朝ドラ『ばけばけ』33話:トキの決死の覚悟と家族の深い誤解
一体、どうなってしまうんでしょうか、おトキちゃん!
第7週「オトキサン、ジョチュウ、OK?」に入り、松野トキ(髙石あかり)の人生は本当に崖っぷちで綱渡りを続けていますね。
ただ家族のために、と決断した女中奉公なのに、周囲の偏見と家族の愛ゆえの誤解が重くのしかかる33話でした。
今回は、あの緊迫のシーンを振り返りながら、多くの視聴者が心を痛めた33話のストーリー、そして切なすぎる次回予告の展開を、たっぷり考察していきますね。
どうぞ、ハンカチをご用意の上、お付き合いくださいませ。
ばけばけ(朝ドラ)33話までの振り返り
■32話振り返り:ラシャメン覚悟と優しい「おわり」
前回32話では、トキが「ラシャメン(異人の妾)」と呼ばれることを覚悟の上で、ヘブン(トミー・バストウ)の女中として働き始めました。
武士の娘として屈辱的な決断でしたが、家計を支えるため、そして実母タエ(北川景子)の極貧生活を見てしまったトキにとっては、他に道がなかったんですよね。
この初出勤の日、花田旅館の女中ウメ(野内まる)さんの温かい励ましに、どれだけトキが救われたことでしょう。
そして、夜、ついにヘブンと二人きりになったとき、お風呂に入り長襦袢姿で「その役割」を待つトキの姿は、観ているこちらの息が止まるほどの緊張感でした。
でも、ヘブン先生が発したのは「シジミサン…」「ゴクロウサマ…ア~、キョウ、オワリ」という、あまりに紳士的で予想外の優しい言葉だったんですよね。
この「終わり」という一言で、トキは肩透かしを食らいつつも、家族の元へ急いで帰宅。
しかし、家に着くなり借金取りの銭太郎(前原瑞樹)が現れ、トキは家族の前で10円もの大金を支払って追い返してしまいました。
この大金が、すでに松野家の人々の間に「トキは本当に花田旅館で働いているのか?」という疑惑の種を植え付けてしまったのです。
ばけばけ(朝ドラ)33話ネタバレあらすじ
■33話の核心:固まるトキと深まる家族の疑惑
33話は、この疑惑がさらに深まっていく、見ていて胸が痛い展開でした。
ウメさんが用事で席を外すと、トキはまたすぐにヘブン先生と二人きりになってしまいます。
そしてヘブン先生に手を引かれた瞬間、トキは再び「ああ、ついにラシャメンとしての役割が来てしまった」と身体が固まってしまうんですね。
前日に「終わり」と言われたとはいえ、士族の娘が異国人の家に住み込みで働くということが、どれほど重い意味を持つか、私たち視聴者も痛いほど理解しています。
ですが、ヘブン先生は、トキの身体の強張りに気づいたのか、それとも単に夜半を知らせる時計の音を聞いたのか、「ヨナカ。キョウ、オワリ」と、またもトキの帰宅を促します。
史実を紐解くと、ヘブン先生(ラフカディオ・ハーン)が求めていたのは、日本文化を理解するための助手的な役割で、「妾」的な意味合いはなかったと言われていますから、彼の行動は真の紳士の心遣いだったのかもしれません。
明治時代、街灯の少ない夜道を若い女性が一人で歩くのは非常に危険ですから、ヘブンの「ヨナカ」という一言には、異国人教師としての倫理観と優しさがにじんでいますよね。
問題は、帰宅後です。
再び銭太郎が借金回収に現れた際、トキは、家族が困惑するのを前にして大金を支払い、追い返しました。
この大金の出所は、もちろんヘブン先生から受け取った初給金(月給20円)です。
旅館の女中ウメさんの給金が月90銭、新米教師のサワさんの月給が4円という時代に、トキはサワさんの5倍、ウメさんの20倍以上もの高給を得ているわけですから、家族が違和感を覚えるのは当然です。
「トキは本当に花田旅館で働いているのか?」この疑念が、松野家の中に大きく芽生えてしまいました。
トキの「家族に心配をかけたくない」という優しさが、結果的に家族を深く傷つける誤解へと繋がっていくのを見るのが、本当に切ないです…。
ばけばけ(朝ドラ)33話ネタバレ感想
■視聴者の心に響いた「サスペンス」と「覚悟」
この33話は、放送直後からSNSで大反響でしたね!
特に、ヘブン先生とトキが二人きりになるシーンの緊迫感、そして松野家の人々が抱く疑念が、視聴者の心を強く掴んだようです。
多くの声が、ふじきみつ彦さんの脚本の巧みさと高石あかりさんの演技の深みを絶賛しています。
トキが固まってしまうシーンは、「言葉と偏見の壁が怖い」「まるで大蛇の生贄みたい」と、そのサスペンス的な描写に引き込まれた人が多かったみたい。
ヘブン先生が筆を置く音や、カメラワークの「間」の取り方が、観客の想像力を掻き立て、「ヒッチコック風のサスペンス要素が新鮮」という意見まであったのには、私もなるほどと思いました。
トキが「決意の表情」で大金を支払う場面は、娘の孤独な戦いと家族の愛ゆえの誤解が交錯する、まさに「相互不理解の悲喜劇」そのもの。
「トキの孤独が強調されて胸が締め付けられる」という共感の声に、私も思わず頷いてしまいました。
家族を想うがゆえの秘密が、こうして亀裂を生むのは、明治という激動の時代ならではの残酷さですね。
ばけばけ(朝ドラ)33話からどうなる?
■次回34話の展開予想:三之丞の痛すぎる裏切り
さて、次回34話は、この松野家の誤解と、トキが心を寄せる実母タエ・弟三之丞(板垣李光人)の運命が交錯する、さらなる緊迫の展開になりそうです。
松野家の人々、特に父・司之介(岡部たかし)、母・フミ(池脇千鶴)、そして厳格な祖父・勘右衛門(小日向文世)は、娘への疑念を晴らすため、ついにトキを尾行するという行動に出ます。
トキは、花田旅館の主人・平太(生瀬勝久)の誘導で、尾行から逃れるため裏口からヘブン先生の家へ向かいますが、その様子を3人が目撃してしまいます。
花田旅館に入ったはずなのに、なぜ裏口から出ていくのか…。この想定外の光景は、家族の誤解をますます深めてしまうでしょう。
そして、なんと言っても心を痛めるのは、タエと三之丞の状況です。
物乞いにまで落ちぶれたタエさんの前に、あろうことか、新聞記者の梶谷(岩崎う大)が現れ、「取材をしたい」と迫ります。
この危険な状況からタエさん(北川景子)を守るため、弟の三之丞は、トキから託されたはずの生活費を「口止め料」として梶谷に渡してしまうというのです。
トキが必死の覚悟で稼ぎ、タエたちの生活再建のために託した大金を、三之丞がまさかの「口止め料」に使ってしまうなんて!
これは、トキからすれば、ひどすぎる裏切り以外の何物でもありません。
「あの切ない思いで渡したお金を…」と考えると、本当に胸が張り裂けそうになります。三之丞の世間知らずなお坊っちゃん気質が、悲劇を呼んでしまうのでしょうか。
トキが街で再び物乞いをするタエさんの姿を見て目を疑うシーンも予告されており、トキの孤独と苦悩はピークに達しそうです。
まとめ
■悲しみも幸せに「化ける」と信じて
トキの周りは、まるで巨大な波に翻弄されているようですね。
家族の愛が誤解を生み、実の弟の行動が裏切りとなる。
それでも、この物語は「ばけばけ」?―悲しみも苦しみも、いつしか幸せに「化けて」いく夫婦の物語です。
ヘブン先生は、トキの純粋な人柄と怪談への情熱に惹かれていきます。
史実の小泉セツが、その語りの才能で、後の小泉八雲の創作活動において「助手を超えた共同制作者」となったように、この苦しい女中生活、そして家族との摩擦こそが、トキが大きく「化ける」ための試練なのだと信じたいです。
この痛みを乗り越えた先に、ヘブン先生との穏やかで幸せな日々が待っていることを願って、明日もテレビの前に正座して見守ります!
