大阪の熱気が冷めやらぬまま、私たちはもう、初夏の風薫る両国国技館での戦いを見据えています。
多くの相撲ファンの心に、春場所の激闘の残像が焼き付いていることでしょう。
新緑が眩しくなる五月の夏場所に向けて、番付がどのように動くのかを想像するだけで、夜も眠れないほど胸が躍ります。
今回は、あの劇的な春場所の結末を振り返りながら、専門家やファンの予想を網羅的に分析し、夏場所の番付がどうなるのかを徹底的に掘り下げていきたいと思います。
大相撲2026春場所場所の総括
■劇的な幕切れとなった2026年春場所
春場所の主役は何と言っても、音羽山部屋の霧島でした。
彼は十四日目に安青錦に敗れるという波乱がありましたが、追いかける横綱・豊昇龍と平幕の琴勝峰が揃って黒星を喫したため、千秋楽を待たずに三度目の優勝が決まるという珍しい展開になりました。
千秋楽こそ大関・琴桜に押し出されて十二勝三敗という成績でしたが、不屈の精神で賜杯を抱く姿には、元大関としての意地とプライドが溢れていました。
優勝パレードでは雨が降る中、あえて紋付きではなく締め込み姿でオープンカーに乗り、ファンを驚かせる一幕もあり、その姿は初代若乃花を彷彿とさせる伝説的な光景でした。
一方、綱取りに挑んでいた安青錦は、プレッシャーからか精彩を欠き、七勝八敗というまさかの負け越しに終わってしまいました。
これによって彼は、夏場所を初のかど番として迎えることになり、天国から地獄へと突き落とされたような悔しさを滲ませていました。
大相撲の番付の仕組み
■番付編成の仕組みをもう一度おさらい
大相撲の番付は、単なる勝ち星の数だけで決まるわけではないのが奥深いところです。
基本的には前場所の成績が重視されますが、対戦相手の質や、その地位での重み、さらには全体の枠の調整などが複雑に絡み合います。
例えば大関であれば、二場所連続で負け越すと関脇に転落するという厳格なルールがあり、これを「かど番」と呼びます。
霧島の場合は、一度大関から陥落しましたが、直近の三場所で計三十四勝という圧倒的な数字を積み上げたことで、特例とも言えるスピードでの復帰が確実視されています。
三役と呼ばれる関脇や小結の枠は、通常は東西に一名ずつの計四名が基本ですが、今回のように霧島が復帰することで全体のバランス調整が行われます。
また、平幕から十両への陥落については、最近の傾向として「落ちる側を優先して整理する」という冷徹な一面も見られ、ボーダーラインの力士にとっては胃の痛む日々が続くことになります。
大相撲2026夏場所の番付予想|三役は?
■夏場所の顔となる上位陣の予想
まず、頂点に君臨する横綱陣ですが、東には十一勝を挙げて安定感を見せた豊昇龍が座り、西には全休に近い形となった大の里が据え置かれることになるでしょう。
大の里の怪我の具合は非常に心配ですが、横綱という地位は成績不振で即降格することはないため、その回復を待つ形になります。
注目の大関陣は、十勝を挙げて好調を維持した琴桜が東の正位に就き、負け越した安青錦が西に回ると予想されます。
そして、そこへ三度目の優勝を成し遂げた霧島が、堂々の大関復帰を果たすことになり、久しぶりの三代関体制が構築されるはずです。
関脇の座には、小結で九勝を挙げた熱海富士が東に昇進し、その実力を世に知らしめることになるでしょう。
西の関脇には、平幕の上位で十一勝という素晴らしい成績を残した琴勝峰が抜擢される可能性が高く、新世代の旗手として期待が集まります。
小結の枠については、東に若隆景、西に関脇で負け越したものの踏みとどまった高安が入るラインが現実的です。
大相撲2026夏場所の番付予想|前頭は?
■前頭上位の激しい攻防戦の予測
前頭筆頭には、二枚目で勝ち越した藤ノ川が、その技能賞を獲得した相撲内容を評価されて東に座るはずです。
西の筆頭には、四枚目で九勝を挙げた隆の勝が飛び込んでくる形になり、上位陣を脅かす存在となるでしょう。
二枚目には、筆頭で負け越した義ノ富士と、六枚目から九勝を挙げて駆け上がってきた一山本が並ぶ展開が予想されます。
三枚目には、三枚目同士で七勝八敗と健闘した平戸海と王鵬が、そのままの位置付近に据え置かれる形になりそうです。
四枚目には大栄翔、そして十枚目から十勝を挙げて大躍進した豪ノ山が抜擢される見込みです。
五枚目あたりには、三勝十二敗と大崩れしてしまった元小結の若元春が大きく番付を下げて定着し、再起をかける場所となるでしょう。
大相撲2026夏場所の番付予想|幕内・十両
■中下位と幕内十両の入れ替えドラマ
中位から下位にかけては、正代が八勝を挙げて三枚ほど番付を上げるなど、ベテランの意地が見られる再編になりそうです。
藤青雲も十三枚目で十勝を挙げた実績から、六枚目あたりまで一気にジャンプアップしてくる可能性があります。
幕内と十両の入れ替えについては、今回は二名ずつの最小限の動きに留まると見るのが妥当な判断です。
陥落濃厚なのは、全休を喫した翠富士と、途中休場で星が足りなかった阿武剋の二人で間違いありません。
代わって幕内の舞台に上がるのは、十両三枚目で十一勝を挙げ、決定戦の末に優勝は逃したものの勢いのある若ノ勝が新入幕を果たすでしょう。
もう一人は、十両筆頭で九勝を挙げて確実に結果を出した竜電が、返り入幕を決めることになります。
東の十七枚目で七勝八敗だった藤凌駕は、本来なら陥落の危機ですが、十両側で彼を強力に押し出すほどの成績を挙げた力士が不足しているため、残留となる公算が大きいです。
大相撲2026夏場所の番付予想|幕下は?
■幕下から這い上がる力士たちの執念
十両と幕下の入れ替えは、四名ずつの大きな変動が予想されており、そこにはファン待望のドラマが待っています。
最も注目すべきは、脊髄損傷という選手生命に関わる大怪我を乗り越えてきた炎鵬が、ついに十両への復帰を確実にしたことです。
彼は幕下四枚目で五勝を挙げ、入れ替えの競合相手だった藤天晴が十敗を喫したことで、議論の余地のない昇進を掴み取りました。
この復活劇には、多くの相撲ファンが涙し、五月の両国国技館は彼への歓声で揺れることになるに違いありません。
炎鵬の他にも、大花竜が新十両として、そして白鷹山と栃大海が再十両として関取の地位に返り咲くことになります。
一方で、かつて幕内を沸かせた剣翔や島津海といった力士たちが幕下へ陥落するという、勝負の世界の厳しさも同時に突きつけられています。
まとめ
2026年夏場所の番付は、霧島の大関復帰というお祝いムードと、若手の台頭、そして炎鵬の奇跡的な復活が交差する、非常にドラマチックな構成になりそうです。
三役の顔ぶれがリフレッシュされ、新たな優勝争いの軸が生まれる予感がして、今から五月の初日が待ちきれません。
霧島には、舞の海さんが期待したように、地位を守るだけでなく横綱を常に狙うような攻めの相撲を期待したいところです。
また、カド番となる安青錦がどのように精神的に立て直し、再び綱取りへの軌道に戻ってくるのかも、大きな見どころとなるでしょう。
五月場所の公式番付発表は四月末になりますが、それまでの間、この予想を肴に相撲談義を咲かせるのも、また一興ではないでしょうか。
皆さんと共に、伝統と情熱が詰まった土俵のドラマを見守っていける幸せを噛み締めています。
