テレビの画面越しに流れる奈良の穏やかな風景と、そこでお酒造りに打ち込む一人の女性の姿を見て、胸が熱くなった方も多いのではないでしょうか。
僕自身、30代という人生の分岐点に立ちながら、あんな風に「自分の好き」を真っ直ぐに追い求める姿には、言葉にできないほどの勇気をもらいました。
今回ご紹介するのは、テレビ番組「人生の楽園」でも注目を集めた、奈良県御所市に佇む「葛城酒造」さんです。
130年以上という気の遠くなるような長い歴史を守りながら、新しい風を吹き込もうとしているこの酒蔵には、一体どんなドラマが隠されているのでしょうか。
ネットで今まさに話題となっている、その深い魅力と5代目の挑戦について、僕なりの視点も交えながら詳しく紐解いていきたいと思います。
人生の楽園(1月10日)葛城酒造が奈良・御所の酒蔵!
■奈良・御所に息づく130年の伝統!「葛城酒造」が紡いできた深い歴史の歩み
葛城酒造の歴史を遡ると、明治20年という非常に重みのある時代にまで辿り着きます。
もともとは奈良の宇陀で酒造りを行っていた久保家の分家が、この御所の地で油屋だった建物を譲り受けたことが、すべての始まりだったそうです。
それから130年以上の間、金剛・葛城山系の地下100メートルから湧き出る清らかな伏流水を使い、誠実に、そして丁寧にお酒を醸し続けてきました。
代表的な銘柄である「百楽門(ひゃくらくもん)」という名前には、多くの人が楽しい宴で心の門を開き、喜びを分かち合ってほしいという素敵な願いが込められています。
しかし、その歩みは決して平坦なものではなく、杜氏の高齢化などの理由から、2016年頃には一時的に酒造りを断念せざるを得ない厳しい時期もありました。
それでも4代目の久保伊作さんは「自分の代でこの蔵を絶やすわけにはいかない」と決意し、自らも技術を磨き、蔵を守り抜いてこられたのです。
特筆すべきは、室町時代から伝わる清酒のルーツとも言われる伝統技法「菩提(ぼだい)もと仕込み」を大切に継承している点です。
奈良にある正暦寺から酒母を譲り受け、五穀豊穣への感謝を込めて造られる「どぶろく」は、地元の神社の御神酒としても奉納されるほど特別な存在となっています。
長い沈黙を乗り越え、伝統と誇りを持って造り続けられるお酒には、この土地にしか出せない深いロマンが詰まっていると感じずにはいられません。
葛城酒造5代目・谷口明美の経歴|人生の楽園(奈良・御所)
■50歳で証券・保険業界を飛び出した!5代目・谷口明美さんの情熱と経歴
次に、この歴史ある蔵に飛び込み、2021年12月から5代目として新たな歴史を刻み始めた谷口明美さんの、驚くべきプロフィールに触れてみましょう。
大阪府出身の明美さんは、実はもともと酒造りの世界とは無縁の、証券会社や保険会社で30年という長い年月を駆け抜けてきたキャリアウーマンでした。
安定した会社員生活を送る一方で、心のどこかでは「自分には組織の枠にはまる生き方は向いていないのではないか」という違和感をずっと抱えていたそうです。
そんな彼女の原点にあったのは、幼い頃に見た鍛冶職人だった祖父・喜代治さんの、情熱を持ってものづくりに向き合い、夜には美味しそうに日本酒を楽しむ背中でした。
転機はふとした旅行中に訪れ、そこで飲んだお酒が自分の理想の味と違った際、「それなら自分で造ればいいんだ」という、常人では思いつかないような大胆なひらめきを得たのです。
50歳という大きな節目で退職を決意した彼女は、新規の免許取得が難しいという壁にぶつかりますが、そこで「事業承継・引継ぎ支援センター」を通じて葛城酒造に出会いました。
後継者を探していた4代目の久保さんと、情熱溢れる明美さんの出会いは、まさに運命的なマッチングだったと言えるのではないでしょうか。
そこから始まったのは、50代という年齢を感じさせない、住み込みでの過酷な杜氏修業の日々でした。
新潟の蔵へ弟子入りして基礎を学び、今は4代目の久保さんを師匠と仰ぎながら、経営者として、そして一人の造り手として「百楽門」の味を守っています。
「好きこそ物の上手なれ」という師匠からのエールを胸に、真っ向からお酒に向き合う彼女の姿は、第二の人生を夢見るすべての人にとっての希望そのものです。
葛城酒造場所・アクセス|人生の楽園(奈良・御所)
■実際に「百楽門」を味わいたい方へ!葛城酒造の店舗情報とアクセス方法
さて、これほどまでの物語を聞いてしまうと、実際にどんなお酒なのか、どこへ行けば手に入るのかが気になりますよね。
葛城酒造株式会社は、奈良県御所市名柄347-2という、今も古き良き家並みが残る場所にひっそりと佇んでいます。
営業時間は午前8時30分(あるいは9時)から午後5時までとなっており、土曜日や日曜日、祝日は定休日となっていることが多いので注意が必要です。
お電話での問い合わせは0745-66-1141となっており、訪ねる前には一度、在庫状況や営業日を確認しておくと安心ですよ。
ただし、注意しておきたいのは、この蔵は小さな手造りの蔵であるため、取引先の紹介がない方への酒蔵見学は基本的にお断りされているという点です。
「テレビで見たから中を見せてほしい」と急に訪ねて驚かせてしまうのではなく、まずは公式のオンラインショップやSNSを通じて、その世界観を味わうのが大人の嗜みかもしれません。
交通アクセスとしては、近鉄御所線の「近鉄御所駅」から車で10分ほどの距離にあり、のどかな田園風景を楽しみながら向かうことができます。
お車でお越しの方は、南阪奈道路の「葛城インターチェンジ」から約15分で到着し、7台分ほどの駐車場も用意されているようです。
地域の方々に愛され、支えられてきた場所ですから、静かな町の雰囲気を感じながら、感謝の気持ちでお酒を受け取りに行きたいものですね。
看板銘柄の「百楽門」は、フルーティーな香りのものから、お米の力強さを感じる超辛口まで幅広いラインナップがあり、選ぶ時間すらも楽しくなるはずです。
まとめ
■一杯のお酒に込められた「好き」を極める勇気
ここまで、葛城酒造の歴史や谷口明美さんの挑戦について詳しくお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
僕がこの記事を書いていて一番強く感じたのは、何歳になっても「好き」という純粋な気持ちは、人生を大きく変える力を持っているということです。
30年勤めた会社を辞めて、未知の酒造りの世界へ飛び込むのは、並大抵の覚悟ではできなかったはずです。
でも、彼女が醸した「百楽門」を一口飲めば、そこにある情熱や、130年以上続いてきた御所の水の清らかさが、きっと心に染み渡ることでしょう。
伝統を守る4代目の優しさと、それを受け継ぐ5代目の覚悟が溶け合ったお酒は、まさに「人生の楽園」そのものだと僕は思います。
もしあなたが今、何かに迷っていたり、新しい一歩を踏み出す勇気が欲しかったりするなら、ぜひ葛城酒造のお酒を手に取ってみてください。
きっと、その一杯が、あなたの心の門を優しく開けてくれるきっかけになるはずですから。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
