毎週のように、人間の心の最も深い部分に寄り添ってくれるこのドラマ。
今回は、誰しもが抱く「格好悪い自分を隠したい」という痛切な恥の感情に焦点が当てられました。
理屈ばかりだった白石絵梨子が、カウンセラーとしてのプロの境界線に直面しながらも、大きな一歩を踏み出す素晴らしいエピソードでしたね。
傷つきながらも再生へと向かう人々の姿を、皆さんと一緒にじっくりと掘り下げていきたいと思います。
さよならノワール(ドラマ)7話までの振り返り
■傷だらけの母子が選んだ再生への道!前回の振り返り
前回の第6話では、現代社会の歪みを象徴するようなネット炎上と、あるシングルマザーの孤独な戦いが描かれました。
派遣社員として働きながら6歳の息子を育てる林田あかりは、一瞬の手の離し方を切り取られ、ネット上で激しいバッシングにさらされてしまいました。
人気芸能人の車に息子がはねられ意識不明の重体になるという悲劇だったのにもかかわらず、世間は彼女を「母親失格」だと決めつけて叩き続けたのです。
自分を責め続けた彼女は、息子を守るためにあえて「将斗を虐待していました」と児童相談所に偽りの自白をして、身を引こうとさえしました。
そんな限界に達していたあかりの痛みに深く寄り添ったのが、元刑事の黒木夏海でした。
実は夏海自身も、1年前に元上司の呼び出しを優先して娘を1人残し、娘が外に出て交通事故に遭ってしまったという重い過去を抱えていたのです。
自分の消せない罪悪感を打ち明けることであかりの心を救い、意識を取り戻した息子の「大丈夫、僕がいるよ」という言葉が親子を再び強く結びつけました。
そして夏海は、事故をきっかけに離婚し離れて暮らす娘へ、1年ぶりに「お誕生日おめでとう」というメッセージを託す一歩を踏み出しました。
その一方で、同僚の鴨居卓海が誰にもプライベートを明かさず、1人でどこかのお墓へ手を合わせに行く姿があり、物語はサスペンスとしての不穏な謎をも色濃く残していました。
さよならノワール(ドラマ)7話あらすじ
■美人局に騙された生物教師の沈黙!第7話のあらすじ
今回、犯罪被害者支援室が向き合うことになったのは、池袋学院高校で生物を教えている岩田倫太郎という教師です。
彼は学校の近くの路上で何者かに頭部を激しく殴られ、全治2週間の怪我を負って倒れているところを生徒に発見されました。
捜査が進むと、岩田がマッチングアプリで知り合った小室朋美と、その知人である八木和樹から、過去1年間にわたって約1000万円もの大金を脅し取られていた事実が浮上します。
さらなる金銭の要求に耐えかねて岩田が支払いを拒否したため、八木から凄惨な暴行を受けてしまったのです。
暴行を加えた八木は容疑を否認し、朋美も関与を否定する中、自宅で療養する岩田は最初は警察の聴取に応じていました。
しかし、警察から「朋美に送った動画の内容」について尋ねられた途端、岩田は固く心を閉ざし、一切の言葉を失ってしまいます。
精神的なショックからか一言も発しようとしない岩田に対し、夏海と絵梨子は彼の自宅を訪れ、なんとか意思疎通を図ろうと試みます。
無言を貫く岩田に誰よりも早く寄り添ったのは、現場経験の浅い心理学者の白石絵梨子でした。
絵梨子は彼のベランダにある植物に目を留め、そこから言葉ではないコミュニケーションを優しく紡ぎ始めます。
岩田がわずかに見せた心の開きに確信を持った絵梨子は、自分が単独でこの支援を担当したいと夏海に申し出ることになります。
さよならノワール(ドラマ)7話ネタバレ
■プロポーズの「恥」と陽性転移の罠!第7話のストーリーと最後の結末
絵梨子が単独で支援に乗り出すと聞き、支援室のコーディネーターである田村貴子は、ある重大なリスクを懸念しました。
それは、傷ついた被害者が親身になってくれるカウンセラーに対して、疑似恋愛のような強い執着や好意を抱いてしまう「陽性転移」という現象です。
「プロとしてそんな初歩的なミスはしない」と自信満々に答える絵梨子を信じ、夏海は彼女を岩田のもとへと送り出しました。
岩田の部屋で絵梨子は無理に問い詰めることはせず、ベランダの花の名前を図鑑を交えて楽しそうに聞くことで、岩田の心の緊張を解きほぐしていきます。
やがて岩田は絵梨子に対して信頼を寄せ、恐喝の道具に使われていたスマートフォンを彼女に託し、沈黙していた本当の理由を話し始めました。
彼が朋美に送った動画とは、交際もしていない相手に対して誠心誠意、結婚を申し込むために作った熱烈なプロポーズの動画だったのです。
騙された悔しさ以上に、付き合ってもいない女性に熱くプロポーズする格好悪い自分を他人に笑われることが、岩田にとっては死ぬほどの恥だったのでしょう。
しかし、自分の趣味である植物の話に真剣に耳を傾けてくれた絵梨子に、岩田はいつしか恋焦がれるようになり、彼女を「蘭の博覧会」に誘ってしまいます。
プロとしての境界線、すなわち一線を守るために、絵梨子は「プライベートでお会いすることはできません」とはっきりと断りました。
すると岩田は激しいショックを受け、「結局は仕事。あの女もあなたも、僕を利用しただけだ」と叫び、再び暗い殻へと閉じこもってしまいます。
自分の対応が被害者をより深く傷つけてしまったと落ち込む絵梨子に、夏海は「完璧さは悩んでいる人を傷つけてしまう。プロでしょ、悩むのはあと」と力強く諭しました。
一方で、岩田が差し出してくれた動画と脅迫メッセージが決定的な証拠となり、騙していた朋美と八木は警察に無事逮捕されます。
岩田の支援は別の民間センターへ引き継がれることになりましたが、岩田は最後まで「白石先生の支援が悪かったわけではない」と絵梨子を庇っていました。
夏海の計らいでもう一度向き合った二人の間で、絵梨子は「あのプロポーズは決して恥ずかしいものではない」と、彼の真剣な想いを肯定します。
そして、「生物学的には、失敗できるのは人間だけなんですね」と、彼に寄り添う言葉を投げかけました。
その言葉に、岩田は生物教師としての知性と誇りを取り戻し、次のように絵梨子の言葉を優しく訂正したのです。
「人間以外の生物にとって、失敗はそのまま死に直結する。だから、失敗して落ち込み、泣き暮らした後に、それでもまた生き続けることができるのは人間だけなんです」
その輝くような対話ののち、岩田は自身の被害と格好悪い過去を受け入れ、力強く再生への一歩を踏み出しました。
さよならノワール(ドラマ)7話の感想
■心理職の難しさと人間だけの特権!7話の感想
今回は本当に、これまでのエピソードの中でも一番、人間の繊細な心理の揺れ動きが美しく描かれた回だったと感じています。
誰しも、人には絶対に見られたくない「恥ずかしい自分」という闇を抱えて生きているのではないでしょうか。
特に、自分が純粋に人を好きになって、全力でプロポーズした動画が、実は騙されていて詐欺のネタにされていたなんて、想像しただけで立ち直れないほどの屈診です。
それを「恥」だと思い込み、世界中から笑われていると心を閉ざしてしまった岩田の沈黙は、自分を守るための最後の砦だったのだと思います。
そんな彼の頑固な心を解きほぐした絵梨子の、不器用ながらも温かいアプローチには、観ていて本当に胸が熱くなりました。
しかし、心理支援の難しさは「心を開かせたら終わり」ではないという点にありますね。
親身になりすぎれば陽性転移が起き、現実に引き戻すために突き放せば、被害者はさらに深く傷ついてしまうという絶妙な距離感のコントロールは、まさに針の穴に糸を通すような作業です。
それでも、完璧ではない絵梨子だからこそ、岩田は心を救われ、最後には生物教師としての自分の言葉を取り戻すことができました。
「失敗できるのは人間だけ、失敗して落ち込めることは贅沢なことだ」という彼の言葉は、テレビの前の私の心にも深く深く刺さりました。
失敗を引きずってウジウジ悩む時間さえも、人間だけに許された贅沢な時間なのだと思えば、明日の自分を少しだけ許してあげられるような気がします。
また、今回は刑事課の桑原課長が、過去に自分の息子が同じような被害に遭った時に世間体を気にして隠してしまい、結果として息子を引きこもらせてしまった後悔を語る場面もありました。
「手遅れになる前に」と焦る桑原に対し、夏海が言った「手遅れって言葉は嫌いです」という台詞も、非常に重みがあって素敵でしたね。
いつからだって、失敗から這い上がってやり直すことはできるのだという、このドラマが一貫して掲げる優しいメッセージが溢れていました。
まとめ
■暗闇を越えて歩き出す人々!まとめ
第7話は、白石絵梨子という若い心理士の失敗と成長を通じて、犯罪被害に遭った人々の「その後の人生」をどう守るべきかを真摯に問いかける素晴らしい物語でした。
自分のプロポーズ動画を恥ずかしいと隠し続けていた岩田倫太郎が、最後はそれを裁判の証拠として提出する決意をし、自身の言葉で「生き直す」と語った姿には本当に感動しました。
完璧である必要なんて全くなくて、傷つき、悩み、泣きながらでも、私たちはまた新しい明日を始めることができるのですね。
そして、絵梨子と鴨居卓海の「お互いのことを深く知ろうとしない、これくらいがちょうどいい」という、少し距離を保った大人の関係性も、どこか切なくて今後の展開がますます気になります。
ラストでは、元政治家である新たな被害者が現れ、物語は不穏な影を落としながら次回へと続いていきました。
夏海が抱える過去の闇や、失踪した山崎の行方、鴨居が抱える秘密など、シリーズ全体の大きなサスペンスもいよいよ動き出しそうです。
失敗を恐れず、傷つきながらも一歩ずつ進む彼らの物語を、これからもずっと見届けていきたいですね。
次回はどんな再生のドラマが私たちを待っているのか、本当に今から放送が待ちきれません!
