デュプレンティシー(ジョシュ・オコナー)。

彼は、ウィックスの排他的で攻撃的な教えに真っ向から異議を唱えていたため、動機があると見なされてしまうのです。

そんな複雑な状況を嗅ぎつけて現場に現れたのが、我らが名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)。

今回、ブランはこれまでのシリーズとは違い、髪を長く伸ばし、ひげも蓄えた、より渋く深みのある風貌で登場しており、そのビジュアルの変化にも注目が集まりました。

彼は論理を追求する異端児(proudheretic)として、信仰心厚い容疑者の一人であるジャドの協力を得て、この一見奇跡のように見える殺人のトリック解明に挑みます。

ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン |相関図ネタバレ

■豪華キャストと複雑な思惑

本作は、ライアン・ジョンソン監督作品らしく、ダニエル・クレイグを中心に、新進気鋭の俳優から大御所までが顔を揃える豪華なアンサンブルキャストが魅力です。

特に今回は、物語の「心臓部」とも言える重要な役割を若きジャド司祭(ジョシュ・オコナー)が担い、ブランと二人三脚で事件の核心に迫っていく構造が新鮮でした。

主要キャストと登場人物の詳細

ベノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)

世界一の私立探偵。

論理と真実を信条としていますが、今回はジャドとの交流を通じて「信仰」や「赦し」というテーマと向き合うことになります。

ジャド・デュプレンティシー司祭(ジョシュ・オコナー)

元ボクサーで、暴力の過去を償おうと実直に神父になった青年。

ウィックスに疑われながらも、自身の信仰と、教会の真の目的を見失わないよう葛藤する、感情的な物語の主人公です。

モンシニョール・ジェファーソン・ウィックス(ジョシュ・ブローリン)

怒りをもって信者を統治する、カリスマ的だが横暴な司祭。

彼の死は、過去に教会が隠し持っていた秘宝「イブの林檎(Eve’sApple)」と深く関わっていました。

マーサ・デラクロワ(グレン・クローズ)

幼い頃から教会に仕え、ウィックスへの忠誠心が並外れて高い、教会の実務を一手に担う女性。

彼女が抱える教会の秘密が、事件全体の黒幕としての動機に繋がります。

Dr.ナット・シャープ(ジェレミー・レナー)

妻に去られ、アルコール依存症に陥っている町の医師。

豪華キャスト陣の中でも、「アベンジャーズ」シリーズでお馴染みの彼が、事故からの復帰作として参加している点も話題になりました。

サイ・ドレイヴン(ダリル・マコーマック)

政治家を目指すも挫折した野心家。

実はウィックスの隠し子であり、教会の影響力を利用して再起を図ろうと画策します。

ヴェラ・ドレイヴン(ケリー・ワシントン)

堅物な弁護士であり、サイの養母。

リー・ロス(アンドリュー・スコット)

過去に人気を博したSF作家ですが、現在は陰謀論に傾倒しています。

シモーヌ・ヴィヴァーヌ(ケイリー・スピーニー)

慢性的な痛みに苦しみ、ウィックスの奇跡を信じて多額の寄付をする元世界的チェロ奏者。

登場人物の相関図(事件の核心)

一見バラバラに見えるこの信者たちは、ウィックス司祭の持つ「カリスマ性」と、彼らが抱える「罪悪感や願望」によって、強く結びついていました。

特に、事件の引き金となったのは、ウィックスの祖父プレンティスが飲み込んで埋葬したとされる高級ダイヤ「イブの林檎」の存在です。

この財宝の在り方をウィックスが知ったことで、彼が教会を捨ててサイと共に逃亡しようと計画し、それを阻止しようとする教会を守る者たちとの間に致命的な対立が生まれるのです。

ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン|ストーリー解説

■終盤の驚愕トリックと裏切り

ブノワ・ブランの緻密な調査により、ウィックス殺害は単なる密室殺人ではなく、マーサ(グレン・クローズ)が首謀し、ナット・シャープ医師(ジェレミー・レナー)が実行犯となった複雑な陰謀だったことが判明します。

このトリックは本当に巧妙で、古典的な不可能犯罪の要素を現代的なガジェットと薬物で実現しているのが、ライアン・ジョンソンらしい手腕だと感じました。

殺人の完全なる偽装トリック

1.鎮静剤の投与:ナットは、ウィックスが礼拝中に控室の酒瓶で飲酒する習慣を知っていたため、その酒に超強力な鎮静剤を仕込みました。

2.偽装死の演出:ウィックスが鎮静剤で倒れた瞬間、マーサが彼の祭服に縫い付けていた、リモコン操作式の偽の悪魔の頭飾り(血糊が仕込まれたスクイブ)を作動させます。これにより、まるで刺されて血を流したかのように見せかけました。

3.真の殺害:司祭が倒れた際、マーサが動揺したフリをして周囲の気を引いた一瞬の隙に、医師であるナットが控室に入り、本物の悪魔の頭の刃物でウィックスを刺し殺し、偽の仕掛けを取り除いたのです。

死者の復活と裏切り

殺害の目的は、ウィックスの腐敗したリーダーシップから教会を救い、さらに「イブの林檎」を教会の為に確保することでした。

マーサは教会の威信を回復するため、ウィックスの「復活」を演出する計画を立てます。

彼女の愛する庭師、サムソン・ホルト(トーマス・ヘイデン・チャーチ)がウィックスそっくりの衣装をまとい、ウィックスの代わりに祖父プレンティスの霊廟に埋葬されます。

サムソンは霊廟内でプレンティスの遺体からダイヤを回収し、後に「死から蘇ったウィックス司祭」として監視カメラの前に現れる手はずでした。

しかし、ダイヤの魔力に魅せられたナット医師が、計画を裏切ります。

彼はダイヤを独占するためにサムソンを殺害し、罪をジャド司祭になすりつけようと画策しました。

ジャドが「蘇ったウィックス」を目撃した後、サムソンの死体を発見し、自首を考えたのも、ナットの巧妙な策略に乗せられた結果だったのです。

ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン|最後の結末※ネタバレ注意

■探偵が選んだ「沈黙」という結末

ナットの裏切りとサムソンの死を知ったマーサは、事態を収束させるために行動に出ます。

ナットはマーサをも始末しようと鎮静剤入りのコーヒーを差し出しますが、マーサはそれを逆手にとり、カップをすり替えてナットを殺害。

その後、マーサはナットの遺体をウィックスの遺体と共に地下室の酸の入った浴槽に沈め、ウィックスの「復活」に見せかけた上で、ナットが殺された状況を偽装しました。

ブランの「推理放棄」の真相

ブランは全ての真相を解き明かし、信者たちを教会に集めていつものように華麗な推理ショーを始めますが、クライマックスで突然「謎は解けない」と宣言して推理を打ち切ります。

この「探偵の沈黙」こそが、本作の最も感動的で重要なテーマでした。

ブランは、ジャド司祭が建設会社の電話番ルイーズ(ブリジット・エヴァレット)の個人的な悩みに何時間も耳を傾け、心から救いの手を差し伸べる姿を見て、真の「恵み」と「赦し」の力に気づかされていたのです。

真実を暴露することは、マーサが人生をかけて守ろうとした教会(そして彼女自身の最後の尊厳)を完全に破壊する「暴力」であるとブランは感じました。

彼は、窓から差し込む光を浴びながら(聖書の「ダマスコへ至る道」を暗示する演出ですね)、論理を超えた倫理的な選択として、公の場での真実の暴露を諦め、マーサに自らの口で罪を告白する機会を与えたのです。

マーサはブランとジャド、そしてジェラルディン署長の前で全ての罪を告白し、「イブの林檎」を手放した後、あらかじめ飲んでいた鎮静剤(ペンタバルビタール)によって静かに息を引き取ります。

彼女が最期に、長年憎んでいたウィックスの母グレイスへの許しをジャドに促されて祈るシーンは、観客の涙腺を緩ませるほど美しく、彼女が真の「赦し」に辿り着いた瞬間でした。

最後の結末

1年後、ジャドは教会を「永遠なる恵みの聖母教会(OurLadyofPerpetualGrace)」として再開します。

ウィックスの隠し子であるサイはダイヤを求めてジャドを脅しますが、ジャドとブランはダイヤの行方を知らないと主張します。

しかし、映画のラストショットでは、ダイヤ「イブの林檎」が教会の新しい十字架の中に厳かに隠されていることが示されます。

これは、財宝が私的な欲望(greed)ではなく、信仰と人々の善(faithforthegoodofpeople)のために守られたことを象徴する、非常に希望に満ちた結末でした。

ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン|評価は?

■評価はシリーズ随一の深み

本作は批評家からも視聴者からも非常に高い評価を受けています。

RottenTomatoesでは批評家スコア92%、観客スコア94%というダブル高評価を獲得しており、その評価の高さがうかがえます。

シリーズ最高のテーマ性と内省

多くのレビューで指摘されているのは、これまでのシリーズが持っていた「富豪批判(eat-the-rich)」や「セレブの虚栄」といった社会風刺の側面から一歩踏み込み、「信仰」と「贖罪」というより普遍的で内省的なテーマを深く掘り下げた点です。

特に、ライアン・ジョンソン監督自身が宗教的な環境で育った経験を持つことから、この作品は彼の「最も個人的なミステリー」であるとも評されており、その深い洞察が多くの観客に共感を呼びました。

役者の競演とO’Connorの輝き

豪華キャストの演技合戦も素晴らしく、特に物語の感情的な核を担ったジョシュ・オコナー(ジャド司祭)の繊細さと強さを兼ね備えた演技は、批評家から絶賛されています。

また、グレン・クローズ(マーサ)は、教会の守護者としての狂信的な忠誠心から、最後の告白に至るまでの複雑な感情を見事に演じ切り、圧倒的な存在感を放っていました。

一部の批判点

一方で、豪華なキャスト陣が揃っているにもかかわらず、多くの容疑者(信者たち)の掘り下げが浅く、単なる「類型的なキャラクター(caricatures)」に見えてしまったという批判も一部で見られました。

これは、この映画が従来の群像劇ミステリーというより、ジャド司祭の個人的な成長と信仰の危機に焦点を当てたからこその結果かもしれませんが、贅沢な俳優たちが「置物」のようになってしまうのは、少し惜しい点だと感じます。

まとめ

『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』は、ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブノワ・ブランのシリーズの中でも、最もシリアスで、最も魂に響く(soulful)作品に仕上がっています。

密室殺人という古典的なミステリーの枠組みを用いながらも、その裏側で描かれるのは、人間が抱える「怒り」「欲望」、そして「赦し」という、生きていく上で避けて通れないテーマです。

私自身、この作品で最も心を打たれたのは、ブランが真実を暴く「暴力」を一度諦め、人間的な「恵み」を選択した瞬間です。

探偵が「全知全能の神」として断罪するのではなく、「良き人間」として静かに寄り添う姿は、シリーズの中でも最も感動的なブランの成長だと感じました。

タイトルにある「ウェイク・アップ・デッドマン(目覚めよ、死人)」は、文字通り司祭の復活劇を指すと同時に、論理だけを信じていた探偵ブラン自身の心に「信仰」の火が灯ったこと、そして、観客である我々に対しても思考停止せずに本質を見つめ直せという問いかけをしているように感じられて、鳥肌が立ちました。

前作の派手さはありませんが、緻密で情緒的な深みがある本作は、シリーズ最高傑作とする声も多いです。

Netflixで独占配信中ですので、この冬、ぜひこの濃密なゴシックミステリーにどっぷり浸って、ブランの「沈黙」が意味するものを、あなた自身の目で確かめてみてください。

そして、ライアン・ジョンソン監督とダニエル・クレイグはすでに第4作の構想を練り始めているとのことなので、これからも続くであろうブノワ・ブランの活躍を、心から楽しみにしていましょう!

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