劇場に一歩足を踏み入れた瞬間から漂うあの独特の緊張感と、スクリーンから溢れ出す圧倒的な映像美に、心が震えるような感動を覚えた方も多いのではないでしょうか。
クリストファー・ノーラン監督が映画史のすべてを懸けて送り出した最新作『オデュッセイア』は、観る者の価値観を根底から揺さぶるほどの凄まじい熱量を持った最高傑作です。
約172分という膨大な尺の中で繰り広げられる壮大な冒険劇を、最高の状態で味わうために「字幕版」と「吹き替え版」のどちらを選ぶべきか悩んでいる方も多いはずです。
劇場へ足を運ぶ前に知っておきたいそれぞれの魅力や選び方のポイントについて、映画好きの視点からじっくりとお話ししていきます。
オデュッセイア(映画)|字幕・吹き替えの違い
字幕版の最大の醍醐味は、なんと言ってもハリウッドが誇る超豪華キャスト陣が発する生の声と、現場の空気感をそのままダイレクトに体感できる点にあります。
マット・デイモンが絞り出す苦悩に満ちた渋い声のトーンや、トム・ホランドが魅せる青々とした叫び、そしてアン・ハサウェイの気品あふれる息遣いまで、役者の生の演技がダイレクトに胸へと響いてきます。
古代ギリシャ研究家である藤村シシン氏が字幕監修を手掛けたことで、原典の詩的で神聖な言葉遣いや歴史的ニュアンスが美しく再現されているのも見逃せないポイントです。
全編IMAXフィルムカメラで撮影された圧巻の映像美をそのまま堪能できるプレミアムフォーマット上映の多くが字幕版を中心に展開されているため、映像の迫力を最優先したい方には欠かせない選択肢となります。
一方で吹き替え版の圧倒的な強みは、文字を追うストレスから完全に解放され、ノーラン監督が構築した緻密な映像世界へと100パーセント没入できることにあります。
今作は20年におよぶ空白の時間軸や回想シーンが不規則に交錯する上に、セリフに含まれる神話的な情報量が非常に多いため、字幕を目で追っていると画面の細かなVFXや背景の美術を見落としてしまう危険があります。
視線を画面のどこへ置いてもストーリーが自然と耳から入ってくる吹き替え版は、疲れている時や長尺の映画にじっくり集中したい時に最高の環境を提供してくれます。
劇中で炸裂する巨大な怪物たちのリアルな質感や、実物大で建造されたトロイの木馬の迫力を一瞬たりとも見逃さずに焼き付けたいなら、吹き替え版が持つ情報伝達のスムーズさは強力な味方になってくれます。
オデュッセイア(映画)|日本語吹き替えの声優一覧
今作の吹き替え版がこれほどまでに絶賛されている理由は、洋画吹き替えの歴史を支えてきた黄金コンビと、現代のアニメ・吹替界を牽引する超実力派声優陣が勢ぞろいしている点にあります。
過酷な運命に立ち向かう主人公オデュッセウスを演じるマット・デイモンの声には、長年彼の吹き替えを担当し絶大な信頼を得ている平田広明氏が起用されています。
無駄を削ぎ落とした武骨な演技の中に、家族への愛と戦責の重みをにじませる平田氏の演技は、まさに英雄の背中そのものを感じさせてくれて思わず目頭が熱くなりました。
父の帰還を信じて健気に耐え続ける息子テレマコス役のトム・ホランドには、MCU作品などでもおなじみの榎木淳弥氏が声を当て、青年の葛藤と成長を見事に体現しています。
王妃ペネロペを演じるアン・ハサウェイの凛とした気高さは坂本真綾氏の繊細な声によって一層引き立てられ、20年という果てしない歳月を待ち続ける強い意思が伝わってきます。
王位と王妃を狙う不敵な求婚者アンティノオスを演じるロバート・パティンソンには江口拓也氏が配され、冷徹な野心の中に艶やかな色気を漂わせる見事な悪役ぶりを披露しています。
物語のキーパーソンとなる絶世の美女ヘレネとクリュタイムネストラの一人二役を演じるルピタ・ニョンゴの声には水樹奈々氏が抜擢され、複雑な愛憎劇を鮮やかに演じ分けています。
知恵の女神アテナを演じるゼンデイヤには白石涼子氏が神々しい威厳を授け、オデュッセウスを島に引き留めるニンフのカリュプソを演じるシャーリーズ・セロンには本田貴子氏が深い情愛を込めています。
物語の裏で重要な役割を果たす兵士シノン役のエリオット・ペイジに内田雄馬氏、スパルタの王メネラオス役のジョン・バーンサルに坂詰貴之氏、そしてミステリアスな楽人役のトラヴィス・スコットに武内駿輔氏が配されるなど、どこを切ってもスキのない布陣です。
忠実な豚飼いエウマイオス役のジョン・レグイザモを演じる多田野曜平氏や、魔女キルケ役のサマンサ・モートンを演じる高橋理恵子氏まで、声優界のオールスターが画面の端々に至るまで命を吹き込んでいます。
オデュッセイア(映画)|字幕・吹き替えどっちがおすすめ?
字幕版と吹き替え版のどちらを選ぶべきかという問いに対して、個人的に強くおすすめしたいのが「吹き替え版からの字幕版」という連続鑑賞のルートです。
初めて劇場で観る初見のタイミングでは、まず吹き替え版を選んでストーリーの全貌や複雑な時系列、キャラクター同士の人間関係を頭にしっかりと叩き込むのが一番スマートです。
字幕を読むための脳のキャパシティをすべて映像と音響に向けられるため、172分という長尺であっても全く長さを感じずに作品の世界へと深く没入できます。
特にノーラン作品特有の伏線や「ゼウスの掟」と呼ばれる神話的ルールの重要性が、日本語のダイレクトなセリフによってすんなりと理解できる快感は吹き替え版ならではの魅力です。
そして作品の構造や結末を把握した上で行く2回目の「おかわり鑑賞」で、IMAXシアターなどの超大型スクリーンを選び、字幕版で原音の臨場感を味わうのが至高の映画体験になります。
マット・デイモンの生の息遣いや、超巨大スクリーンに映し出される映像の迫力を存分に楽しむことで、初見時には気づかなかった新しい発見や演出の深さに感動すること間違いありません。
もし劇場へ行く機会が一度きりで、普段から洋画を字幕で観慣れている方であれば、IMAXでの映像体験を最優先にして字幕版を選ぶのも素晴らしい選択です。
逆に映画館での長時間の鑑賞で目が疲れやすい方や、映像のアクションやVFXをじっくりと細部まで観察したい方は、迷わず吹き替え版を選ぶことを強く推奨します。
まとめ
映画『オデュッセイア』は、クリストファー・ノーラン監督が現代の映画界に突きつけた、歴史に刻まれるべき破格の超大作です。
古代ギリシャから3000年もの時を超えて受け継がれてきた物語が、現代最高峰の撮影技術と豪華なキャスト陣の手によって、これ以上ないほどエモーショナルに蘇りました。
生の演技と原語の響きをそのまま噛み締める字幕版も、膨大な情報量と映像美に100パーセント没入できる吹き替え版も、それぞれに捨てがたい極上の魅力が詰まっています。
ご自身の鑑賞スタイルやその日の体調に合わせて最適なフォーマットを選び、ぜひ劇場という最高の空間でこの壮大な旅路を体感してみてください。
鑑賞後に残る深い余韻と、人間という存在への愛おしさは、あなたの心の中にいつまでも残り続けるはずです。
