毎週土曜日の夕方、テレビの前で「人生の楽園」を観ながら、全国各地でセカンドライフを満喫するご夫婦の姿に心を揺さぶられている方も多いのではないでしょうか。
多忙な日常を少しだけ離れて、豊かな自然とあたたかな人の情熱に触れられる場所を探しているなら、ぜひ知ってほしい特別な宿があります。
それが、長野県木島平村にある古民家宿「窓月まつしまや」です。
築140年以上の歴史を誇る元酒蔵を再生し、1日たった2組のためだけに開かれたこの宿には、都会の喧騒を忘れさせる極上の時間が流れています。
今回は、番組でも大きな話題を呼んだこの宿の深い魅力や、オーナー夫婦の感動的な開業ストーリー、気になるアクセスや周辺の観光情報まで、余すところなくお届けします。
人生の楽園|長野・木島平村 古民家宿「窓月まつしまや」
「窓月まつしまや」に足を踏み入れた瞬間、誰もがその圧倒的な静けさと温もりに包まれます。
この宿が何よりも大切にしているのは、築145年を超える元酒蔵の歴史と風情を壊さずに受け継ぎながら、訪れる人に「何もしない贅沢」を感じてもらうことです。
驚くことに、客室にはテレビもミュージックプレイヤーも、さらにはフリーWi-Fiすら置かれていません。
文明の利器をあえて削ぎ落とすことで、風が揺らす稲穂の音や山鳥のさえずり、夜空に浮かぶ月や星の美しさに素直に向き合える環境が整えられているのです。
用意されている2つの客室は、かつて酒蔵として使われていた蔵をそのままリノベーションした、趣のまったく異なる空間になっています。
1つ目の「雪の蔵」は、元漬物蔵を改修した全室畳敷きの平屋建てで、足裏から木の温もりが伝わる和風のベッドルームが印象的です。
渡り廊下でつながる専用の浴室棟には檜の香りが満ちており、大きな窓からは庭の緑や酒蔵時代の象徴である赤いレンガの煙突を眺めることができます。
しかも浴室の洗い場まで畳敷きになっており、冬の寒い時期でも足元が冷えないような優しい工夫が施されています。
もう1つの「月の蔵」は、明治時代の重厚な梁や壁をそのまま生かした、洋風メゾネットタイプの2階建て客室です。
高い天井と木組みの美しさに目を奪われつつ、2階のベッドルームではシーリー社製の高級マットレスが上質な睡眠を約束してくれます。
さらに食事をいただく母屋も築145年の歴史を誇り、畳の和室にアメリカ製のアンティークテーブルが配置されたハイカラな空間で、タイムスリップしたかのような気分を味わえます。
料理を担当する女将さんは、調理師免許だけでなくベジタブル&フルーツアドバイザーや薬膳の資格まで取得しており、地元の食材を活かした心のこもった手料理を振る舞ってくれます。
名産の木島平村産コシヒカリや鮮やかな信州サーモンをはじめ、旬の野菜や信州牛を使ったお料理は、一口食べるごとに身体の隅々まで染み渡るおいしさです。
元酒蔵というルーツにふさわしく、地元の名酒「志賀泉」や信州産の日本ワインなど、お酒好きにはたまらないラインナップがそろっているのも魅力と言えます。
長野・木島平村 古民家宿「窓月まつしまや」開業の経緯|人生の楽園
この素晴らしい宿を営んでいるのは、中村文絵さんと夫の誠さんというご夫婦です。
妻の文絵さんは群馬県のご出身で、東京の短大を卒業後、大手電機メーカーで役員秘書や人事など28年間にわたって第一線で活躍されてきました。
多忙を極める傍らで司会業の専門学校にも通い、週末には結婚式の司会者やナレーターとしても活動するほど情熱的なキャリアウーマンだったのです。
そんな文絵さんが息抜きとして楽しんでいたのが、全国各地を巡る一人旅でした。
旅を重ねるうちに、観光名所を回ること以上に「宿で過ごす時間そのもの」に心を惹かれるようになり、沖縄の離島にある馴染みの宿での温かい出会いが決定打となりました。
いつか自分も、日常の疲れを癒やして心からくつろげる場所を自分の手で作りたいという大きな夢が、20代の心の中に芽生えたのです。
その後、会社の後輩だった新潟県出身の誠さんと出会い、37歳のときに結婚されました。
司法書士の資格を持ち企業法務で活躍していた誠さんも旅行が大好きで、文絵さんが温めていた宿づくりの夢を打ち明けると、二つ返事で大賛成してくれたそうです。
転機が訪れたのは文絵さんが40代後半を迎えた頃で、人生100年時代を見据えたときに、残りの人生で本当にやりたいことに挑戦したいという思いが強くなりました。
理想の物件を探し求めて全国を旅する中で、奇跡的に巡り会ったのが長野県木島平村にある元酒蔵の古民家だったのです。
道路からその佇まいを目にした瞬間、文絵さんは「運命の出会い」を感じ、すぐに移住と購入を決意されました。
2018年にご夫婦そろって長年勤めた会社を退職し、木島平村へ移住して同年11月に「窓月まつしまや」を開業されました。
宿名の「まつしまや」は酒蔵の伝統ある屋号である松嶋屋から採り、「窓月」は庭に残されていた古い句碑に刻まれた言葉から名付けられています。
開業当初はプロからの厳しい指摘に落ち込むこともあったそうですが、すぐに野沢温泉の老舗旅館へ修業に飛び込み、ノウハウを吸収して見事に宿を成長させました。
壁にぶつかっても決して諦めず、常に前を向いて努力を重ねるご夫婦の情熱には、同じ30代の男として深い感銘と尊敬の念を抱かずにはいられません。
長野・木島平村 古民家宿「窓月まつしまや」場所・アクセス|人生の楽園
「窓月まつしまや」が位置するのは、長野県北部の自然豊かな下高井郡木島平村往郷2130-2です。
公共交通機関を利用する場合は、JR北陸新幹線またはJR飯山線が乗り入れる「飯山駅」が玄関口となります。
飯山駅からは車で10分ほどの距離にあり、前日午前中までに相談しておけば、ご夫婦が駅まで送迎に来てくれる温かいサービスも用意されています。
また、飯山駅から木島平村行きのシャトルバスに乗り、「中島」バス停で下車して徒歩4分ほどで到着することも可能です。
お車で向かう場合は、上信越自動車道の「豊田飯山インターチェンジ」から約20分という好立地にあります。
敷地内には4台分の無料駐車場が完備されていますが、冬の時期は積雪状況によって2台分となるため、事前確認をおすすめします。
木島平村は日本有数の豪雪地帯でもありますので、冬場に車で訪れる際はスタッドレスタイヤやチェーンなどの雪道対策を万全にして出かけましょう。
長野・木島平村 古民家宿「窓月まつしまや」周辺の観光情報|人生の楽園
「窓月まつしまや」の周辺には、北信州の豊かな自然と田舎の原風景を満喫できる魅力的なスポットがたくさん集まっています。
特におすすめしたいのが、標高1500メートル付近に広がる「カヤの平高原」です。
ここには樹齢300年を超える見事なブナの原生林がそびえ立ち、「日本一美しい森」と称されるほど神秘的な空気が漂っています。
夏には北ドブ湿原で黄色いニッコウキスゲの花々が一面に咲き誇り、秋には一面が黄金色に染まる紅葉の絶景を楽しむことができます。
温泉好きなら見逃せないのが、名湯として名高い「馬曲温泉 望郷の湯」です。
山あいに競り出すように作られた露天風呂からの眺望は息をのむほど美しく、雄大な山並みを眺めながら浸かる温泉は格別の癒やしを与えてくれます。
地元の味覚やクラフトに触れたいときは、「道の駅 FARMUS木島平」へ足を運んでみてください。
洗練された空間には新鮮な地元野菜や特産品が並び、併設されたお食事処では名水と山菜の繋ぎで打たれる名物「名水火口そば」を堪能できます。
さらに歴史を感じたい方には、2000年前の種から咲かせた古代蓮で知られる「稲泉寺」や、年に2回しか流れない「樽滝」といった幻想的な名所も存在します。
少し足を延ばせば野沢温泉街の湯巡りも楽しめるため、宿を拠点にして北信州の四季をじっくり巡る旅は最高の思い出になるはずです。
まとめ
長年胸に抱き続けた夢を諦めず、40代後半で大きな決断を下して見事にセカンドライフを花開かせた中村さんご夫婦の生き方は、観る者の心に温かい灯をともしてくれます。
築145年の歴史ある酒蔵で過ごす静かな時間と、澄んだ空気、そしておいしいお料理とお酒は、忙しない現代社会で疲れた心を優しく解きほぐしてくれるに違いありません。
私自身もいつかこの「窓月まつしまや」を訪れ、テレビもスマホもない静寂の中で、夜空に浮かぶ月を眺めながら自分自身の人生を見つめ直してみたいと強く思いました。
あなたも日々の忙しさを一度リセットして、北信州の美しい里山で「何もしない贅沢」を味わう旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。
