こんにちは、はるをです!
この記事ではnetflixで3月14日に配信開始された映画「カード・カウンター(原題:card counter)」についてどこよりも早く解説しています。
「カード・カウンター」は過去のトラウマに苦しむギャンブラーが、復讐と贖罪の間で揺れ動く姿を描いた心理スリラー。

元兵士のギャンブラーが、過去の過ちと向き合い、新たな人生を模索する姿を描いたヒューマンドラマだよ。
カード・カウンター(映画)あらすじ
今回は、私が以前から気になっていた映画、『カード・カウンター(原題:The Card Counter)』について、予告編をちらっと見た時から、ただのギャンブル映画ではない、何か重たいテーマが隠されているような気がしていたんですよね。
それでは、早速この作品の魅力に迫っていきましょう!
物語の幕が開くと、私たちはウィリアム・テルという男に出会います。演じるのは、あのオスカー・アイザック。彼の憂いを帯びた表情が、冒頭から観る者の心を掴んで離しません。
ウィリアムは、アメリカ国内のカジノを転々としながら、ギャンブルで生計を立てています. しかし、彼のギャンブルスタイルは一風変わっています。
「小さく賭けて、小さく勝つ」を信条とし、大金を狙うようなことは決してしません。まるで、誰にも気づかれないように、ひっそりと生きているかのようです.
彼の生活は質素そのものです。カジノがあるような豪華なホテルには泊まらず、いつも近場の安モーテルを転々としています.
そして、モーテルの部屋に着くと、まず奇妙な行動に出るんです。部屋にある家具をすべて、持参した白い布で覆ってしまう。
まるで、外界から自分を遮断するような、一種の儀式のようにも見えます。そして、夜になると彼は日記を書く。

この日記を書くという行為が、過去に囚われた孤独な男の姿を象徴しているように感じます.
そんなウィリアムには、誰にも語れない過去がありました。それは、彼がかつてイラクのアブグレイブ刑務所に服役していたという事実です。
彼は、そこで行われた捕虜虐待に関与し、罪に問われたのです。出所後も、その時の罪の意識に苛まれ続けている。
ある日、いつものようにカジノを訪れたウィリアムは、ギャンブル・ブローカーのラ・リンダという女性と出会います。
彼女は、ウィリアムのギャンブラーとしての才能を見抜き、大金が稼げるポーカーの世界大会への参加を彼に持ちかけます。
しかし、目立つことを嫌うウィリアムは、その誘いを一度は断ります.
その直後、ウィリアムはもう一人、重要な人物と出会います。それは、カークという若い男。
カークは、ウィリアムと同じアブグレイブ捕虜収容所に勤務していた父親を持ち、その父親は収容所での出来事が原因で自殺していました。
カークは、当時の上官であったジョン・ゴードという人物に復讐を誓っており、ウィリアムに協力を求めてきたのです。
ゴードは、捕虜虐待を指示したにもかかわらず、罪に問われることなくのうのうと生きている。
ウィリアムは、カークの復讐心に危険を感じながらも、彼を放っておくことができません。
彼は、カークを暴力の連鎖から救い出そうと、ギャンブルの旅に誘うことを決意します。
この出会いが、ウィリアム自身の過去と再び向き合い、彼の運命を大きく変えていくことになるのです。
カード・カウンター(映画)最後の結末を考察※ネタバレ注意!
ラ・リンダの誘いを断ったウィリアムでしたが、カークの抱える復讐心、そして彼自身の過去の罪の意識が、彼の心を揺さぶります。
彼は、カークを連れて、ラ・リンダが手配したポーカーの大会に参加することを決めます。
ウィリアムは、ギャンブルで得た資金を使ってカークの借金を返済し、彼が大学に戻って人生をやり直せるようにと願っていました。
カジノを巡る旅の中で、ウィリアムとラ・リンダの間には、徐々に特別な感情が芽生えていきます。
お互いに惹かれ合い、束の間の幸せを分かち合う二人。ウィリアムにとって、ラ・リンダとの出会いは、過去の贖罪へのわずかな希望の光のように見えました.
しかし、カークの復讐心は消えることはありませんでした。ウィリアムの忠告を聞かず、彼は独断でジョン・ゴードの屋敷へと向かい、復讐を試みます。
そして、悲しい結末を迎えます。カークはゴードに返り討ちに遭い、命を落としてしまうのです.
カークの死を知ったウィリアムは、大きな衝撃を受けます。彼の中で、抑えられていた怒りと悲しみが爆発します。
彼は、ポーカー大会の決勝を目前にしながら、ラ・リンダとの未来も捨てて、復讐へと突き進むことを決意します。
ウィリアムはゴードの屋敷に侵入し、彼を捕らえます。二人の間で何があったのかは、直接的には描かれません。
しかし、聞こえてくる激しい争う音や苦痛に満ちた叫び声から、凄惨な出来事が起こったことが想像できます。
そして、血まみれになったウィリアムが一人、部屋から出てくるのです. 彼は自ら警察に通報し、再び刑務所へと戻る道を選びます.
再び服役の身となったウィリアムの元に、面会者が訪れます。それは、ラ・リンダでした。
透明なアクリル板を挟んで、二人は再会を果たします。言葉を交わさずとも、お互いの指を重ね合わせ、じっと見つめ合う二人。
このラストシーンは、暗く救いのない物語の中に、わずかな希望の光を感じさせる、印象的な場面となっています。
カード・カウンター(映画)キャスト
主人公のウィリアム・テルを演じたオスカー・アイザックは、その内面の葛藤を静かに、そして深く表現しています。
多くを語らずとも、その瞳の奥に抱える過去の傷や贖罪の念が、観る者に痛いほど伝わってきます。
ギャンブル・ブローカーのラ・リンダを演じたのは、ティファニー・ハディッシュ。
コメディエンヌとしてのイメージが強い彼女ですが、本作ではウィリアムの才能を見抜き、彼を支えようとする、大人の女性の魅力をしっかりと表現しています。
ウィリアムとの間に育まれる、静かで温かい愛情が、観る者の心を慰めます.
復讐に燃える青年カークを演じたタイ・シェリダンは、若さゆえの危うさや、過去のトラウマから抜け出せない苦悩を見事に体現しています。
彼の焦燥感や脆さが、物語に緊張感を与えています.
そして、物語の鍵を握るウィリアムの元上司、ジョン・ゴードを演じたのはウィレム・デフォー。
短い出番ながらも、その存在感は圧倒的です。彼の冷酷さや、過去の出来事に対する無責任な態度が、ウィリアムの怒りを増幅させます.
本作の監督と脚本を手掛けたのは、ポール・シュレイダー。
『タクシードライバー』や『魂のゆくえ』など、人間の内面の葛藤や社会問題を描き出すことに定評のある監督です。
本作でも、その手腕は遺憾なく発揮されており、観る者を深く考えさせる作品となっています。製作総指揮には、巨匠マーティン・スコセッシが名を連ねています。
カード・カウンター(映画)感想はつまらない?面白い?
映画を観た人たちの感想を見てみると、その多くが、単なるギャンブル映画ではないという印象を抱いているようです。
タイトルから想像されるような華やかなギャンブルの世界とは異なり、主人公の抱える過去のトラウマや、その苦悩が深く描かれている点が、多くの人の心に響いたようです。
特に、オスカー・アイザックの演技を絶賛する声が多く見られます。
彼の抑制された演技の中に、主人公の複雑な感情が見事に表現されており、観る者は彼の内面世界に引き込まれていくようです。
一方で、物語の展開が地味で、派手なアクションやドラマチックな盛り上がりを期待していた人にとっては、少し物足りないと感じたという意見も見られました。
しかし、そのような静かな語り口こそが、主人公の孤独や苦悩をより深く伝えているという声もあります。
また、アブグレイブ刑務所での捕虜虐待という、重いテーマが扱われていることについても、多くの感想が寄せられています。
目を背けたくなるような過去の出来事を背景に、人間の罪と贖罪、そして復讐について深く考えさせられる作品だと感じた人が多いようです。
ラストシーンについても、様々な解釈があるようです。
希望が見えたという意見もあれば、主人公の抱える闇は深いと感じたという意見もあり、観る人それぞれの心に印象を残す結末と言えるでしょう。
カード・カウンター(映画)見どころ
この映画の見どころは、何と言ってもポール・シュレイダー監督の独特な演出です。
静かで抑制の効いた映像の中に、主人公の心の奥底にある感情が滲み出てくるような、そんな表現が光っています。
特に、主人公がモーテルの部屋を白い布で覆うシーンや、アブグレイブ刑務所の悪夢のような映像は、強烈な印象を残します。
また、オスカー・アイザックの圧倒的な存在感も大きな見どころです。
多くを語らずとも、その表情や佇まいだけで、主人公の背負ってきた過去の重さや、現在の孤独、そして内に秘めた怒りが伝わってきます。
そして、アブグレイブ刑務所を背景に、人間の倫理観や罪の意識、そして国家の責任について深く考えさせられるという点も、この映画の重要な見どころです。
過去の過ちから目を背けることなく、そこから何を得るべきなのか、観る者に問いかけているように感じます。
さらに、主人公がカジノで出会う、星条旗を身につけた「ミスターUSA」と呼ばれる人物の存在も、アメリカという国家に対する皮肉として捉えることができます。
彼の振る舞いは、主人公の静かな生き方と対照的であり、映画全体のテーマをより深く掘り下げています。
ポール・シュレイダー監督の過去の作品、特に『タクシードライバー』や『魂のゆくえ』との共通点を見つけるのも、この映画を楽しむ上でのポイントの一つでしょう。
孤独や葛藤を抱える主人公の姿は、これらの作品にも共通するテーマであり、シュレイダー監督の作家性を改めて感じることができます。
私自身、海外の映画やドラマを字幕なしで楽しめるようになったことで、言葉の壁を超えて、様々な文化や歴史、そして人間の普遍的な感情に触れることができる喜びを知りました。
この『カード・カウンター』も、一見すると近寄りがたいテーマを扱っているように見えるかもしれませんが、その奥には、私たちが生きる社会や、私たち自身の心について深く考えさせてくれる、そんな力を持った作品だと感じています。
今日も最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!また次のブログでお会いしましょう!
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