東京都の公立中学校に通う皆さんや保護者の方々にとって、避けては通れない大きな壁のように感じられるのが、英語スピーキングテストの「ESAT-J」ではないでしょうか。
最近は都立入試の仕組みが少しずつ変わり、英語に関しても「読む・書く・聞く」だけでなく「話す」力の実力がダイレクトに合否に関わってくる時代になりましたね。
私自身、日々中学生に英語を教えている身として、このテストに対する不安や疑問を抱える声を耳にしない日はありませんが、正しく理解して準備を整えれば決して恐れる必要はないものだと確信しています。
ESAT-J とは?
■ESAT-Jの概要と入試への影響
このテストの正式名称は「English Speaking Achievement Test for Junior High School Students」と言い、その頭文字を取って「ESAT-J(イーサット・ジェイ)」と呼ばれています。
東京都が目指しているのは、義務教育を通じて「使える英語力」を育てることであり、その一環として中学校生活で培ったスピーキング能力を客観的に評価するために導入されました。
令和4年度から中学3年生を対象に本格的に始まり、現在では「ESAT-J YEAR 3」という名前で都立高校入試の評価資料として活用されています。
気になる入試への影響ですが、都立高校の一般入試において、学力検査の700点と調査書点の300点に、このESAT-Jの20点が加算され、合計1020点満点で合否が判定される仕組みになっています。
「たった20点か」と感じるかもしれませんが、倍率の高い人気校を受験する場合、このわずかな点差が最終的な明暗を分ける可能性も否定できません。
特に英語が得意な子にとっては、確実にA判定の20点を取ってアドバンテージを確保したいところですし、苦手な子にとっても大崩れしないための対策が欠かせませんね。
ESAT-Jテスト内容
■テスト形式と具体的な内容
ESAT-Jは、試験官と対面して話す形式ではなく、タブレット端末とヘッドセット、さらには周囲の音を遮断するためのイヤーマフを使用して行われます。
画面に表示される問題に対して英語で答え、その音声を録音して後から採点されるという、デジタル時代ならではのスタイルが特徴です。
テストはパートAからパートDまでの4つのセクションで構成されており、それぞれ異なる角度から英語の発話力が試されます。
パートAは画面に表示された英文を読み上げる「音読」で、発音やリズム、イントネーションといった音声面が評価のポイントとなります。
パートBは図や絵を見て英語の質問に答えたり、自分の意図を伝えたりする「質疑応答」で、コミュニケーションが成立しているかどうかが重要です。
パートCは4枚のイラストを見てそのストーリーを英語で説明する問題、そしてパートDは特定のテーマについて自分の意見を理由とともに述べる問題となっており、後半になるほど難易度が上がります。
私が生徒たちにアドバイスする際は、完璧な文法を目指すよりも、まずは大きな声で堂々と、相手に伝えようとする姿勢を持つことが何よりの攻略法だと伝えています。
ESAT-J 2025年の実施概要
■2025年度(令和7年度)の実施内容
令和7年度の「ESAT-J YEAR 3」は、2025年11月23日の日曜日に本試験が実施されました。
もしインフルエンザなどの体調不良や、どうしても避けられない事情で当日受験できなかった場合には、12月14日に追試験・再試験が設けられています。
申し込み自体は夏休みの前から始まっており、7月3日に受付が開始され、9月17日には締め切られるというスケジュールでしたね。
また、中学3年生だけでなく、中学1年生向けの「YEAR 1」や2年生向けの「YEAR 2」も2026年の2月から3月にかけて、それぞれが通う中学校で実施される予定です。
このように、早い段階からスピーキングテストの形式に慣れておくことで、本番である3年生の試験をスムーズに迎えられるような体系が整ってきています。
受験当日には、都立高校や大学、民間施設などが会場として使われ、多くの生徒が緊張の中で日頃の成果を発揮することになります。
ESAT-J 結果の見方
■結果の見方とマイページへのログイン
テストを受けた後、最も気になるのは自分の評価がどうだったかという点ですよね。
結果は郵送されるスコアレポートでも確認できますが、それよりも早くインターネット上の「生徒用マイページ」で閲覧することが可能です。
ログインには、学校から事前に配布された10桁の個人IDと、自分で設定したパスワードが必要になります。
もしパスワードを忘れてしまった場合は、事前に登録したメールアドレスを使って再設定するか、学校の先生に相談して再発行を依頼しなければなりません。
ログインに成功すると、画面には「A」から「F」までの6段階で示されたグレードと、0点から100点満点のスコアが表示されます。
他にも、自分のスピーキング能力がCEFRレベルでどの段階にあるかや、今後の学習に向けた具体的なアドバイスも記載されているので、しっかり目を通しておきましょう。
段階別評価とスコア範囲
| 段階別評価 | スコア範囲 | 都立入試換算点 |
|---|---|---|
| A | 100~80 | 20点 |
| B | 79~65 | 16点 |
| C | 64~50 | 12点 |
| D | 49~35 | 8点 |
| E | 34~1 | 4点 |
| F | 0 | 0点 |
ESAT-J 結果|点数・割合の分布は?
■統計と分布から見る最新の傾向
過去数年のデータを見てみると、受験生たちがこの新しいテストにどんどん適応している様子がはっきりと分かります。
2024年度(令和6年度)の平均スコアは68.3点となっており、前年度の65.2点から3.1点も上昇しました。
さらに詳しく評価の分布を見ていくと、最高評価である「A」の割合が31.3%に達しており、これは過去最高の結果です。
「B」評価の31.6%と合わせると、全体の6割以上の生徒が65点以上の高いスコアを獲得していることになります。
これは、学校や塾での対策が進んだことや、AIを活用した学習アプリなどの普及によって、生徒たちの準備がより洗練されてきたためだと考えられますね。
導入当初は手探りだった部分もありましたが、今やしっかり対策をすれば十分に高得点を狙えるテストになっていると言えるでしょう。
年度別分布と平均スコア
| 年度 | 平均スコア | A (%) | B (%) | C (%) | D (%) | E (%) | F (%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年度(2024年実施) | 68.3 | 31.3 | 31.6 | 22.2 | 9.7 | 4.6 | (Fの詳細未公表、少数) |
| 令和5年度(2023年実施) | 65.2 | 25.3 | 29.2 | 26.0 | 11.9 | 6.5 | 1.1 |
| 令和4年度(2022年実施、本格導入初年) | 60.7(または60.5) | 16.8 | 25.8(または25.6) | 31.6(または31.4) | 16.9 | 8.1(または8.3) | 0.8(または0.9) |
ESAT-J|都立高校入試での具体的な活用方法
ESAT-Jの結果は、学力検査の結果とともに総合得点の一部として計算されます。
具体的な換算方法は非常にシンプルで、グレードAなら20点、Bなら16点、Cなら12点、Dなら8点、Eなら4点、Fなら0点となります。
これらは学力検査の当日点や調査書点と合算され、最終的な選抜の資料となります。
例えば、ある高校の合格基準点が820点だった場合、ESAT-Jで16点を取っていれば、残りの1000点満点分で804点を取れば合格ラインに届くという計算です。
ただし、この活用は第一次募集や分割前期募集に限られており、推薦入試や二次募集などでは点数として活用されない点には注意が必要です。
また、どうしても受験できなかった生徒に対しては、不当な扱いにならないよう、他の受験生の結果に基づいた平均値などで算出する措置も取られています。
ESAT-J |結果が見れない・ログインできない場合
■技術的なトラブルが発生した際の対処法
タブレット端末を使用するテストという性質上、予期せぬトラブルや動作不良が起こる可能性はゼロではありません。
過去には、アプリがフリーズしたり、録音した音声のアップロードに時間がかかったりといった不具合が報告されたこともあります。
もし試験中にタブレットが動かなくなったり、音声が正しく録音されているか不安になったりした場合は、その場ですぐに試験監督に知らせることが大切です。
現場での対応ミスや機器の故障と判断された場合には、別日程での再受験の機会がしっかりと保証されています。
また、自宅でマイページにアクセスできない場合は、入力したIDやパスワードが半角になっているか、大文字と小文字を間違えていないかを確認してみてください。
インターネットの閲覧環境やブラウザのアップデート状況によってもエラーが出ることがあるので、焦らずに一つずつチェックしていくことが肝心ですよ。
まとめ
ESAT-Jは、これからの国際社会で生きていく皆さんのための、一つの大きな挑戦と言えるでしょう。
最初は緊張するかもしれませんが、出題される内容はあくまで中学校の教科書レベルであり、突飛な難問が出るわけではありません。
日頃から音読を大切にし、自分の考えを少しずつ英語にする練習を積み重ねていけば、道は必ず開けます。
このテストをただの「試練」と捉えるのではなく、自分の英語がどれくらい世界に通じるのかを試す「チャンス」だと思って、前向きに取り組んでほしいと願っています。
皆さんが本番で自信を持ってマイクに向き合い、最高の笑顔で試験会場を後にできることを、心から応援しています。
