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Google検索から来てくれた皆さん、ありがとうございます。
今回、僕が熱量を持って語りたいのは、日タイ合作のピュアラブストーリー、映画『(LOVE SONG)』についてです。
「BL」というジャンルで括られがちですが、これはもう、性別を超えた普遍的な「愛の物語」だと断言できますよ。
特に、主演二人の繊細な表情や、タイ映画独特の“余白”が生み出す切なさは、考察好きの僕の心を鷲掴みにしました。
この作品の魅力と深層を、じっくりと掘り下げていきましょう。
映画ラブソング ネタバレ|あらすじ
■映画のあらすじ
物語の主人公は、廣木壮太(ソウタ)と杉浦海(カイ)という二人の青年です。
ソウタは森崎ウィンさんが演じる、真面目すぎて恋愛に不器用な化学メーカーの研究員。
一方、カイはSnow Manの向井康二さんが演じる、ミステリアスなカメラマン兼ミュージシャンで、ソウタの初恋の相手です。
二人は大学時代に仲が良かったのですが、ある日、カイがソウタの前から突然姿を消してしまいます。
それから6年の歳月が流れ、ソウタは突然、苦手な飛行機に乗ってまでバンコクへの海外勤務を命じられるんです。
その渡航初日、雑然としたタイの路地裏で、ソウタはまさかのカイと運命的な再会を果たします。
これって、まさにタイでいう「プロムリキット」(運命)ってやつですよね。
カイはバンコクでカメラマンとして働きながら音楽活動を続けていて、二人の距離は異国の喧騒の中で次第に縮まっていきます。
しかし、ソウタは過去の片想いの痛みが忘れられず、「この想いはどうせ叶わない」と、自分の気持ちに蓋をしてしまう。
カイの方もまた、過去に受けたある心の傷から、素直にソウタへの想いを打ち明けられずにいる。
そう、この二人はずっとお互いを想い合っているのに、気持ちを伝えられない“両片想い”の状態なんです。
このもどかしさが、本当に見ていて歯がゆいんですよ!
加えて、ソウタの上司であるエリート社員のジン(及川光博さん)や、ソウタに積極的にアプローチする日本人モデルのワタル(藤原大祐さん)といった個性的な面々が、二人の恋の行方を左右していくことになります。
映画ラブソング ネタバレ|最後の結末は?
■切なすぎる最後の結末
この映画の核心は、なぜお互いに好きなのにすれ違ってしまうのか、という点にあります。
クライマックス直前、ソウタとカイはついに心を通わせ、キスを交わします。
だけど、翌朝、ソウタは突然カイに対し、「どうせまたいなくなるんだろ」「自分の気持ちから逃げるなよ」と激しく感情をぶつけてしまうんです。
これ、初めて見た時「え、ソウタ、急にどうした!?」って驚愕しましたよね。
タイの作品に慣れていないと、この情緒の急旋回には本当に戸惑うはずです。
でも、その直後の回想シーンで、カイが姿を消した真の理由が明かされるんです。
それは、ソウタの母親(筒井真理子さん)からの、同性愛に対する複雑な思いゆえの「呪い」のような言葉でした。
カイは、ソウタを愛しているからこそ、彼が家族と衝突する原因になりたくなくて、自ら身を引く道を選んでいたんですね。
この雨の中、バイクで号泣するカイの姿は、観客の胸を締め付け、ただただ切ない。
この事実を知らないまま、ソウタは一度日本に帰国しますが、やはりカイを忘れられず、彼のライブがあると聞いて再び単身バンコクへ向かいます。
しかし、飛行機の遅延でライブには間に合わず、ソウタは一人街をさまよいます。
絶望の中で歩いていると、まるで運命に導かれたかのように、カイが隣に現れるんです。
再会したソウタは、「誰か好きなヤツでもいるのっていう質問の答えなんだけど、俺はお前が好きだった。俺がずっと言いたかったこと」と、ついに長年の想いを言葉にして伝えます。
カイはソウタを強く抱きしめ、「俺の太陽」と呼び返す。
カイはソウタと向き合う決意をし、日本に帰国することを決め、二人は共に前へ進み始めるところで物語は幕を閉じます。
未完成だったカイの「(LOVE SONG)」のカッコが外れ、LOVE SONGが完成する瞬間、僕はこの奇跡的な両想いに、鳥肌が立ちました。
映画ラブソング ネタバレ評価|感想は面白い?
■賛否両論を呼ぶ作品評価
この映画の評価は、全体的に非常に高いです。
レビューを見ると、多くの人が「ピュアで切ない美しいラブストーリー」として絶賛しています。
特に、向井康二さん演じるカイの演技は、バラエティで見せる明るい彼とは真逆で、言葉が少ない分、視線や表情だけで感情を伝える繊細な表現力が「エグい」と大絶賛されています。
ライブシーンの魂のこもった歌声に、思わず泣いてしまう人も続出しています。
一方、森崎ウィンさん演じるソウタの、カイを見つめる「恋する乙女のような」可愛らしい演技も、この作品に清潔感と美しさを与えています。
ただ、タイのBLドラマ『2gether』を手掛けたチャンプ監督の演出は、日本の映画とは違い、登場人物の心情や展開をあえて説明しない「余白の多さ」が特徴です。
そのため、「ソウタの感情の振り幅が急すぎる」とか、「なぜあんな大都市で偶然何度も再会できるんだ」といった、展開の強引さやツッコミどころを指摘する意見も散見されます。
しかし、個人的には、この「余白」こそがこの映画の醍醐味だと思っています。
観客が「なぜ?」と考え、自分なりの解釈で心の機微を埋めていくからこそ、何度も見たくなる中毒性が生まれているんです。
映画ラブソング |この作品のテーマ
■作品のテーマ「好きと言えたら、世界は変わる」
この作品が伝えたい核となるメッセージは、間違いなく「愛の普遍性」と「言葉で伝えることの尊さ」でしょう。
キャッチコピーにもあるように、「好きと言えたら、世界は変わる」というテーマが終始流れています。
ソウタとカイがお互いを強く想い合っているのに、長い間すれ違っていたのは、二人それぞれが持つ「言えない理由」があったからです。
ソウタは同性愛という現実に戸惑い、カイを失いたくないという臆病さから一歩を踏み出せない。
カイは、ソウタの家族との関係を壊すまいとする、あまりに深く、愛するがゆえの沈黙を選んでいた。
彼らが抱える苦しみは、性別に関係なく、大切な人を想う全ての人に通じる普遍的な感情です。
また、この物語の舞台がバンコクであることも、テーマを補強しています。
タイは、日本よりも同性愛に対して寛容な空気があり、その多様性や開放的な雰囲気が、ソウタとカイの抑圧された愛を包み込んでいるように感じられるんです。
特に、タイトルに付された「( )」は、まさに彼らが言葉にできなかったり、過去の傷や社会の偏見によって閉じ込めていた愛を象徴しているんですよ。
最終的にソウタが勇気を出して「好き」と言葉にした瞬間、そのカッコが外れて真のLOVE SONGが完成する。
これは、愛は心で通じているだけでは不完全であり、言葉にすることで初めて現実の世界を変える力を持つ、という監督からの力強いメッセージだと僕は受け止めました。
まとめ
■切なさと希望に満ちた運命のピュアラブ
映画『(LOVE SONG)』は、タイのチャンプ監督が描く、美しくも切ない「両片想い」の物語です。
タイの色彩豊かな映像美と、Omoinotakeさんが歌う主題歌「Gravity」が、離れても消えない二人の運命的な絆を際立たせています。
日本の緻密な心理描写と、タイの余韻を残す演出が交差することで、観客は二人のキャラクターの内面と外面のギャップに深く感情移入させられます。
クールなカイの瞳の奥に秘められた痛み。
感情を抑えきれずに爆発してしまう、子犬のようなソウタの可愛らしさ。
この正反対の二人が、過去の呪いを乗り越え、ついに「好き」を伝え合ったラストシーンは、まさに奇跡的な瞬間であり、見ている僕まで胸が熱くなりました。
もしこの作品に少しでも興味を持たれたなら、ぜひ劇場で、そして可能ならノベライズ本とセットで楽しんで欲しいです。
ノベライズでは、映画では描かれなかったカイの複雑な心情や、ソウタの心の動きが、それぞれの目線から丁寧に描かれています。
そうすることで、映画を二度観る時に、「あぁ、あの時のカイの表情は、こういうことだったのか!」と、物語の解像度が格段に上がり、切なさがさらに深く胸に染み渡りますよ。
愛に悩むすべての人に、一歩踏み出す勇気をくれる、そんな温かい余韻が残る名作です。
あなた自身の心のLOVE SONGを見つけるために、ぜひ劇場へ足を運んでみてください!
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
