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ババヤガの夜(王谷晶)あらすじネタバレ|感想レビュー

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こんにちは!

ミステリー小説をこよなく愛する書評ブロガーです。

今回は、最近世界が注目しているとびっきりの作品、王谷晶さんの『ババヤガの夜』について、私の熱い想いを込めてご紹介させてください。

この作品は、一言では語りつくせないほどの魅力が詰まった、まさに「事件」でした。

読んだ後、しばらく興奮が冷めやらないくらい、心を揺さぶられましたよ!

もちろん、ネタバレは最小限に、でも作品の魅力はしっかりお伝えしますね。

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ババヤガの夜(王谷晶)あらすじネタバレ

物語の始まり:血と暴力をまとう女の運命

主人公は、新道依子(しんどうよりこ)という女性です。

彼女、ちょっとというか、かなり特殊なんです。

「暴力を唯一の趣味とする女」と紹介される彼女は。

その言葉通り、喧嘩に天才的な才能を持っていて、体を力の中に浸すことを心から楽しんでいます。

漫画や音楽、ファッションよりも、暴力がずっと楽しい娯楽だなんて。

その発想がもうぶっ飛んでいて、最初からグッと引き込まれちゃいました。

依子は、小さい頃から祖父に過酷な鍛錬を課されて育ちました。

その訓練は想像を絶するほど厳しかったみたいで、木刀で殴られたり、雪の中で正拳突きをさせられたり、骨を折られたことさえあるんです。

彼女はどこか異国の血が流れているようで、背が高く、しっかりとした体格、そして赤毛なんです。

祖母からはスラヴ民話に登場する「ババヤガ」という妖婆の話を聞かされて育ちました。

このタイトルにもなっている「ババヤガ」が、物語の深い部分に響いてくるんですよ。

そんな彼女が、ある夜、新宿の街でヤクザ相手に大立ち回りをしてしまい。

なんと、暴力団「内樹會(ないきかい)」の屋敷に拉致されてしまうんです。

普通なら絶望的な状況だけど、依子はそこでさらに暴れて、その腕前を見込まれてしまいます。

そして、組長のひとり娘、尚子(しょうこ)のボディガード兼運転手を命じられることに。

尚子はお嬢様育ちで、毎日短大と習い事を行き来する人形のような女の子です。

暴力的な依子とは正反対の存在に見えるのですが。

彼女は父親からの虐待や、サディストである婚約者との政略結婚に苦しんでいます。

最初はぎこちない二人ですが、互いの心の闇や苦痛を知ることで、友情でも愛情でもない、独特の深い絆を育んでいきます。

特に印象的だったのは、依子が組の男にレイプされそうになった時、尚子がそれを救う場面です。

そして、尚子の抱える秘密や、彼女が父親から性的虐待を受けていたという衝撃的な事実が明らかになります。

ここから物語は一気に動き出し、二人で地獄のような状況から逃げ出すことを決意します。

そして、読者を「おおっ、そうきたか!」と唸らせるような、まさかの大どんでん返しが待ち受けています。

この仕掛けは本当に見事で、読み進める手が止まらなくなりますよ!

ババヤガの夜(王谷晶)|主な登場人物

心を揺さぶる登場人物たち

『ババヤガの夜』を彩るのは、忘れられない個性的なキャラクターばかりです。

まず、やはり主人公の新道依子(しんどうよりこ)。

彼女は強烈に強いけれど、一般的にイメージする「美人」という描写はされていません。

ただただ武骨で強い。

その潔さが、私にはたまらなくカッコよくて、痺れました。

自分の喧嘩の腕を振るうことに興奮を覚えるという、その野生動物のような姿は、虐げられる苦しみとは無縁に見えますが。

実は「女」であることの苦痛からは逃れられません。

男性社会における「信用」の壁や、組員からレイプされそうになる経験も描かれています。

それでも、彼女は「誰かの何かとして生きるのは無理だ」と言い放ち、自分の信念を貫こうとします。

次に、内樹會の組長の娘である尚子(しょうこ)ちゃん。

最初は生気のない人形のようで、父親に飼われている愛玩犬のように縛られています。

でも、父親の支配から逃れたいという強い意志を持っていて。

弓道が好きな一面も描かれていて、それが後々のエピソードで生きてくるのが素晴らしいセンスだなと思いました。

彼女が依子との関係を深めるうちに、少しずつ人間らしい感情を見せていく姿は本当に胸を打たれます。

まるで「内気な御子」だった彼女が、抑圧された自己を取り戻していくようです。

そして、依子を組に引き入れた若頭補佐の柳(やなぎ)。

彼は依子の強さや内面を理解しているようで。

二人のやり取りも、依子の人間性を際立たせていて、とても面白いんです。

彼が言う「馬と馬糞なら良い夫婦になれそう」というジョークも、なんだか印象的でした。

組長の内樹源造(ないきげんぞう)は、娘を溺愛しつつも、支配的な父親です。

缶コーヒーを飲む姿など、細部まで丁寧に描かれていて、リアリティを感じさせます。

尚子の婚約者である宇田川(うだがわ)は、拷問趣味のサディストで、とにかく恐ろしい存在です。

彼が二人の逃走にどう関わってくるのかも、見どころの一つです。

また、物語の途中で「長ドスのマサ」を追う設定から、いきなり登場する正(まさし)と芳子(よしこ)の二人組。

この二人の存在が、物語全体に仕掛けられた大きなトリックなんです。

読んでいる間、私もしっかり騙されました(笑)。

ババヤガの夜(王谷晶)|感想レビュー

読者の熱い声!共感と衝撃の波

この作品を読んだ人たちは、私と同じように熱狂しています。

とにかく「一気読みした」「疾走感がすごい」という声が多いですね。

私も一日で読み終えちゃうくらい熱中しましたから、本当にあっという間に物語に引き込まれます。

暴力描写については、「めちゃくちゃブッ飛んでて最高に血まみれ」「痛快で痺れた」という声がある一方で。

「生々しい暴力描写が特徴」だけど「心地が悪くて、気持ちがいい」という、なんとも複雑な感想も寄せられています。

暴力表現が男性のもととして占有されがちな中で、女性が泥臭く純粋な暴力で戦う描写は、まさに求めていたものだと感じた人もいます。

そして、依子と尚子の関係性。

「友情でも愛情でも性愛でもない、ただ深いところで結ばれた関係に、名前など付けられない」という宇垣美里さんの言葉は、この作品を的確に表していると思います。

「血と暴力が二人の女を結ぶ」という言葉が示す通り。

二人の女性が苦痛を共有し、支え合いながら困難に立ち向かう姿は、「シスターフッド文学をあらゆる意味で刷新する」とまで言われています。

この「名前のない関係性」が、読者の心に深く響くんです。

物語の仕掛けについても、「あっと驚くしかけ」「飛びっきりの騙される快感」「ナルホド!と唸った」といった、絶賛の声が多数あります。

特に、登場人物の名前に隠されたトリックは、読者をアハ体験に導きます。

ただ、物語の後半の展開については、「駆け足に感じた」「熱を失っていくのを感じた」という声も聞かれます。

個人的には、あの怒涛の展開は、二人の逃亡生活の過酷さや、切迫感を表現しているようにも感じました。

ラストシーンは「映画のように美しい」という感想や。

「切なさが胸に迫る」という声もあり、読後感も人それぞれ、深い余韻を残します。

ババヤガの夜(王谷晶)|評価は日本人初ダガー賞受賞!

世界が認めた快挙!ダガー賞受賞の舞台裏

そして、この『ババヤガの夜』は、先日、英国推理作家協会賞(ダガー賞)の翻訳部門を受賞するという、まさに「快挙」を成し遂げました。

アメリカの「エドガー賞」と並んで、世界で最も権威があるとされるミステリー小説の賞なんです。

これまで、横山秀夫さんの『64(ロクヨン)』や、東野圭吾さんの『新参者』、伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』など、多くの日本作品がノミネートされてきましたが、受賞には至っていませんでした。

だからこそ、日本人作品としては初の受賞となる今回のニュースは、本当に驚きと感動を与えてくれました!

今回の翻訳はサム・ベットさんが担当されていて、彼もこの作品の「映画のような活力」を高く評価しています。

ダガー賞の審査員長は、この作品が「マンガ文化、ヤクザ映画、北野武、そして強いLGBTQの要素を融合させていた」と評価し、「独創的だった」とコメントしています。

「容赦のない暴力描写に満ちているが、登場人物たちの深い人間性を際立たせるためのもの」であり、「独創的かつ、奇妙ではあるものの見事なラブストーリーを紡ぎ出している」とも評されました。

作者の王谷晶さん自身は、「ミステリー専門の作家ではない」としつつも。

この作品の主人公たちが「はっきりとラベリングできない関係と人生を手に入れる」ことを「あいまいであること」という自身の作家としてのテーマと重ねています。

「リアルの暴力があふれている世界では、フィクションの暴力は生きていけません」と語り、この受賞が「世界の平和のために少しでも役立てたい」という彼女の言葉に、作品への深いメッセージを感じました。

近年の海外の文学賞では、日本の女性作家の作品が高く評価される傾向があるようです。

この作品も、女性の生き方や、男性優位の社会との闘いを描いている点が、世界的なフェミニズムの流れと合致している、という見方もありますね。

私も、この作品は単なるバイオレンスアクションではなく、人間関係の奥深さや、社会への問いかけが込められた、本当に素晴らしい文学作品だと感じました。

ぜひ、この熱量をあなたにも体感してほしいです!

私も、王谷晶さんの他の作品ももっと読んでみたいと思っています!

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