朝の爽やかな光とともに、私たちの心を揺さぶり続ける物語が、また一歩大きく動き出しました。
今回の「風、薫る」第117話は、登場人物たちそれぞれの葛藤が静かに交錯する、非常に見応えのあるエピソードでしたね。
特にヒロインたちの娘である環が、自分の未来を見つめ直す姿には、子を持つ親のようなどこか温かい視線を送ってしまった方も多いのではないでしょうか。
元夫である亀吉の突然の再登場も重なり、今後の展開からますます目が離せない状況になってきています。
今回は、この波乱に満ちた最新回の魅力を、余すところなくお届けしていきます。
風、薫る(朝ドラ)117話までの振り返り
■激動の明治を生き抜く彼女たちのこれまで!前回までのあらすじをおさらい
物語の舞台は、日清戦争という大きな試練を乗り越え、明治32年の秋を迎えています。
直美は戦地で夫の吾郎を失い、残された幼い息子の明を女手一つで育てるという、非常に厳しい現実に直面していました。
そんな中でも直美は、貧しい人々を救うための「恵風看護婦会」を立ち上げ、自らの理想とする無償の看護を追い求めています。
一方で、りんはかつて深く愛し、自立を支え続けた小説家志望のシマケンこと島田健次郎と、久しぶりの再会を果たしていました。
しかし、お互いにすれ違ってきた時間の長さのせいか、どこか他人行儀で縮まらない距離感に、観ているこちらも切なさを禁じ得ません。
そして、りんと元夫である亀吉の娘、環は、女学校の卒業を間近に控え、今後の進路について深く悩み始めていました。
絵を描くことが大好きな環ですが、同じ部屋で暮らす直美やセツ、そして母の働く姿に触れるうち、看護の仕事にも興味を惹かれていくのです。
そんな葛藤の最中、恵風看護婦会の事務所に、深く帽子を被った怪しい男がふらりと現れたところで、前回の放送は終了しました。
風、薫る(朝ドラ)117話ネタバレあらすじ
■第117話のストーリー解説!突然現れた元夫と少女が目にした母の背中
事務所を訪れた謎の男、その正体は、かつてりんを苦しめ、酒乱の末に離婚することとなった元夫の奥田亀吉でした。
亀吉が「りんの元夫」であることを全く知らない同僚のしのぶは、不審な男に対して、持ち前の直球な性格で「どちら様ですか」と容赦のない質問攻めを開始します。
しのぶのペースに飲まれた亀吉が、那須からやってきたと答えると、その地名を聞いた直美はハッとして作業していた手を止めました。
亀吉は居心地悪そうに「今日は一ノ瀬(りん)さんはいないのか」と尋ねますが、直美は「りんは泊まりで看護に出ていて不在だ」と答えます。
用件を尋ねる直美に対し、亀吉は何かを思い詰めたような表情を浮かべながら、「いや、何でもない」とだけ言い残し、そそくさと逃げるように立ち去ってしまいました。
その頃、環は団子屋を営むチュウの店で一生懸命にスケッチをしており、チュウからお店の看板となる引札の絵を描いてほしいと頼まれます。
嬉しい頼み事ではありましたが、女学校の勉強や家事の手伝いで忙しい環は、「絵を描いている暇はあまりないから」と、寂しそうに一度は断ってしまいます。
その後、環は長屋の隣人であるセツに優しく漢字を教えており、セツから「環という名前はとても難しい漢字を書くんだね」と声をかけられました。
セツのために美味しそうな蒸し麺包の絵をノートに描く環に向かって、セツは「本当に絵が好きなんだね」と感心したように微笑みかけます。
セツが「こんなふうに勉強をさせてもらえるなんて、自分は本当に運が良くて贅沢だ」としみじみ語る姿を、環は温かい目で見つめていました。
午後になり、環は看護婦という仕事がどのようなものか肌で感じるため、男爵家夫人の宮川佳枝の自宅で行われている、りんの派出看護の現場を見学することになります。
佳枝に食事を食べさせてあげるりんの姿を手伝う中で、環は佳枝から「一人で帰るの」と声をかけられます。
環が「もう一人の母(直美)が迎えに来ます、少し変な家族ですが、私の自慢のお母さんたちです」と誇らしげに語る姿に、佳枝は温かい笑みを浮かべました。
しかし、佳枝が喉を詰まらせそうになりながら辛そうに食事をとる姿を見て、環はりんに対して、ある素朴な疑問を抱きます。
仮眠部屋に戻った後、環は「食事をとるのがあんなに辛そうだったのに、どうしてお母さんは手伝ってあげないの」と、りんに問いかけました。
りんは穏やかな表情で「それは、佳枝さん自身の『自分でやりたい』という気持ちを尊重しているからだよ」と語りかけます。
看護は最初から心が通じ合うものではなく、佳枝さんとは7年もの歳月をかけて、少しずつ信頼関係を築いてきたのだと、りんは自らの信念を娘に伝えました。
その日の夜、佳枝が突然激しい痛みにうなされ始めると、りんはすぐさま布団の横に駆け寄り、献身的に佳枝の体をさすりながら声をかけ続けます。
その母の壮絶とも言えるプロフェッショナルな姿を、環は物陰から、言葉を失った様子でただじっと見つめていました。
自宅では、直美が息子の明が散らかした木くずやおもちゃを片付ける中で、環が大切にしていた雑記帳を偶然見つけてしまいます。
何気なく開いたページにびっしりと描き込まれた美しい絵の数々を目にした直美は、環の本当の想いに気づき、静かに雑記帳を閉じるのでした。
風、薫る(朝ドラ)117話ネタバレ感想
■母親への憧れと違和感!繊細に描かれた親子の心のすれ違いを紐解く
今回の第117話を観て、私は環という多感な少女の心の揺れ動きが、実にリアルに表現されていることに深く感動しました。
単に「母親が格好よく働いているから自分も看護婦になりたい」と夢見るのではなく、仕事のシビアな部分に直面して「なぜ手助けしないのか」と疑問を持つ描写が、とても人間らしいと感じるのです。
自分でスプーンを握り、自分の力で食事を口に運ぶこと、それは人間としての最後の尊厳を守る行為でもあります。
りんはそれを誰よりも理解しているからこそ、手を貸さずに見守るという「あえて何もしない」高度な看護を実践しているわけですね。
まだ若い環にとって、目の前で苦しんでいる人をすぐに助けない母の姿は、一見すると冷酷に映ってしまったのかもしれません。
ですが、夜中に佳枝が痛みに苦しんだ時、自分の体を顧みずに佳枝に寄り添う母の姿を間近で見たことで、環の心の中の何かが大きく変わったことは間違いありません。
直美が環の雑記帳を見つけてしまうシーンも、直美自身の生い立ちを考えると非常に涙を誘うものがあります。
親に捨てられ、まともに好きなことを選ぶことすら許されなかった過酷な人生を歩んできた直美だからこそ、環の絵の才能を絶対に潰したくないと強く願うはずです。
そして何より、あの身なりのすっかり落ちぶれてしまった亀吉の姿には、かつての成金の傲慢さが消え失せていて、言葉にできない哀愁を感じました。
しのぶの遠慮のない質問攻めというユーモラスなやり取りが、亀吉の持つ影を際立たせ、ドラマとしてのメリハリを絶妙に作っていたと思います。
風、薫る(朝ドラ)117話からどうなる?
■明日の放送で何が起きる?手紙がもたらす再会と環の決断を大予想
明日の第118話では、いよいよ環が、かつて自分と母を捨てた実の父親である亀吉と、正面から向き合うことになります。
直美は環を傷つけまいと、かつてのクズ夫である亀吉を厳しく突き放して追い返そうとするでしょう。
しかし、亀吉がどうしても環に手渡したかったものは、彼自身の言葉ではなく、「ある人物からの手紙」であることが分かっています。
この手紙の送り主は、おそらく那須で運送業を営み、一ノ瀬家との縁談を強引に進めた亀吉の母、つまり環の祖母である貞ではないでしょうか。
貞は非常に気が強く、一代で財を成したプライドを持っていましたが、りんたちが家を出る際には、不器用ながらも優しさを見せてくれた人物です。
もしかしたら、自分が老い先短いことを悟り、孫である環の新しい門出を祝うために、亀吉に手紙を託したのかもしれません。
手紙を読んだ環は、もう一度父親と向き合って対話をすることを決意するようですが、この親子の和解が、環の将来を決定づけることになりそうです。
チュウから頼まれていたお店の引札の仕事も、環が「絵を描くこと」で誰かを喜ばせ、自らの才能で自立していく大きな一歩になるのではないでしょうか。
看護の尊さを学びつつも、やはり大好きな絵の道へ進むという、環の本当の意味での「自立」が描かれるのではないかと、私は大いに期待しています。
まとめ
第117話は、明治という新しい風が吹く時代の中で、女性たちが自らの進路と家族の絆を模索する、非常に美しいエピソードでした。
傷つきながらも必死に生きる大人たちの姿を見て、環がどのような道を選択していくのか、明日も正座をして見守りたいと思います。
