2025年のM-1グランプリ、その幕が閉じた今でも僕の頭の中にはあの独特なリズムが鳴り響いています。
史上最多となる1万1521組という気の遠くなるような頂点に立ったのは、結成10年目の「たくろう」でしたね。
僕自身、お笑い好きとして毎年この大会を固唾をのんで見守っていますが、今回の彼らの優勝はまさに「大番狂わせ」という言葉がふさわしい衝撃的なものでした。
彼らがどのようにしてあの過酷なステージを制したのか、そのネタの神髄からネット上を駆け巡る賛否両論まで、熟練ブロガーの視点で徹底的に深掘りしていこうと思います。
m1グランプリ2025たくろうネタの詳細
■圧巻の大喜利スタイル!たくろうが披露したネタの全貌
まずファーストラウンドで彼らが投下したのは、ボクシングの「リングアナウンス」を題材にした漫才でした。
きむらバンドさんが本物さながらの重厚な声で「WBOスーパーフライ級王者!」と煽るのに対し、知識ゼロの赤木さんが「WHO、世界保健機関!」と、とんでもない角度からそれらしい抑揚で返していく構成です。
「BBQウインナー担当」や「PCR検査5年連続陽性」といった、ボクシングとは無縁すぎるパワーワードを必死に絞り出す赤木さんの姿に、会場は一気に彼らの世界観に飲み込まれていきました。
この時点での得点は861点という高得点で、堂々の2位通過を果たしたのは記憶に新しいところです。
そして運命の最終決戦、彼らが選んだのは「ビバリーヒルズに住む練習」という設定の漫才でした。
まるでアメリカのホームドラマの吹き替えを観ているかのような大げさな口調で進むのですが、中身は驚くほど「日本人的な自意識」に満ちています。
きむらさんが演じる「GoogleでAIを開発しているジェームズ」という華やかな存在に対し、赤木さんは「Yahoo!で天気予報を見てるジョージ」だと卑近な日常で応戦するのです。
後半になるにつれて「やよい軒でお代わりをしてるジョージ」や「大阪府の納税者のジョージ」など、スケールがどんどん小さくなっていくギャップが爆発的な笑いを生んでいました。
実はこの2本目のネタ、11月にできたばかりの新作だったそうで、崖っぷちの彼らが勝負に出た結果がこの戴冠に繋がったわけですね。
m1グランプリ2025たくろうネタの感想|面白いという評価
■腹筋崩壊の声が続出!視聴者が絶賛したたくろうの魅力
放送終了後、SNSでは彼らを称賛する声が滝のように溢れ、「たくろう」がトレンド1位を独占する事態となりました。
特に多かったのは「久しぶりに漫才を観て涙が出るほど笑った」という、理屈抜きで楽しめた人たちの熱い感想です。
赤木さんのあの「挙動不審」とも言える唯一無二のキャラクターが、緊張と緩和を見事に作り出していたことが大きな要因でしょう。
視線がキョロキョロと泳ぎ、自信なさげにゴニョゴニョと喋る姿は、普通ならミスに見えてしまうところを強力な武器へと変えていました。
また、彼らの漫才には「中毒性」があるという意見も目立ち、一度ハマると何度も見返したくなる中毒患者が続出しています。
「Yahoo!天気予報」や「大阪での納税」といった誰もが知るワードが、あのアメリカンな設定に放り込まれることで生まれる「パターンの発見」が天才的だという評価もありました。
僕個人としても、これまでのM-1で主流だった「高学歴コンビによる複雑で知的な戦略ネタ」へのアンチテーゼとして、このシンプルさが心地よく刺さった気がします。
m1グランプリ2025たくろうネタの感想|面白くないという評価
■「面白さがわからない」?批判的な意見とその背景を深掘り
一方で、全ての王者が通る道ではありますが、今回のたくろうの優勝に疑問を呈する声も少なからず存在します。
批判の多くは「笑わせ方がワンパターンで、ただのワード披露会に見えた」という、構造の単純さを指摘するものでした。
また、ネタの根幹が海外ドラマの吹き替えモノマネに依存しているため、「元ネタを知らないと何が面白いのかさっぱり理解できない」という疎外感を感じた視聴者もいたようです。
「大阪で納税」などのフレーズも、意味が分からなすぎて全く笑えなかったという極めて冷ややかな意見もあり、笑いのツボの多様性を改めて実感させられます。
さらには、あまりのウケ方に「出来レースではないか」という厳しい疑いの目を向ける人や、お笑いの質が落ちたのではないかと嘆く声もありました。
特に以前の王者たちの完璧に計算し尽くされた構成を好む層からは、今回の「アドリブ感」を重視したスタイルは軽く見えてしまったのかもしれません。
こうした否定的な意見は、彼らの漫才がこれまでの王道とは一線を画す「異色」なものであった証左とも言えますね。
m1グランプリ2025たくろうネタ|審査員と視聴者の評価のズレ
■なぜ評価が割れたのか?審査員と視聴者の間にある温度差の正体
今回の大会で最も議論を呼んだのが、スタジオの爆発的な盛り上がりとお茶の間の温度差でした。
会場にいた審査員や観客は、文字通り腹を抱えて笑っていましたが、テレビ越しに観ていた人の中には「なぜそこまでウケているのか不思議だ」と感じた人が多かったのです。
このズレの正体は、たくろうの漫才が「爆笑よりも空気感」を重視するスタイルだったからだと分析されています。
あの現場に漂う臨場感や、赤木さんの醸し出す独特の「変な空気」は、画面越しだとどうしても淡白に映ってしまいがちです。
審査員の山内健司さんだけが最終決戦でドンデコルテに票を入れたことも、玄人目線と大衆感情の複雑な絡み合いを象徴する出来事でした。
山内さん以外は全員がたくろうに投票するという「ほぼ満場一致」の結果でしたが、その圧倒的な差に違和感を覚える層がいたのも事実です。
審査員の大吉さんや塙さんが高得点を入れたことに対し、納得がいかないという声が上がるほど、今大会のジャッジは大きな波紋を広げました。
まとめ
■新王者が切り拓く漫才の未来!総括と個人的な期待
結成10年、一度は心が折れかけた崖っぷちから掴み取ったこの栄冠は、たくろうの二人にとって何物にも代えがたい報酬となったことでしょう。
彼らの優勝は、巧みな技術や膨大な情報量だけが漫才の正解ではないことを、あらためて世に知らしめました。
「とにかく目の前のお客さんを笑わせる」という泥臭い執念が、最終的には最強の武器になったのだと僕は感じています。
ネタに登場したYahoo!や、やよい軒といった企業から続々と祝福のコメントが届く現象も、彼らの作ったワードが社会に溶け込んだ証拠ですね。
30代半ばに差し掛かった彼らが、これからバラエティの世界でどんな暴れっぷりを見せてくれるのか、期待せずにはいられません。
もちろん批判も続くでしょうが、お笑いとは本来そういう「好み」の戦いでもあります。
たくろうの二人が、この「新・定番」とも呼べる大喜利漫才でどのような進化を遂げていくのか、これからも温かい目で見守っていきたいですね。
