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それでも夜は訪れる(netflix映画)考察ネタバレ|感想、最後の結末は?

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海外ドラマ・映画

皆さん、映画やドラマの世界にどっぷり浸かるのが好きな僕です。
今日は、Netflixで配信されて以来、静かな衝撃を与えている作品、「それでも夜は訪れる」(原題:Night Always Comes)について語り合いたいと思います。

この映画、ただのスリラーじゃないんです。
見終わった後、心の奥底にずっしりとした問いを残していく、そんな作品でした。
「社会の現実」と「人間の葛藤」がこれでもかと詰め込まれていて、正直、観る人を選ぶかもしれませんが、だからこそ深く心に響くものがあるんです。

さあ、その「夜」の物語を一緒に紐解いていきましょう。

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それでも夜は訪れる(netflix映画)ネタバレ|あらすじ

「それでも夜は訪れる」は、オレゴン州ポートランドを舞台に繰り広げられる、ある女性の過酷な一夜を描いています。
主人公のリネット(ヴァネッサ・カービー)は、長年住み慣れた家を家主から購入することで、母親のドリーン(ジェニファー・ジェイソン・リー)と、発達障害を持つ兄のケニー(ザック・ゴッツァーゲン)との安定した未来を手に入れようとしていました。

彼女は複数の仕事を掛け持ちし、ようやく頭金として2万5000ドルを貯めます。
しかし、ローン契約の直前、頼みの綱だったはずの母親がその大金を、まさかの新車購入に使ってしまいます。
これには本当に驚きと怒りを感じました。

家がなければ、ケニーは福祉施設に送られてしまうかもしれません。
そして、リネット自身もホームレスになる危機に直面します。
弁護士から与えられた猶予は、翌朝9時まで。
残された時間で、この莫大な資金をどうにかして調達しなければならないリネットは、過去の因縁ある人々がうごめくポートランドの裏社会へと足を踏み入れていくことになります。

彼女の「資産」は、ボロボロの車と、過去に築いてしまった怪しい人間関係、そしてただただ長い夜だけ。
ここからがもう、目が離せないんです。
リネットは、以前関係を持っていた裕福な顧客スコットに金を無心しに行き、断られながらも彼の高級車を盗みます。
次に、昔の同僚である売春婦のグロリアを訪ね、彼女の恋人の金庫から現金を盗み出そうと画策します。
バーの同僚で前科者のコーディを巻き込み、金庫をこじ開けて1万9000ドルとコカインを手に入れますが、まだ4000ドル足りません。

その後、コーディとの間で裏切りがあり、リネットは彼を車でひき、お金を奪い返します。
追い詰められた彼女は、16歳の頃に自分を性労働に追い込んだ元恋人のトミーにまで会いにいくんです。
もう、この時点で「ここまでやるか」と息をのみました。

それでも夜は訪れる(netflix映画)考察ネタバレ|最後の結末は?

リネットは、結局2万5000ドル全額をかき集めることに成功します。
しかし、物語はここから、さらに衝撃的な展開を見せるんです。
夜明けと共に家に帰ったリネットは、母親のドリーンから思いもよらない真実を告げられます。

ドリーンは、そもそもこの家を買う気がなかったというのです。
それどころか、この家に強い嫌悪感を抱いていて、新車を買ったのは、ローン契約をわざと破談させるためだった、と。
そして、リネットの衝動的で「暴走」する性格を責め、一緒に住みたくないとはっきり言います。
ケニーの面倒は自分で見るから、リネットはもう自分の人生を生きなさい、と。

リネットの必死の努力は、すべてが無意味だったと突きつけられます。
さらに、不動産屋からも、家は別の買い手に高値で売られてしまったという留守番電話が入っていました。
結局、家は手に入らなかったんです。
これ、本当にやるせない気持ちになりますよね。

リネットは、眠っているケニーに「しばらく留守にするけど、いつも愛している」と告げます。
そして、母親には手紙を残します。
そこには「昨夜は家族のために戦った。私なりのやり方でね。でも、あなたは私が聞く必要があったことを言ってくれた。だからありがとう。そして今、私は自分のために戦う必要がある」と書かれていました。

朝日が差し込む中、リネットは一人、車を走らせて旅立っていきます。
家族との絆が断ち切られ、家も失ったけれど、彼女は初めて自分自身のために生きる道を選んだのです。
この終わり方は、一見すると「救いがない」ように感じるかもしれません。
でも、僕にはこれが、リネットにとっての「新しい夜明け」に見えました。

それでも夜は訪れる(netflix映画)ネタバレ|感想

この映画に対する観客の感想は、本当に多岐にわたります。
多くの人が、その「重厚さ」や「容赦ない現実描写」に心を揺さぶられています。
「観ていて息が詰まるような緊迫感があった」「社会の闇を突きつけられた」といった声もあれば、「正直、観ていてつらかった」「救いがない」と感じる人もいました。

特に、主演のヴァネッサ・カービーの演技は絶賛されています。
「彼女の鬼気迫る演技に引き込まれた」「疲れ果てながらも必死にもがく姿に圧倒された」といった声は、僕も全く同感です。
彼女の繊細かつ獰猛な演技は、まさにこの映画の核だと感じました。

また、ケニー役のザック・ゴッツァーゲンにも多くの称賛が寄せられています。
「彼の純粋さが、物語の暗いトーンの中で唯一の清涼剤だった」「キュートな弟役で、演技に感情移入できた」といった意見が多く、リネットとの温かい絆が、この過酷な物語の中で一筋の光になっていたのは間違いないでしょう。

一方で、ジェニファー・ジェイソン・リー演じる母親のドリーンに対しては、「理解できない」「身勝手すぎる」といった否定的な意見も目立ちました。
確かに、彼女の行動は物語の引き金であり、リネットを窮地に追いやった原因の一つです。
しかし、ドリーン自身もまた、過去の苦しみを背負った複雑な人物として描かれていて、そこがまた、この映画の「簡単に善悪を断じられない」深みを生み出しているのだと思います。

全体として、「娯楽作品ではないが、社会派スリラーとして観る価値がある」という評価が多い印象です。
僕も、この映画を観て、一人の女性の個人的な物語を超えた、普遍的な問題について深く考えさせられました。

それでも夜は訪れる(netflix映画)|この作品のテーマ

「夜」が示す社会の闇と個人の再生

この作品のテーマは、非常に多層的で深く、僕たちの社会が抱える「闇」を鋭く抉り出しています。

まず、最も顕著なのが「住宅問題」と「経済的格差」です。
舞台であるポートランドは、一見クールな都市ですが、急速なジェントリフィケーション(都市の再開発による地価・家賃の高騰)によって、普通の人々が住み続けられなくなっている現実があります。
リネットのように、いくら働いても家計が圧迫され、ホームレスになる寸前まで追い詰められる人々が数多く存在することを、この映画は痛ましいほどリアルに描いています。

そして、「家族の絆」と「自己犠牲」の問いも、重要なテーマです。
リネットは、ケニーを守るために、文字通りすべてを賭けて戦います。
彼女にとって「家」は、ケニーを守るための「砦」であり、家族の未来そのものでした。
しかし、母親の裏切り、そして最終的に家を失うことで、彼女は「誰かを守るために自分を犠牲にし続ける」というサイクルから、ようやく解放されます。
これは「酸素マスクをまず自分につける」という、自己ケアの重要性を教えてくれているようにも感じました。

さらに、この映画は「被害者」と「加害者」の境界線が曖昧になる、人間の「揺らぎ」も描いています。
リネットは、16歳で性労働を強いられた過去を持つ「被害者」です。
しかし、目的のためには手段を選ばず、人を傷つけ、犯罪行為に手を染めていく過程で、いつの間にか「加害者」にもなっています。
彼女自身、その自覚が薄いのですが、観客は彼女の行動を通して、人間がいかに状況によって、あるいは過去の傷によって「許されない行為」に踏み込んでしまうのかを目の当たりにします。

監督のベンジャミン・カロンや主演のヴァネッサ・カービーが語るように、この映画はリネットの「自己破壊のサイクルを断ち切る」物語でもあります。
彼女の人生を規定してきた、過去からの「夜」と対峙し、最終的に「自分自身を選ぶ」というラディカルな行動に出ることで、初めて「主体性」を持って未知の世界へと足を踏み出すことができるのです。
「救いは家や人間関係にはなく、自分をケアするラディカルな行為の中にある」というメッセージは、現代を生きる僕たちにとっても、非常に重い意味を持つと思います。

タイトルの「それでも夜は訪れる」は、単に時間的な「夜」を指すのではなく、リネットの心に閉じ込められた「過去の痛みや記憶」のメタファーでもあります。
どんなに過去から逃れようとしても、その「夜」は必ず訪れます。
しかし、その「夜」を受け入れた時に初めて、彼女は新たな「夜明け」へと向かうことができる。
ラストシーンで、リネットが一人幹線道路を走る姿は、まさに自分の「夜」を抱えながらも、未来へと進んでいく「人間」そのものの姿を描いているように感じられました。

まとめ

この映画は、ハッピーエンドを求める人には向かないかもしれません。
しかし、社会の現実と人間の複雑な内面に深く向き合いたい人、そして、時に痛みを伴う「真実」から目を背けずにいたい人には、ぜひ観てほしい一本です。
きっと、観終わった後、あなたの心にも「それでも夜は訪れる」という言葉が、深い余韻を残していくことでしょう。
そして、その「夜」を越えて、自分自身の「戦い方」を見つける勇気をくれるかもしれません。

それでは、また次の作品で語り合いましょう。

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