こんにちは、はるをです!
この記事ではnetflixで5月14日に配信開始されたばかりの新作ドラマ「ヘビ&ハシゴ(原題:Serpientes y Escaleras、英語版タイトル:Snakes and Ladders)」について解説しています。
「ヘビ&ハシゴ」はメキシコ発のNetflixシリーズで、権威ある学校の校長を目指す控えめな教師ドーラを中心に展開するブラックコメディです。
彼女の野望は、影響力のある家庭の子ども同士の小さな喧嘩が政治的なスキャンダルへと発展したことで脅かされ、ドーラは権力、腐敗、倫理的なジレンマが絡み合った危険な世界に引き込まれます。


グアダラハラを舞台にしたこの物語は、マノロ・カロ監督とセシリア・スアレスが再びタッグを組んだ作品だよ。
ヘビ&ハシゴ(netflixドラマ)解説|あらすじ
■『ヘビ&ハシゴ』のあらすじ:子供の喧嘩が大人たちの「権力ゲーム」を巻き起こす?!
まず、この『ヘビ&ハシゴ』の物語がどのように始まるのか、そのあらすじをご紹介しますね。
舞台は、メキシコのハリスコ州にある活気あふれる都市、グアダラハラ。
その中でも特に名門として知られる小学校が、物語の中心となります。
主人公は、この学校で生徒指導係(プレフェクタ)として働くドーラ・ロペスという女性です。
ドーラは、真面目で一生懸命、やる気は満々なのに、ちょっと影が薄い…そんな風に描かれているんですが、彼女には秘めた、そして生涯にわたる大きな夢があるんです。
それは、この名門校の「校長」になること。
彼女にとって、それは単なるキャリアアップではなく、人生をかけて追い求めてきた目標なんです。
そんな彼女の野心的な計画が、思わぬ出来事によって大きく揺るがされてしまうことから物語は動き出します。

きっかけは、本当に些細なこと。
なんと、たった8歳の生徒2人が、学校の校庭で起こしたちょっとした喧嘩だったんです。
「え、子供の喧嘩?」って思いました?
私も最初、そんなことでここまで大騒ぎになるの?ってびっくりしたんですけど、これが普通の子供たちの喧嘩ではなかったんです。
この2人の生徒、実はハリスコ州で最も影響力があり、そして裕福な、いわばエリート中のエリートである2つの名家の子どもたちだったんです。
子供たちの喧嘩はすぐに収まったかのように見えたんですが、事態は急変します。
次の日になると、この生徒たちの親たちが学校に乗り込んできて、話は一気にこじれてしまうんです。
一方の親は、スペインから移住してきたばかりのスペイン領事であるビセンテとその妻タマラ。
彼らは、自分たちの息子が相手の女の子にひどいことをされたと主張。
もう一方の親は、地元グアダラハラで人気のショコラティエとして知られるオルモ。
彼は、娘がそんなことをするはずがないと、ビセンテたちの主張を全く取り合いません。
こうして、子供たちの喧嘩は、親たちの、そして有力な名家同士の熾烈な対立へと発展していきます。
そして、生徒指導係としてこの問題の対応を任されたドーラは、この泥沼のような争いに嫌でも巻き込まれてしまうんです。
彼女の上司である校長は、影響力のあるビセンテたちの肩を持つように示唆しますが、人気者のオルモを敵に回せば、親たちの投票によって選ばれる次の校長というポストが遠のいてしまう。
ドーラは、自分の夢を叶えるために、この危険な状況を乗り切り、両家の対立を自分に有利なように操らなければならないという、まさに綱渡りのような道に直面します。
この状況が、ドーラの「一見揺るぎない倫理観」を厳しく試すことになります。
彼女は、これまでの自分では考えられなかったような「誘惑」に直面し、校長になるという強い願望が、逆に倫理的な妥協を迫られる弱点となってしまうんです。

果たして、彼女は夢のためにどこまでやるのか、どんな一線を越えてしまうのか…。
このドーラの内的葛藤が、物語の大きな軸となって進んでいきます。
さらに、物語には様々な要素が絡み合ってきます。
ドーラの息子であるトーニョの抱える借金問題 や、対立するオルモとタマラの間に過去の因縁があったこと など、次々と新たな事実や問題が明らかになり、物語は複雑さを増していきます。
ドーラは、お金のために賄賂を受け取ることを考えたり、オルモと取引したり、周りの思惑に巻き込まれたりしながら、校長への道を模索していくんです。

選挙の行方、突然の出来事、そして誰もが驚く展開…。
まさに「ヘビ」と「ハシゴ」が入り乱れるような、予測不能なゲームが繰り広げられるんですね。
この学校は、単なる教育の場ではなく、メキシコのエリート層が抱える階級格差、特権、腐敗、そして複雑な権力構造といった広範な社会問題がぎゅっと凝縮された「縮図」として機能しているんです。
子供たちの些細な口論が、いかにして「本格的な政治スキャンダル」へと発展しうるのか。
それは、閉鎖的で地位の高いサークル内で、影響力や地位がどのように力を持つのかを痛烈に示しています。
個人の野心が、組織的な圧力や忍び寄る腐敗と正面から衝突する。
そんな、普段は語られることのない、より大きな社会的真実が、このドラマでは容赦なく描かれているんです。
全8話というエピソードの中で、次から次へと問題が起こり、キャラクターたちの思惑が交錯する展開は、見ているこちらもハラハラドキドキしっぱなしでした。
子供の喧嘩がこんな大事になるなんて、本当に信じられないですよね。
でも、だからこそ、このドラマの世界にぐっと引き込まれるんです。
ドーラがこの危険なゲームをどう生き抜くのか、そして彼女の倫理観はどうなってしまうのか…ぜひ皆さん自身の目で確かめてみてください!
ヘビ&ハシゴ(netflixドラマ)|キャスト
この『ヘビ&ハシゴ』の大きな魅力の一つが、個性豊かで実力派揃いのキャスト陣なんです!
メキシコとスペインの俳優さんたちが、この独特な物語の世界を生き生きと演じていて、見ているだけで引き込まれます。
物語の中心にいるのは、もちろん主人公のドーラ・ロペスを演じるセシリア・スアレスさんです。
彼女は、このドラマを企画・監督したマノロ・カロ監督の、いわば「ミューズ」のような存在で、
『ハウス・オブ・フラワーズ』や『我らのための死』といった過去のカロ監督作品でも素晴らしい演技を見せています。
私もセシリア・スアレスさんが出ている作品はついついチェックしちゃうんですよね。
つい最近も『ザ・ガーデナー』という作品で全く違う役を演じていらして、その役柄によってガラッと雰囲気を変えることができる、本当に引き出しの多い女優さんだなと改めて感動しました。
本作のドーラ役では、これまでの役とはまた違った、野心的でありながらも、周りの状況に翻弄されてしまう普通の人間の姿を見事に体現しています。
真面目で倫理を重んじてきたけれど、夢のために誘惑に揺れてしまう。
そんなドーラの複雑な感情や、危ういバランス感覚を、セシリア・スアレスさんが繊細に演じているからこそ、私たちは彼女の旅路に共感し、ハラハラしながら見守ることができるんです。
彼女の抑えた演技が、ドーラというキャラクターの脆さや、追い詰められていく様子をより際立たせているように感じました。
そして、物語のきっかけとなる生徒たちの親たちも、強烈な個性を放っています。
ショコラティエであり、地域でも人気者のオルモを演じるのは、フアン・パブロ・メディナさんです。
彼もまた『ハウス・オブ・フラワーズ』に出演されていたので、見覚えのある方も多いかもしれませんね。
オルモは、どこか飄々としていて掴みどころがないけれど、自分の目的のためなら手段を選ばないような危うさも持っている人物です。
ドーラを校長にするために協力する素振りを見せたり、かと思えば彼女を試すような言動をとったり、彼が物語の展開を大きく左右するキーパーソンの一人であることは間違いないですね。
フアン・パブロ・メディナさんの魅力的な演技によって、オルモというキャラクターの多面性が際立っていました。
一方、スペイン領事のビセンテを演じるのはマルティーノ・リバスさん。
そしてその妻タマラを演じるのはマリマール・ヴェガさんです。
彼らはスペインからやってきて、メキシコの慣習に馴染もうとしつつも、どこか保守的で、自分たちの地位や体面を非常に気にする夫婦として描かれています。
特にタマラは、グアダラハラ出身でありながら、一度離れた故郷に戻ってきた複雑な感情や、オルモとの過去の因縁 があり、彼女の行動もまた物語に波乱をもたらします。
マリマール・ヴェガさんは直近のコメディ作品『ウェルカム・トゥ・ファミリー』にも出演されていて、本作では短く刈り込んだ金髪のボブヘアが印象的で、クールな雰囲気でタマラというキャラクターを演じています。
ビセンテ役のマルティーノ・リバスさんも『ケーブル・ガールズ』で知られている俳優さんですね。
この夫婦が、ドーラやオルモとどう対立していくのか、その心理戦も見どころです。
他にも、ドーラの息子のトーニョ役にはベニー・エマニュエルさん。
彼が抱える問題がドーラの個人的な葛藤に拍車をかけます。
そして、ドーラの同僚で、タロット占いが趣味というユニークなキャラクター、マーサ・サンチェス役にはミシェル・ロドリゲスさん。
彼女の占い(?)が選挙の結果を予測したり、物語に不思議な彩りを加えています。
オルモの娘らしきフアナ・ムリエルを演じるのはロレト・ペラルタさん。
彼女もまた『ハウス・オブ・フラワーズ』や『お隣さん戦争』に出演している若手女優さんで、モデルとしても活躍されているようです。
物語の発端となった一人として、彼女の存在も重要になってきます。
そして、エル・ゴベール役のヘラルド・トレホルナさん、ホセフィーナ役のマルガリータ・グラリアさんなど、実力派の俳優さんたちが脇を固め、このドラマの世界観をより一層豊かにしています。
彼ら一人ひとりが、ドーラの目指す道のりにおける「ヘビ」(障害や裏切り)になったり、「ハシゴ」(同盟や機会)になったりしながら、複雑に絡み合う人間関係を織りなしていくんです。
まさに、豪華キャストが勢揃いして描かれる、大人たちの泥沼劇…というと聞こえが悪いかもしれませんが(笑)、
それぞれのキャラクターが抱える思惑や人間的な弱さが生々しく描かれていて、見ていると
「こういう人、いるいる!」
って思わず頷いちゃったりするんですよね。
私自身、好きな俳優さんが出ていると、それだけでドラマの世界に没入できちゃうタイプなので、このキャスト陣の顔ぶれは本当に嬉しかったです。
それぞれの役者さんが、自分のキャラクターをどのように表現しているのか、そこに注目して観るのも、このドラマの楽しみ方の一つだと思います!
ヘビ&ハシゴ(netflixドラマ)|感想は面白い?
さあ、いよいよこの『ヘビ&ハシゴ』の最大の見どころについて、熱く語らせてください!
このドラマ、単なる学園モノやコメディだと思って見始めると、きっと良い意味で裏切られるはずです。
なぜなら、これは権力と地位を巡る、痛烈な社会風刺が効いた「ブラックコメディ」だからです!
一番の魅力は、やはりテーマの深さです。
先ほども触れましたが、このドラマは「ヘビとはしご」というゲームのタイトルが象徴するように、人間の野心と、それを追求する上で直面する倫理や道徳の葛藤を深く掘り下げています。
主人公のドーラは、校長になるという夢のために、これまで大切にしてきた ethical code(倫理規定)をどこまで曲げることができるのか。
賄賂や裏取引、嘘といった「誘惑」が次々と彼女の前に現れ、彼女がどんな選択をするのか。
この道徳的なジレンマが、物語に強い緊張感と共感を生み出しています。
そして、このドラマの舞台である名門校は、メキシコ社会、特にエリート層に蔓延する問題点を浮き彫りにする仕掛けとなっています。

階級格差、特権意識、そして驚くほどの腐敗。
子供たちの些細な喧嘩から、親たちの権力争い、そしてそれが学校全体を巻き込むスキャンダルへと発展していく様子は、まさに「井の中の蛙」のように見える学校という小さな世界が、いかにより大きな社会の縮図となっているかを示しています。
この社会風刺が、ユーモアを交えながらも非常に鋭く描かれているんです。
このドラマのもう一つの大きな見どころは、マノロ・カロ監督独特のスタイルです。
彼は『ハウス・オブ・フラワーズ』などでも知られるように、特徴的な映像と、辛辣で切れ味の鋭い wit(ウィット)を駆使して、道徳的な曖昧さや社会問題をユニークな視点から描くことに長けています。
本作も例外ではなく、「ダーク、セクシー、そして不謹慎」という彼自身が語るように、単なる笑えるコメディではなく、人間の嫌な部分や社会の闇にも容赦なく切り込んでいきます。
特に印象的なのは、このドラマの世界観に「チョコレート、タロット、そしてカラオケ」といった異色の要素が散りばめられている点です。
これが、物語に何とも言えないシュールで型破りな雰囲気を与えているんです。
真面目な権力争いが描かれているかと思えば、いきなりタロット占いのシーンがあったり、登場人物たちがカラオケで熱唱したり。
この予測不能でどこか狂気すら感じさせるテイストが、他のドラマにはない独特な魅力を生み出しています。
ブラックコメディというジャンルだからこそ、重いテーマも比較的抵抗なく見ることができるんです。
ユーモア、特に少しブラックなユーモアは、観客の警戒心を解いて、権力者の行動や、人が倫理的に妥協する瞬間に隠された挑戦的なアイデアを受け入れやすくしてくれます。
エリートたちの隠された、あまり見せたくない側面が、コメディという形だからこそ暴露される。
この「不謹慎さ」が、このドラマの面白さの核にあると感じました。

もちろん、単に重いだけではありません。
キャストの皆さんの演技や、セリフの応酬には、思わずクスリとしてしまう場面もたくさんあります。
ドーラがオルモに「先生」と間違えられて必死に訂正するシーンなんかは、彼女のキャラクターがよく出ていて面白かったです。
物語はどんどん加速していき、時にはthriller(スリラー)のような緊張感も生まれるんですが、全体として軽快なテンポで進んでいくので、飽きずに一気に見てしまうことができます。
私としては、ドーラが自分の夢のために、少しずつ、でも確実に変わっていく(あるいは変わらざるを得なくなる)様子を見るのが、一番の見どころでした。
最初はあんなに真面目だったのに、状況が彼女をどう変えていくのか。
人間の持つ矛盾や、心の中の「モンスター」と「エンジェル」の存在を、このドラマは示しているのかもしれませんね。
一部ではサブプロットが多くて失速するという意見もあるようですが、私としては、あの混沌とした感じが、権力争いの世界の複雑さや、登場人物たちの慌ただしさをよく表しているように感じました。
このドラマは、決して子供向けの作品ではありません。
大人が、ニヤリとしながらも、考えさせられる…そんな作品だと思います。

権力、お金、そして人間の本質に迫る、刺激的な旅。
ぜひ皆さんも、『ヘビ&ハシゴ』の世界に足を踏み入れてみてください!
きっと、観終わった後に誰かと語り合いたくなるような、そんな話題作ですよ。
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