お正月気分もようやく落ち着き、日常生活のリズムが戻りつつある1月7日の朝、ふと「あ、今日は七草粥の日だ」と思い出す方も多いのではないでしょうか。
30代を過ぎてからというもの、連日の新年会やご馳走で疲れた胃腸が、この優しい味わいを切実に求めているのを感じる今日この頃です。
今回は、ネットでも毎年話題になる「春の七草」について、その深い由来から、意外と知られていない根っこの扱い、そして家庭で失敗しない作り方までを徹底的に掘り下げていこうと思います。
日本の伝統行事をただ形だけなぞるのではなく、その背景にある「祈り」を知ることで、いつものお粥がもっと心温まる一品に変わるはずですよ。
七草粥とは?食べる意味・由来
■七草粥とは?食べる意味と歴史の旅
七草粥を食べる1月7日は、五節句の一つである「人日の節句」にあたり、古くから無病息災を願う大切な日として親しまれてきました。
この風習のルーツは非常に興味深く、古代中国で7種類の野菜を入れた温かい汁物を食べて健康を願った「七種菜羹」という行事と、日本古来の「若菜摘み」という風習が結びついて誕生したと言われています。
平安時代に日本へ伝わり、江戸時代には幕府が公式な行事として定めたことで、庶民の間でも1月7日の朝に七草粥を食べる文化がしっかりと根付きました。
現代を生きる僕たちにとって、七草粥には大きく分けて三つの意味があり、一つは新年のご馳走やお酒で疲れた胃腸を休めること、もう一つは冬に不足しがちなビタミンなどの栄養を補うこと、そして最後は一年を健康に過ごせるよう願うことです。
お粥は消化に優れており、塩だけのシンプルな味付けは、正月休みの暴飲暴食で悲鳴を上げている胃にとって、まさに至福の癒やしと言えるでしょう。
中には1月15日の小正月や、月遅れの2月7日に食べる地域もあり、必ずしもその日の朝でなければならないというわけではなく、一年の無事を祈る気持ちが何より大切にされています。
七草粥|七草の種類と意味
■春の七草それぞれの種類と名前に込められた願い
七草の名前をすべて言える人は意外と少ないかもしれませんが、「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」という5・7・5・7・7のリズムで覚えると、スッと頭に入ってきますよ。
まず「セリ」は、競り合うように生える様子から「競り勝つ」という縁起の良い意味が込められており、独特の香りが食欲をそそり、鉄分も豊富に含まれています。
「ナズナ」はペンペン草という愛称でもお馴染みで、撫でて汚れを取り除くという願いがあり、高血圧予防や利尿作用も期待できると言われています。
「ゴギョウ」は母子草のことで、仏様の体を象徴するとされ、古くから咳止めや風邪予防の薬草としても利用されてきました。
「ハコベラ」は、その生命力から「繁栄がはびこる」という意味があり、昔から胃炎や歯茎の薬として重宝されてきた身近な野草です。
「ホトケノザ」は、仏様が安座しているような姿に見えることから名付けられ、胃を健康にする働きがあるとされていますが、観賞用のシソ科のものとは別種のコオニタビラコを指します。
「スズナ」は今のカブのことで、神様を呼ぶ鈴に見立てた縁起物であり、胃腸を整えるジアスターゼが含まれているため、まさに疲れた胃の救世主です。
最後に「スズシロ」は、汚れのない潔白を意味する大根の古名で、消化を助けるだけでなく美肌効果や風邪予防にも優れたパワーを秘めています。
七草粥|根まで食べるのは?
■根っこまで食べる?気になる下処理の秘密
スーパーで七草セットを買うと、ひげ根がついたままの状態であることが多く、「これ、どこまで食べていいの?」と迷うのがブロガーとしての僕も昔経験した悩みの一つでした。
結論から言うと、根菜系である「スズナ(カブ)」と「スズシロ(大根)」の白い根っこの部分は、栄養が凝縮されているので、ぜひ皮ごと薄切りにして味わってほしい部分です。
サイズが小さいので皮を剥く必要はありませんが、汚れが気になる場合はピーラーで薄く表面をなでる程度で十分ですし、むしろ皮があったほうが食物繊維もしっかり摂れます。
一方で、セリなどの葉物系のひげ根については、一般的には食感が悪かったり土臭かったりするため取り除くことが多いですが、実はセリの根っこは非常に甘みがあって美味しいんです。
仙台の「せり鍋」では根っこまで丸ごと食べるのが定番で、もし新鮮な根付きのセリが手に入ったら、泥を丁寧につまようじ等で落としてから極薄切りにして粥に加えるのも通な楽しみ方ですね。
ナズナやゴギョウなどの他の野草は、根が細くて硬いため基本的には葉と茎の部分だけを使い、根は切り落としてしまうのが美味しく仕上げるコツです。
ひげ根に詰まった土を落とす際は、ボウルに水を張って数分浸しておくと汚れが浮き上がり、流水で洗えば驚くほど綺麗になります。
七草粥の作り方
■失敗しない!心も体も喜ぶ七草粥の作り方
七草粥の基本は「米:水=1:5」の比率で、これさえ守ればサラッとした上品な全がゆが誰でも簡単に作れます。
まず下準備として、七草を一度に茹でるのではなく、火の通りにくいスズナとスズシロの根っこを2?3ミリのいちょう切りにし、葉物は1センチ幅に刻んでおきます。
沸騰したお湯に塩を少々加え、七草をさっと茹でてアクを抜くのですが、葉物は30秒から1分程度、根っこは1?2分茹でてから冷水にさらして色止めをするのが、鮮やかな緑を保つ秘訣です。
お粥自体は、生米からじっくり炊くのが理想ですが、忙しい朝には炊いたご飯に水を足して10分ほど煮るだけでも十分に美味しく仕上がります。
鍋に米と水(できれば出汁昆布を一晩浸したもの)を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして、鍋底を焦がさないよう優しく時々混ぜながら20?30分ほど炊いていきます。
お粥がとろりとしてきたら、下茹でしておいたスズナとスズシロの根を加え、最後に水気を絞った葉物たちを混ぜ合わせて、塩だけで味を整えれば完成です。
個人的には、ほんの少しだけ醤油や鶏ガラスープの素を加えたり、香ばしい白ごまを振ったりして、自分好みの現代風アレンジを加えるのも、飽きずに美味しくいただくための知恵だと思っています。
まとめ
七草粥は、単なる季節の食べ物という枠を超えて、僕たち日本人が長い歴史の中で育んできた「自分自身の体を労わる時間」そのものなのかもしれません。
忙しい毎日の中で、あえて野生の息吹を感じる若菜を刻み、静かにお粥を炊くという行為は、心のリセットにも繋がります。
青森県の「けの汁」や山形県の「納豆汁」のように、七草が手に入りにくい地域では独自の進化を遂げた行事食があることも、この文化がいかに深く地域に愛されているかを物語っています。
スーパーで手軽に買える七草セットも便利ですし、もし手に入らなければ小松菜や三つ葉などで代用したって、一年の健康を願う気持ちがあれば立派な行事食になります。
この1月7日は、ぜひ温かい七草粥をゆっくりと口に運んで、自分の体へ「お疲れ様、今年もよろしく」と声をかけてあげてくださいね。
あなたの新しい一年が、七草の生命力のように健やかで、喜びに満ちたものになることを心から願っています。
