皆さん、こんにちは!
映画の話、しませんか?
今回語り合うのは、リーアム・ニーソン主演の『マークスマン』です。
正直、巷では賛否両論あるこの作品。
でもね、僕個人的には、この映画は深い味わいがあると感じています。
アクション映画を期待して観ると「あれ?」ってなるかもしれませんが、これは単なるドンパチ映画じゃないんです。
じんわりと心に響く、そんな作品なんですよ。
「気になってたんだよね」という方から、「もう観たよ!」という方まで、ぜひ最後までお付き合いください。
マークスマン(映画)ネタバレ|あらすじ
『マークスマン』の主人公は、リアム・ニーソン演じるジム・ハンソン。
彼は元アメリカ海兵隊の凄腕狙撃兵で、ベトナム戦争にも参加したベテランなんです。
でも今は、メキシコとの国境付近で、愛犬のジャクソンと一緒にひっそりと牧場を営む老人なんですよ。
最愛の妻に先立たれてしまってね、その医療費のせいで牧場も差し押さえの危機に瀕している、そんな苦しい状況なんです。
ジムは生活のために、不法な国境越えを通報する仕事を政府から請け負っているんですが、それだけでは老後の生活はままならない。
だから、彼はずっと不機嫌で、どこか諦めにも似た気持ちを抱えて生きていたんです。
そんなある日、彼の人生が大きく動き出す出来事が起こります。
国境をパトロール中に、麻薬カルテルから逃れてきた母子、ローサとミゲルに出会ってしまうんですよ。
ジムは彼らを止めようとするんですが、そこにカルテルのメンバー、マウリシオが現れて銃撃戦になってしまうんです。
この銃撃戦でジムはマウリシオの弟を撃ち殺してしまうんですが、残念ながらローサも重傷を負ってしまいます。
息を引き取る寸前のローサは、ジムにたった一つのお願いをするんです。
「息子ミゲルをシカゴにいる親戚の元へ送り届けてほしい」ってね。
ジムは最初、ミゲルを国境警備隊に引き渡してしまうんです。
でも、すぐに彼がメキシコに強制送還されてカルテルに狙われると知って、自分の手でミゲルを救い出すことを決意します。
そこからが彼らの旅の始まり。
ジムとミゲルは、警察とカルテルの両方から追われる身となって、シカゴを目指すことになるんです。
実はね、ミゲルの叔父さんがマウリシオが所属するカルテルから大金を盗んでいて、そのお金を持ってローサとミゲルが逃げていたんです。
ジムはローサからもらったバッグの中にその大金を見つけるんですが、ミゲルは「汚い金だからいらない」って言うんですよ。
このお金がね、後々二人の関係を深める重要な要素になるんです。
旅の途中、ジムがクレジットカードを使ったことで、カルテルは彼らの居場所を特定して、執拗に追いかけてきます。
そして、この旅で最も心が痛む出来事の一つが、ジムの愛犬、ジャクソンの死です。
カルテルに襲われた時、ジャクソンが勇敢に立ち向かって、目の前で撃ち殺されてしまうんですよ。
これはね、犬好きの僕にとっては本当に辛かった。
でも、この出来事が、バラバラだったジムとミゲルの心を一つにするきっかけにもなるんです。
ジャクソンを埋葬した後、ジムはミゲルと一緒に、ローサが持っていたカルテルのお金を全て燃やしてしまうんです。
もう金のためじゃない、ただミゲルを守るためだけの旅になる。
ここでジムの覚悟が決まるんですよね。
マークスマン(映画)ネタバレ|ラスト・最後の結末は?
旅の終盤、ついにマウリシオはジムたちの行先がシカゴだと突き止めます。
そして、クライマックスはシカゴ近郊の農場で繰り広げられます。
ジムは残ったマウリシオの手下を次々と仕留めていくんですが、マウリシオは最後の手段としてミゲルを人質に取るんです。
そしてミゲルの手に銃を握らせて、「ジムを撃て」と命じるんですよ。
ここがね、この映画の見どころの一つなんです。
ジムは旅の途中でミゲルに銃の扱い方を教えていたんですが、その時「マガジンを落とすことで武装解除できる」と教えていたんです。
ミゲルは、その教えを思い出し、とっさの判断でマガジンを落とすことでジムを撃つのを拒むんですよ。
この瞬間のミゲルの成長、そしてジムの教えが生きたことに、僕は胸が熱くなりました。
ミゲルの機転が利いたことで、ジムはその隙を突いてマウリシオを撃ち、重傷を負わせます。
そして、ジムはマウリシオから盗まれた自分の名誉ある勲章を取り戻し、最後に一発だけ弾が入った銃をマウリシオの前に置きます。
「自分の道は自分で選べ」と。
その後、一発の銃声が聞こえ、マウリシオが自ら命を絶ったことが示唆されます。
この描写もね、ただの悪党で終わらせない、マウリシオという男にもドラマがあったんだと感じさせる、すごく印象的なシーンでした。
激しい戦いの末、ジム自身も銃で撃たれて、ナイフで刺されるなど致命的な傷を負ってしまうんです。
体中から血が流れ出るほどの重傷を負いながらも、ジムはミゲルを無事にシカゴの親戚の家まで送り届けます。
ミゲルが親戚に迎え入れられるのを確認すると、ジムは何も言わずにその場を去り、一台のバスに乗り込みます。
バスのシートに深く腰掛けたジムは、静かに目を閉じます。
このエンディングはね、彼が安らかな気持ちで息を引き取ったことを示唆しているんです。
亡き妻とジャクソンの元へ旅立ったんだな、って。
マークスマン(映画)|評価は?
正直なところ、『マークスマン』はリーアム・ニーソン主演のアクション映画としては、ちょっと地味に感じるかもしれません。
「マークスマン(射撃の名手)」というタイトルなのに、狙撃シーンはそんなに多くないんです。
でもね、数少ないその狙撃シーンは、まさに一発必中。
高速で走る車の運転手を一発で仕留めたり、タイヤを撃って車を横転させたりするシーンは、ゴルゴ13を彷彿とさせる見事さで、僕は思わず「っしゃぁ!」って声が出ちゃいましたよ。
ただ、そういった「痺れるアクション」は終盤に集中しているので、純粋なアクション映画として期待すると、物足りなさを感じる人もいるかもしれませんね。
でも、この映画の真骨頂はそこじゃないんです。
この映画は、妻を亡くし生きる希望を失っていた孤独な老兵ジムと、母親を失い復讐心に燃える少年ミゲルが、苦難の旅を通じて心を深く通わせていく「ロードムービー」としての側面がとても魅力的でした。
最初は反発し合っていた二人が、ジャクソンの死という共通の悲しみを経験し、カルテルのお金を燃やすという共同作業を通じて、まるで本当の祖父と孫のように絆を深めていく過程は、じんわりと心温まるものがありました。
そして、この作品は、クリント・イーストウッド監督作品を思わせるような、渋くて、どこか哀愁漂う雰囲気が全編に流れているんです。
特に、ジムがミゲルに「復讐は何も良いものを生まない」と諭すシーンや、最後のマウリシオとの対決で「自分の道は自分で選べ」と語りかけるシーンは、人間の本質や選択の重さを考えさせられました。
もちろん、ストーリーには「ご都合主義」と感じる部分もゼロではありません。
例えば、カルテルの情報網がすごいのに、なぜかミゲルが落とした「手書きの地図」でシカゴの行き先を突き止めるとか(しかもシカゴの町名じゃなくて「シカゴ」って書いてある部分に印が付いてるんですよ?)。
また、ジムが重傷を負っているのに、なぜ病院に寄らずにバスの中で静かに息を引き取るのか、という点も、現実的に考えると疑問符がつくかもしれません。
でも、これはジムがミゲルを救うという最後の使命を全うし、愛する妻の元へと逝くことを選んだ「燻銀(いぶしぎん)」のような結末なんだと考えると、僕は納得できました。
まとめ
総じて、この映画は派手さはないけれど、リーアム・ニーソンが演じる「人間らしい弱さと強さ」を持った主人公の姿に感情移入できる、心に響く作品でした。
「人生って、辛いことも多いけど、それでも誰かを守ることで、最後に安らぎを見つけられるのかもしれないな」
そんなことを思わせてくれる、静かで奥深い一作です。
リーアム・ニーソンファンの方、ヒューマンドラマやロードムービーがお好きな方には、ぜひ一度観てみてほしいですね。