RIP SLYMEというグループが、僕ら世代にとってどれほど大きな存在だったか、改めて語るまでもありませんよね。
「楽園ベイベー」が街中で流れていたあの夏、僕たちの青春には常に彼らの軽快なラップが寄り添っていました。
そんなグループの要であり、独特のハイトーンボイスでファンを魅了し続けてきたPESさんについて、最近また大きな動きがあったのをご存知でしょうか。
25周年という節目に再集結を果たした彼ですが、その裏側にあるこれまでの歩みや葛藤は、実は驚くほど波乱万丈なんです。
今回は、一人のファンとして、そしてネットの海を回遊するブロガーとして、Wikipediaに負けないくらい深く、そして丁寧に彼の真実を掘り下げていきたいと思います。
一時期は「もう二度と同じステージに立つ姿は見られないのではないか」とまで囁かれた彼が、今どんな思いでマイクを握っているのか、一緒に紐解いていきましょう。
リップスライムPES｜プロフィール・生い立ち
■PESのプロフィールと複雑な生い立ち
PESさんの本名は千葉昌嗣（ちば まさつぐ）さんといい、1976年12月27日に東京都で生まれました。
現在48歳になる彼ですが、その少年時代は、華やかな音楽シーンのイメージからは想像もつかないほど孤独と隣り合わせだったようです。
彼が生まれて間もなく、ご両親は離婚されており、実のお父さんとは一度も会ったことがないと本人が明かしています。
兄弟もいない一人っ子として育ちましたが、お父さんに腹違いの兄弟がいるかどうかも分からないという状況は、子供心にどんな影を落としたのでしょうか。
お母様は自営業として小料理屋を営んでおられましたが、仕事が非常に忙しかったため、PESさんは小学生の頃から何度も転校を繰り返す日々を送ります。
時にはお母様の仕事の都合で、家ではなくホテル住まいを経験することもあったというから驚きです。
さらに衝撃的なのは、中学2年生の頃からすでに一人暮らしを始めていたという事実で、多感な時期をたった一人で過ごしていたことになります。
彼が後に「小卒」と自称することもあるのは、転校の多さや家庭環境ゆえに学校生活が安定していなかった背景があるのかもしれません。
そんな孤独な夜を救ったのが、中学1年生の時に出会ったギターであり、お母様の知り合いのギタリストから教わったことが音楽の道への第一歩となりました。
リップスライムPES｜経歴・若いころ
■経歴と原宿で過ごした若いころ
音楽にのめり込んだPESさんは、ジャパンインターナショナルスクールでILMARIさんと出会い、1994年にRIP SLYMEを結成することになります。
グループ名である「RIP SLYME」の由来は、初期メンバーのRYO-Zさん、ILMARIさん、PESさんの頭文字を取ったものだというのは有名な話ですね。
ちなみに「PES」という名前自体、結成前にRYO-Zさんととんかつを食べている時に命名されたという、なんとも彼ららしいエピソードが残っています。
メジャーデビュー前は原宿のストリートカルチャーの中に身を置いており、アパレルショップでバイトをしながら音楽の腕を磨いていました。
新宿育ちだった彼は、当時KREVAさんと一緒に「CRIB」というショップで働いていたこともあるそうで、当時の原宿がいかに豪華な才能の溜まり場だったかが分かります。
大手ハンバーガーチェーンでバイトをしていた時期には、なぜか中華メニューのチャーハンばかり作らされていたという面白い思い出も語っています。
2001年に「STEPPER’S DELIGHT」でメジャーデビューしてからは、飛ぶ鳥を落とす勢いで日本のヒップホップシーンの頂点へと駆け上がりました。
彼は作詞作曲の才能も凄まじく、「One」や「黄昏サラウンド」など、僕たちの心に刻まれた名曲の多くを彼が手掛けています。
2012年にはドラマ『リーガル・ハイ』の主題歌「女神のKISS」でソロデビューも果たし、グループの枠を超えたクリエイターとしての地位を確立しました。
リップスライムPES｜脱退理由
■衝撃の脱退理由とメンバーとの確執
順風満帆に見えたRIP SLYMEですが、2018年に突如として活動休止が発表され、ファンに激震が走りました。
さらにショックだったのは、PESさんが2021年になって「実は2017年9月にすでに脱退していた」と告白したことです。
彼が公表した脱退の経緯は、私たちが抱いていた「仲良しグループ」という幻想を打ち砕くほど、深刻なものでした。
SNS上で彼は、グループ内での自分の立ち位置を「パシリ」や「お手伝いさん」のような扱いだったと悲痛な言葉で綴っています。
20年もの間、他のメンバーから「足を引っ張るな」と言われ続けてきたという告白は、同じ30代の男として胸が締め付けられる思いがしました。
活動休止の事実さえもニュースで初めて知ったという彼の言葉からは、メンバー間のコミュニケーションが完全に断絶していたことが伺えます。
現メンバー側は後に「いじめ」の事実は否定していますが、PESさん本人が「何度も心を折られた」と感じていたのは紛れもない事実でしょう。
一時は「同じステージに立つことは想像すらできない」とまで語っていた彼が、再びメンバーと向き合うまでには、計り知れない葛藤があったはずです。
それでも2025年、メジャーデビュー25周年を機に、2026年3月までの期間限定で再加入を決断した彼の姿には、言葉にできないプロ根性を感じます。
リップスライムPES｜結婚と子供
■結婚と離婚そして子供の存在
PESさんのプライベートに目を向けると、2013年1月6日に一般女性と結婚したことをファンに報告しています。
お相手は「一般人」とされていましたが、後に元グラビアアイドルで女優としても活躍していた、すほうれいこ（三谷麗子）さんであると判明しました。
彼女は結婚当時、すでに芸能界を引退してファッション業界で広報の仕事をされており、5年ほどの交際期間を経てのゴールインだったようです。
誰もが認める美人妻の支えがあり、公私ともに充実していると思われていましたが、実は2023年に離婚していたことが本人の発言から分かっています。
約10年にわたる結婚生活にピリオドを打った理由は明かされていませんが、グループの脱退騒動など心身ともに過酷だった時期を共にしたパートナーとの別れは、彼にとって大きな転機となったことでしょう。
お子さんについては、これまでSNSやメディアで情報が出たことは一切なく、公には「いない」あるいは「非公表」という形になっています。
彼自身が複雑な家庭環境で育ったこともあり、もし子供がいたとしても、プライバシーを守るために徹底して伏せている可能性も考えられます。
現在は独身として生活しており、自宅では2匹のチワワやインコを大切に育てていた愛犬家・愛鳥家としての一面も持っています。
生き物への深い愛情を持つ彼だからこそ、あの繊細で心に響くメロディが生み出されるのかもしれません。
リップスライムPES｜実家と家族構成（両親・兄弟）
■実家と複雑な家族構成について
PESさんの家族構成を改めて整理すると、お母様と本人の二人家族という、非常にミニマムな環境で育ったことが分かります。
実家は東京都内にありますが、お母様が経営する小料理屋が生活の基盤であり、そこには多くの芸能人も訪れるような場所だったそうです。
お父様に関しては、離婚後に再婚して別の家庭を持っている可能性もありますが、PESさん自身は腹違いの兄弟についても「分からない」と語っています。
親戚付き合いなども希薄だったのか、孤独な一人暮らしを14歳から始めた経験は、彼を早くに自立させた一方で、心のどこかに寂しさを残したのかもしれません。
彼が体に刻んでいる多くの刺青や、趣味であるサーフィン、そして植物への傾倒などは、どこか自分だけの世界を大切に守ろうとしているようにも見えます。
家庭という温かい居場所を十分に知らずに育った彼が、RIP SLYMEという「疑似家族」のような場所で傷ついた痛みは、想像を絶するものだったでしょう。
しかし、2024年2月にはILMARIさんと直接会い、これまでの「ボタンの掛け違い」を解消するために話し合いを重ねたことが報告されました。
家族とはまた違う、腐れ縁のような仲間たちと再び歩み始めた彼の決断を、今は静かに応援したい気持ちでいっぱいです。
まとめ
RIP SLYMEのPESさんというアーティストを深掘りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
華やかなステージの裏側で、彼は誰よりも孤独を知り、誰よりも人間関係の摩擦に苦しんできた人なんだと痛感します。
それでも彼が生み出す音楽が、今もなお色褪せずに私たちの心を踊らせるのは、その根底にある「切なさ」や「優しさ」が本物だからではないでしょうか。
期間限定の再集結がどのような結末を迎えるのか、そして2026年3月以降、彼がどのような道を歩むのかはまだ誰にも分かりません。
ただ一つ言えるのは、彼が再び笑顔でマイクを握り、あの唯一無二の声を届けてくれること自体が、ファンにとっては最大のギフトだということです。
彼の人生という長い旅路が、これからは少しでも穏やかで、植物や波の音に癒される「素敵なこと」で満たされるよう願ってやみません。
まるで荒れた海を乗り越えてきたサーファーが、ようやく見つけた穏やかな波に乗っているかのような、今の彼の姿をしっかりと目に焼き付けておきたいですね。
