『『パリス?で恋に落ちる方法』(原題: The Wrong Paris)』徹底考察:夢と恋をハックする新時代のハッピーエンド!
Netflixの新作ロマンティックコメディ、『パリス?で恋に落ちる方法』(原題: The Wrong Paris)は、タイトル通り、最高の勘違いから始まるドタバタ劇なんですよ。
パリス?で恋に落ちる方法ネタバレ|あらすじ
あらすじ:間違った「パリ」への最高の勘違い
物語の主人公は、テキサスの小さな町に住む、25歳の芸術家志望の女性ドーンです。
彼女は長年の夢だったパリ(フランス)のアートスクールに合格しますが、高額な学費(年間3万ドル)が払えず途方に暮れていました。
なぜなら、祖母の医療費を工面するために、貯金を切り崩してしまっていたからです。
そこで、妹のエミリーが資金稼ぎのために勧めたのが、恋愛リアリティショー『ザ・ハニーポット』への出演でした。
このショーは優勝すれば25万ドルの賞金か婚約が手に入り、さらに次のシーズンはパリが舞台だという宣伝文句に、ドーンは出演料2万ドルだけもらってさっさと脱落するつもりで参加を決意します。
ところが、プライベートジェットで長い旅を経て降り立った先は、憧れの芸術の都パリ(France)ではなく、彼女の故郷からほど近いテキサス州のパリス(Texas)だったんです!
怒り心頭のドーンでしたが、契約の縛りから番組を途中で抜けることはできず、やむなく脱落を目指して破天荒な振る舞いを始めます。
しかし、運命は皮肉なもので、バチェラーである牧場主トレイ・マッカレンと彼女は以前バーで出会っており、彼は最初からドーンに強く惹かれていたんです。
ドーンが脱落しようとすればするほど、トレイは彼女の飾らない素顔に夢中になっていき、二人は次第に心を通わせ、カメラのない場所でキスを交わすほどに親密になります。
トレイへの恋心が深まる一方で、ドーンは自分が金銭目的で参加したこと、そして留学の夢を隠していることを打ち明けられずにいました。
この秘密を、ライバルであるインフルエンサーのレクシーが嗅ぎつけ、トレイにアートスクールの合格通知を暴露してしまいます。
裏切られたと感じたトレイは、最終セレモニーでドーンを冷たく突き放し、彼女は失意と混乱の中で番組から去ることになってしまうんです。
パリス?で恋に落ちる方法ネタバレ|最後の結末は?
結末:愛も夢も選ぶ、システム・ハック
番組を去ったドーンは、当初の目的通り、出演料を元手にパリ(フランス)へと渡り、芸術家としての新生活をスタートさせます。
しかし、夢を叶えたはずなのに、彼女はトレイを恋しく思い、どこか心に穴が開いたような感覚を抱えていました。
そんな時、彼女の前に現れたのが、番組プロデューサーのレイチェルです。
レイチェルは、トレイがドーンの夢を尊重するあまり、嘘をつかれたことに傷ついて彼女を脱落させた真実を伝え、獲得した賞金全て(2万ドルやチャレンジで得た追加賞金)を返上すれば、パリで開催される最終回でトレイと再会できる、と持ちかけます。
生活を支える大切な資金を捨てるという究極の選択に悩みながらも、ドーンはトレイへの愛を選び、全てを放棄して最終回の舞台へ向かいます。
エッフェル塔が輝くロマンチックな場所でトレイと再会したドーンは、涙ながらに謝罪し、愛を告白しますが、トレイはまだ彼女が賞金目当てだと疑い、信じようとしません。
絶望したドーンは、自身の作品の一部である「不可能な夢」を象徴するゴールデンアップルをトレイに残して去ろうとします。
しかし、レイチェルからドーンが全てのお金を投げ打ってここに来たことを知らされたトレイは、すぐにドーンを追いかけ、そこで二人はついに心を通わせ、愛を再確認します。
そして、ここからがこの映画の本当に最高に現代的な部分なんです。
トレイは、カメラの前でドーンにプロポーズをすると見せかけ、「君は愛と賞金、どちらを選ぶ?」と耳打ちし、「賞金を選んで、学費を確保してほしい。番組は僕たちを別れさせることはできない」という秘密の計画を実行します。
ドーンは笑顔で「賞金よ」と答え、婚約指輪ではなく25万ドルを選びますが、二人はその直後、堂々とキスを交わします。
結果的に、彼らは恋愛リアリティショーのシステムを逆手にとり、愛とマネーの両方を手に入れた、まさかのハッキングエンドを成し遂げたわけです。
エンドロールでは、ドーンがパリで学業を続け、トレイとテキサスとパリを頻繁に行き来する遠距離恋愛を経て、カメラのない場所でトレイが改めてプロポーズし、二人が婚約したことが写真のモンタージュで明かされます。
パリス?で恋に落ちる方法|評価は?
評価:疲れた心に効く、完璧な癒やし
この映画の評価は、まさに「お気軽なロマコメ」好きには大ヒット、という感じです。
全体的にテンポが良く、退屈しないという声が多く、特にドーンが脱落しようと悪戦苦闘する前半のドタバタぶりは笑えます。
僕も観ていて、王道のラブコメの心地よさに浸ることができましたし、頭を空っぽにして楽しめる最高の作品だと感じましたね。
ミランダ・コスグローヴさんのキュートさと、トレイ役のピアソン・フォーデさんの典型的なイケメンぶりは、目の保養になりますし、二人のケミストリーは抜群です。
トレイの鍛え上げられた腹筋が披露されるシーンなんて、SNSでもかなり話題になっていましたし、あれは視聴者への最高のサービスショットです(笑)。
一方で、考察好きとしては、物語の展開が予測可能で浅いという意見も理解できます。
特にドーンが秘密を隠していたことでトレイに突き放されるくだりは、クライマックスの展開のために無理矢理感があり、ご都合主義だと感じる部分も否めません。
ただ、この作品は、人気リアリティ番組『バチェラー』に対する愛情あるパロディとして秀逸に作られています。
インフルエンサーや科学者など、個性的な女性参加者たちのキャラ設定や、泥レスリングといった「バカげたチャレンジ」は、リアリティショーの「あるある」を風刺していて、それがまた笑いを誘うんです。
パリス?で恋に落ちる方法|この作品のテーマ
テーマ:夢の実現と愛の統合
この映画が古典的なラブコメから一線を画しているのは、そのテーマ設定にあります。
この物語の核は、「夢か恋か」という二者択一を現代的な方法で乗り越えた点に尽きるでしょう。
ドーンが最後まで頑として譲らなかったのは、トレイへの愛ではなく、パリでの芸術家としての自己実現でした。
従来の映画なら、愛のために夢を諦めるか、夢のために愛を断ち切るか、という選択を迫られがちですが、この作品はそうじゃない。
トレイが「君はパリと僕たちのどちらかを選ぶ必要はない」と宣言し、彼女に賞金を選ぶ力を与えたことで、ドーンは「愛も夢も両方手に入れる」という、新しい時代のハッピーエンドを掴み取ったんです。
これは、女性のキャリアを恋愛の障害として描く古い構図に対する、明確なアンチテーゼだと僕は解釈しています。
そして、物語の仕掛けである「間違ったパリ」という設定にも深い意味が込められています。
フランスのパリはドーンの「不可能な夢」(ゴールデンアップルが象徴する理想)、テキサスのパリスは彼女が目を背けようとしていた素朴な現実を象徴しています。
トレイとの本物の絆は、理想の場所ではなく、テキサスという「間違った場所」で、飾らないドーンの姿を見たことで生まれたもの。
まとめ
つまりこの映画は、人生のハッピーエンドは、完璧な場所や状況ではなく、「正しい人」と一緒にいることで、どんな場所も正しく変わる、というメッセージを伝えているように感じました。
恋愛リアリティショーという「作られた世界」の中で、システムを逆手に取って本物の愛と夢を勝ち取ったドーンとトレイの姿は、僕たちに大きな勇気と希望を与えてくれますよね。