2026年、ミラノ・コルティナの銀盤で繰り広げられた熱い戦いが、ついに感動のフィナーレを迎えました。
氷上の芸術祭とも称されるエキシビション・ガラが、2月21日の夜、ミラノ・アイススケートアリーナを光と魔法で包み込んだのです。
勝敗の重圧から解放されたスケーターたちが、自身の魂を自由に表現するこの夢のような時間を、僕たちファンの視点から余すところなく振り返ってみましょう。
フィギュアスケートのエキシビション参加選手|2026ミラノ・コルティナ冬季五輪
■出演スケーターたちの煌めき
男子シングルでは、カザフスタンの新星で金メダリストのミハイル・シャイドロフが、なんと「Kung Fu Panda」の衣装で登場し、会場を爆笑と驚嘆の渦に巻き込みました。
銀メダルに輝いた鍵山優真選手は「Frostline」でその卓越したスケーティングスキルを披露し、銅メダルの佐藤駿選手は「千本桜」で力強く舞い、二人とも早くも新たな大技習得への情熱を燃やしていました。
個人的に最も胸を打たれたのは、個人戦で8位と苦しんだイリア・マリニンが、ラッパーNFの「Fear」に乗せて滑った孤独と克服の演技で、あの代名詞のバックフリップが決まった瞬間の大歓声は、彼が真のアスリートでありアーティストであることを証明していました。
女子では、アメリカに24年ぶりの金メダルをもたらしたアリサ・リュウが「Stateside」を弾けるような笑顔で滑り、その多幸感に満ちた姿に誰もが魅了されました。
今季での引退を惜しまれながら銀メダルを掴んだ坂本花織選手は「A Million Dreams」で、これまで支えてくれたすべての人への感謝を伝えるような、慈愛に満ちた伸びやかな滑りを見せてくれました。
史上最年少メダリストの快挙を成し遂げた中井亜美選手が「Don’t You Worry ‘Bout A Thing」で見せた初々しい喜び、そして歴史的金メダルに輝いた「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組が放つダイナミックなデススパイラルは、まさに日本のフィギュア界が到達した新たな頂を象徴していました。
さらにはアイスダンスの金メダリスト、ギヨーム・シゼロンとロランス・フルニエ・ボードリーの組や、特別招待された地元のレジェンド、カロリーナ・コストナーなど、40名を超える豪華な面々が揃いました。
男子シングル(7名)
- Mikhail Shaidorov(カザフスタン) ? オリンピック金メダル
- Yuma Kagiyama(鍵山優真、日本) ? オリンピック銀メダル
- Shun Sato(佐藤駿、日本) ? オリンピック銅メダル
- Ilia Malinin(イリア・マリニン、米国) ? 団体金メダル(個人は上位入賞)
- Junhwan Cha(チャ・ジュンファン、韓国)
- Adam Siao Him Fa(アダム・シャオ・イム・ファ、フランス)
- Daniel Grassl(ダニエル・グラスル、イタリア)
女子シングル(7名)
- Alysa Liu(アリサ・リュウ、米国) ? オリンピック金メダル(米国女子24年ぶり個人金)
- Kaori Sakamoto(坂本花織、日本) ? オリンピック銀メダル
- Ami Nakai(中井亜美、日本) ? オリンピック銅メダル(日本史上最年少メダリスト)
- Amber Glenn(アンバー・グレン、米国)
- Adeliia Petrosian(アデリーヤ・ペトロシアン、AIN:中立個人)
- Niina Petrokina(ニーナ・ペトロキナ、エストニア) ? 欧州選手権2連覇
- Haein Lee(イ・ヘイン、韓国)
ペア(5組・10名)
- Riku Miura / Ryuichi Kihara(三浦璃来/木原龍一、「りくりゅう」、日本) ? オリンピック金メダル(日本ペア史上初の金、世界選手権王者)
- Anastasiia Metelkina / Luka Berulava(アナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラヴァ、ジョージア) ? オリンピック銀メダル、欧州王者
- Minerva Fabienne Hase / Nikita Volodin(ミネルヴァ・ファビエンヌ・ハーゼ/ニキータ・ボロディン、ドイツ) ? オリンピック銅メダル
- Maria Pavlova / Alexei Sviatchenko(マリア・パブロワ/アレクセイ・スビアチェンコ、ハンガリー)
- Sara Conti / Niccolo Macii(サラ・コンティ/ニッコロ・マチー、イタリア)
アイスダンス(6組・12名)
- Guillaume Cizeron / Laurence Fournier Beaudry(ギヨーム・シゼロン/ロランス・フルニエ・ボードリー、フランス) ? オリンピック金メダル
- Madison Chock / Evan Bates(マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ、米国) ? オリンピック銀メダル
- Piper Gilles / Paul Poirier(パイパー・ギレス/ポール・ポワリエ、カナダ) ? オリンピック銅メダル
- Charlene Guignard / Marco Fabbri(シャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ、イタリア)
- Allison Reed / Saulius Ambrulevi?ius(アリソン・リード/サウリウス・アンブルレビチウス、リトアニア)
- Olivia Smart / Tim Dieck(オリビア・スマート/ティム・ディーク、スペイン)
特別ゲスト・グループ演技
- Carolina Kostner(カロリーナ・コストナー、イタリア):地元イタリアのレジェンド、2014年ソチ五輪銅メダリスト。複数回オリンピック出場経験者として特別招待。
- Team USAグループ、Italian Olympic Figure Skating Teamなどの団体ナンバー。
- 開会ナンバー(イタリアン曲中心)、全員参加のグランドフィナーレ(全員で振付された大団円)。
披露プログラム例(一部、公式song listより):
- Alysa Liu:「Stateside」
- Ilia Malinin:「Fear」
- りくりゅう:「Can’t Stop the Feeling」
- Mikhail Shaidorov:カンフーパンダ風(着ぐるみ+「Kung Fu Fighting」)
- メテルキナ/ベルラヴァ組:バスローブから「Mortal Kombat」着替え
- 坂本花織:「A Million Dreams」
- 中井亜美:「Don’t You Worry ‘Bout A Thing」
- 佐藤駿:「Senbonzakura」
- 鍵山優真:「Frostline」
フィナーレ:「Viva la vida」など。
坂本花織の伝統的な「自撮り記念写真」も話題になりました。
フィギュアスケートのエキシビション参加資格は?なぜ?
■選定基準の光と影
エキシビションは完全な「招待制」であり、選手にとっては大会での努力に対する最高のご褒美とも言える名誉ある舞台です。
基本的には男子・女子シングル、ペア、アイスダンスの各ポディウムに上がった金・銀・銅のメダリスト全員が優先的に選ばれます。
それに加えて、団体戦で目覚ましい活躍を見せた選手や、開催国であるイタリアのスター選手、さらには順位に関わらず観客を圧倒したスケーターが主催者によって選ばれる仕組みになっています。
しかし今回、女子で僅差の4位と大躍進を遂げた千葉百音選手が選ばれず、一方で6位だった中立選手のペトロシアンが出演したことは、ファンの間でも大きな議論を呼びました。
僕も一人のブロガーとして、あの百音ちゃんの繊細で美しい滑りをもう一度見たかったという想いは強く、選考の難しさや政治的なバランスという現実を突きつけられたような、複雑な気持ちになったのも正直なところです。
それでも、ベテランから新星までが国籍を越えて集い、互いを称え合う姿こそが、オリンピックという特別な祭典の真髄なのだと感じさせてくれます。
フィギュアスケートのエキシビション準備編
■舞台裏の事前準備
エキシビションは自由度が極めて高いからこそ、その準備は数ヶ月前、あるいはシーズンが始まる前のオフの時期からすでに始まっています。
選手たちは競技用のプログラムとは別に、自分の個性を最大限に爆発させるための曲を選び、衣装を新調し、時には小道具まで用意して、自分だけのエンターテインメントを作り上げるのです。
競技では禁止されているバックフリップや、演技中の衣装替え、スポットライトだけが照らすドラマチックな演出など、すべてがこの一晩のために緻密に、かつ遊び心を持って構成されています。
驚くべきことに、全員で滑る華やかなグランドフィナーレの振付は、なんと本番当日の朝に全員がリンクに集合して、振付師の指導のもとで急ピッチで作られるのがフィギュア界の伝統になっています。
本番では、三浦璃来選手の衣装のチャックが開いていることに気づいた木原龍一選手が、演技中にさりげなくアドリブで閉めてあげるという「りくりゅう」らしい絆が見られるなど、極限の緊張から解き放たれたこの場所だからこそ生まれるハプニングも、また魅力の一つです。
まとめ
フィギュアスケートが持つ「スポーツとしての厳格さ」と「芸術としての豊かさ」が見事に融合したミラノの夜は、私たちの心に消えない灯をともしてくれました。
点数という物差しを捨て、氷の上でただ純粋に「滑る喜び」を爆発させるスケーターたちの姿は、見ている僕たちまで自由な気持ちにしてくれます。
坂本花織選手が恒例の自撮りで仲間たちと笑い合う姿は、まさにこの大会が素晴らしい友情と尊敬で結ばれていたことの何よりの証でしょう。
ミラノの空に響いた惜しみない拍手と、リンクに投げ込まれた無数の花束の光景は、2026年の冬を象徴する最高の思い出として、これからも語り継がれていくに違いありません。
