いよいよ2026年6月から、あの伝説の刑事ドラマ『古畑任三郎』がNetflixで解禁されましたね。
独身男の夜の楽しみにこれ以上のプレゼントはありませんが、ホーム画面を眺めていて「あれ?」と思ったファンも多いはずです。
実は、このデジタル全盛の時代にあっても、いまだに配信の壁を越えられない「欠番回」がいくつも存在しているのです。
今回は、ネットの海を漂うそんな幻のエピソードたちの謎と、その裏に隠された複雑すぎる事情について、僕なりの視点を交えて深く掘り下げていこうと思います。
netflix古畑任三郎|木村拓哉・津川雅彦は欠番で見れない?SMAP回は?
■消えた名作たちの理由
まず多くの人がショックを受けているのが、木村拓哉さんが犯人役を演じた第2シリーズ第4話「赤か、青か」がリストにないことでしょう。
この回が配信されない最大の理由は、やはり旧ジャニーズ事務所時代から続く、インターネット上でのタレントの肖像権管理の厳しさが尾を引いているためと言われています。
また、風間杜夫さんがゲストの「間違えられた男」についても、劇中で流れるアニメ『サザエさん』の映像がネックになっています。
『サザエさん』の権利元は二次利用に対して非常に厳格なスタンスを取っているため、ドラマ1話のためにそのハードルを越えるのは至難の業なのです。
さらに、津川雅彦さんの名演が光る「古い友人に会う(再会)」がスキップされているのは、劇中で使われた過去の著名人の写真や他社作品のイメージといった小道具の権利がクリアできないためだと分析されています。
僕としては、これらの回こそが『古畑』の深みを作っていると思うので、公式配信で飛ばされてしまうのは本当に寂しい限りです。
最もハードルが高いのが、1999年のスペシャル「古畑任三郎 vs SMAP」で、グループ解散後に5人の所属事務所が分かれたことで、肖像権の許諾手続きがもはや迷宮入り状態になっています。
2024年の再放送時には、歴代犯人のパネルでSMAPのメンバーの顔だけが黒塗りやボカシにされるという、ファンとしては涙が出るような事態も起きました。
古畑任三郎|イチロー「フェアな殺人者」は欠番から復活した理由
■復活した奇跡の回
そんな絶望的な状況の中でも、かつては「絶対に見られない」と言われていた回が奇跡的に復活した例もあります。
その代表格が、現役メジャーリーガー時代のイチローさんが本人役で出演した「フェアな殺人者」です。
メジャーリーグ(MLB)やイチローさん本人の肖像権管理は極めて厳しく、長年どの配信サービスでも視聴できない「超激レア回」として君臨していました。
しかし、近年のシリーズ30周年記念などの節目に際し、期間限定ではありますが配信が行われるケースが出てきて、ファンを歓喜させたのです。
こうした「復活」のニュースを聞くたびに、いつかSMAP回も……と淡い期待を抱いてしまうのがファンの性ですよね。
古畑任三郎|地上波とnetflixなど配信の欠番の取扱胃の違い
■地上波と配信の決定的な差
なぜテレビの再放送では流れるのに、Netflixなどのネット配信ではダメなのか、不思議に思う方もいるでしょう。
その答えは、作品が制作された1990年代には「ネット配信」という概念そのものが契約書に存在しなかったことにあります。
地上波の再放送は、制作したフジテレビが自社の枠で流すため、事務所の合意さえあれば比較的スムーズに放送できます。
一方でネット配信は、契約にない「新しい利用形態」となるため、出演者全員や音楽、さらには背景に映る一枚の写真の権利者まで、一人ひとりにゼロから許可を取り直す必要があるのです。
1話につき何十人もの権利者がいることを考えると、そのうち一人でも連絡がつかなければ、プラットフォーム側は配信を諦めるしかありません。
もし完璧に全話を網羅したいなら、今のところは配信を待つより、DVD-BOXやブルーレイBOXを手に入れるのが唯一にして最強の解決策と言えるでしょう。
古畑任三郎ネタバレ|木村拓哉「赤か、青か」
さて、ここからは中身の話ですが、木村拓哉さん演じる林功夫が観覧車に時限爆弾を仕掛ける「赤か、青か」は、サスペンスとして完璧な一品です。
犯人の林は、お気に入りの時計台が観覧車のせいで見えなくなったという、あまりに身勝手な理由で爆破を企て、目撃した警備員を殺害してしまいます。
古畑は、林が爆発物のエキスパートとして警察に協力する立場を利用して接近し、彼の心理的な隙を突いていきます。
クライマックスでは、爆弾を止めるために「赤」か「青」のどちらのコードを切るかという究極の二択を迫られます。
古畑は、林が「本当に欲しいものを無意識に選んでしまう」という心理を利用し、わざと誤った情報を与えることで彼に正しいコードを選ばせる逆トリックを仕掛けたのです。
事件後、林の傲慢な動機を聞いた古畑が、シリーズで唯一、犯人にバックハンドでビンタを見舞うシーンは、何度見ても鳥肌が立ちます。
古畑任三郎ネタバレ|津川雅彦「古い友人に会う(再会)」
■古い友人に会う(再会)
続いて、津川雅彦さんがゲストの第3シリーズ第5話「再会」ですが、これはシリーズで唯一「死人が出ない」という異色の名作です。
古畑の旧友である小説家・安斎亨は、若い妻の不倫に絶望し、自分の自殺を他殺に見せかけて妻に罪を着せようとする「復讐としての完全犯罪」を計画します。
安斎は、硝煙反応が付いた妻のスカーフを用意し、自殺の証拠となる布を飼い犬に隠させるという巧妙な仕掛けを施しました。
しかし古畑は、招待状のFAXの文字が安斎の机で書いた時のように揺れていたことや、犬のしつけの癖から、安斎の本当の狙いを見抜きます。
「たとえ明日死ぬとしても、やり直しちゃいけないって誰が決めたんですか」という古畑の言葉は、絶望の縁にいた安斎だけでなく、僕たち視聴者の心をも救ってくれました。
この回は、古畑が刑事としてではなく、一人の「友人」として悲劇を未然に防ぐ姿が描かれており、個人的にも最も愛しているエピソードの一つです。
「古畑任三郎 vs SMAP」
■古畑任三郎 vs SMAP
最後は伝説の「古畑任三郎 vs SMAP」ですが、これはSMAPの5人が本人役として登場し、仲間を守るために共謀して殺人を犯すという衝撃のストーリーです。
草彅剛さんがゆすり屋の男に恐喝されていたことをきっかけに、メンバーはアリバイを作り上げ、コンサート会場の屋上で男を首吊り自殺に見せかけて殺害します。
トリックの肝は、弁当屋を呼んでエレベーターを操作し、時間差を利用して自分たちがステージにいる間に犯行が行われたように見せる巧妙なものでした。
しかし古畑は、中居正広さんが自分一人で罪を被ろうとしていた細かな矛盾や、現場に残されたわずかな証拠から、5人の鉄の結束を切り崩していきます。
「彼らは悪い人間じゃない。そうでなかったら、こんなにたくさんの人の心を掴むことはできません」という古畑のラストの台詞は、SMAPが解散した今聞くと、より一層胸に刺さります。
現実にはもう見ることが叶わない5人の姿が、ドラマの中では「架空のSMAP」として永遠に輝き続けているのは、ある種の救いなのかもしれません。
まとめ
今回のNetflix解禁は確かに嬉しいニュースですが、欠番回の存在は『古畑任三郎』という作品が抱える「時代の記憶」そのもののように感じます。
肖像権や著作権といった大人の事情があるのは理解できますが、作品の価値がそこにある以上、いつか全てのパズルが揃う日が来ることを願わずにはいられません。
それまでは、僕たちファンが語り継ぐことで、これらの「幻の神回」を風化させないようにしていきたいですね。
もしお手元に古い録画やDVDがある方は、ぜひこの機会に、配信では味わえない「欠けたピース」を噛み締めてみてください。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
