2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピック、フィギュアスケート団体戦での日本チームによる2大会連続の銀メダル獲得は、僕たちファンにとって忘れられない熱狂の瞬間となりましたね。
アメリカとの勝ち点わずか1ポイント差という大激戦の中で、特にペアの「りくりゅう」こと三浦璃来選手と木原龍一選手が自己ベストを大きく更新し、1位を獲る姿には胸が熱くなりました。
しかしその一方で、アイスダンスが依然として世界の壁に苦しんでいる現状を目の当たりにし、もどかしさを感じた方も多いのではないでしょうか。
今回は、僕が愛してやまないこの競技の深層について、なぜペアは強くなり、アイスダンスは足踏みを続けているのか、その理由を心を込めて解き明かしていきたいと思います。
アイスダンスとペアの違いは?【フィギュアスケート】
■氷上のアクロバットと社交ダンスの違い
一見すると男女二人が組んで滑る似た種目に見えますが、ペアとアイスダンスは、ルールも求められる技術も全くの別物なんです。
ペアはまさに「アクロバティック」という言葉がぴったりで、男性が女性を高く投げ上げるスロージャンプや、頭上で回転させるツイストリフトといった豪快な技が最大の見どころです。
シングル競技と同様に3回転などのソロジャンプも必須要素に含まれており、非常にダイナミックな迫力が魅力的な種目だと言えます。
対してアイスダンスは「氷上の社交ダンス」と称される通り、二人のステップの正確さや深いエッジワーク、そして音楽を表現する芸術性が何よりも重視されます。
ジャンプは1回転半以上が禁止されており、リフトに関しても男性がパートナーを自分の頭より高く持ち上げることは許されていません。
常に手が届くような至近距離で滑り続ける必要があり、呼吸が一つになったユニゾン(同調性)の美しさは、思わずため息が出るほど繊細で奥が深いんですよ。
アイスダンス|日本は弱い理由はなぜ?
■アイスダンスが抱える構造的な苦悩
ペアの躍進とは対照的に、アイスダンスが依然として世界での戦績が芳しくないのは、単なる努力不足ではなく根深い構造的な問題があるからです。
まず圧倒的に厳しいのが練習環境で、日本国内にはスケートリンクが少なく、常に多くの選手が過密状態で滑っているため、広いスペースを必要とするダンスの練習が極めて困難なんです。
欧米の選手たちが朝から晩までゆったりとしたリンクでエッジワークを磨いているのに対し、日本の選手は一般営業の合間や深夜に練習せざるを得ないことも少なくありません。
また、アイスダンスは欧米のダンス文化に根ざした種目であるため、幼少期から Ballroom Dancing に親しんでいる彼らのリズム感や表現力に、日本人が追いつくのは容易ではありません。
専門の指導者が国内に不足しているため、必然的に海外拠点を余儀なくされますが、二人分の遠征費やコーチ料といった経済的な負担はシングルの数倍に膨れ上がります。
さらに、パートナーとの信頼関係を何年もかけて築く必要があるこの種目では、一度解散してしまうと再びトップレベルに戻るまでに多大な時間を要してしまうのです。
過去には全日本選手権での国内選考と国際的な評価に乖離が生じ、代表選考を巡ってファンの間で大きな議論が巻き起こったことも、強化の難しさを物語っていますね。
フィギュアスケート・ペア|日本は強い理由はなぜ?
■ペアが日本のお家芸へと進化した背景
かつては日本の「弱点」とまで言われていたペアが、今や世界を牽引する強豪となった理由は、いくつかの幸運な出会いと戦略的な取り組みにあります。
最大の転換点は、三浦璃来選手と木原龍一選手という、言葉では言い表せないほど相性の良い二人が出会ったことでしょう。
彼らはカナダを拠点にして、世界トップレベルのコーチのもとで厳しい肉体改造と技術向上に励み、木原選手に至っては体重を20キロも増やしてリフトの安定感を追求しました。
こうした海外の優れた練習環境を積極的に活用したことが、日本独自のシングル技術と融合し、世界一の座に上り詰める原動力となったのです。
また、日本スケート連盟(JSF)がジュニア世代からペア育成に力を入れ、海外派遣を推進してきたことも、次世代の芽を着実に育てています。
今回のミラノ五輪で長岡柚奈選手と森口澄士選手の「ゆなすみ」ペアが史上初めて2組目の代表として出場したことは、その成果の何よりの証ですね。
ペアはシングルのジャンプ技術を転用しやすいため、日本人の身体能力が武器になりやすかったという文化的な側面も見逃せません。
JSFの情熱と未来への取り組み
「連盟はアイスダンスを強化する気がないのか」という厳しい声も聞こえてきますが、現場では決して手をこまねいているわけではありません。
実際には「カップル競技強化プロジェクト」を推進しており、将来有望なジュニア選手を海外のキャンプに送り出し、世界基準のスケーティング技術を習得させています。
近年では、男子シングルのスーパースターだった高橋大輔選手が転向したことで注目度が飛躍的に高まり、その熱量は確実に次世代へと引き継がれています。
今シーズンからは紀平梨花選手が西山真瑚選手と組んで転向するという、夢のようなニュースが僕たちファンを驚かせてくれましたね。
ミラノ五輪団体戦のトップバッターとして堂々と滑り抜けた「うたまさ」こと吉田唄菜選手と森田真沙也選手の成長も、こうした強化の光が見え始めた瞬間でした。
彼らのような若い世代が、カナダなどの強豪国で武者修行を続け、国際大会で少しずつ経験を積み上げている姿には、日本のダンスの明るい未来を感じずにはいられません。
ただ、文化の壁を越えて競技人口を増やすには、あと10年から20年という長いスパンでの投資が必要だと専門家も分析しています。
まとめ
■僕たちの応援が氷を溶かす力になる
フィギュアスケートの団体戦において、アイスダンスは今や「勝敗を左右する鍵」と言っても過言ではありません。
ペアが弱点を克服して日本の強みになったように、アイスダンスもまた、時間をかけて丁寧に育てていけば必ず世界に届く日が来ると僕は信じています。
そのためには、僕たちファンがこの種目の奥深い魅力を理解し、シングルと同じように温かい声援を送り続けることが、選手たちの何よりの励みになるはずです。
表現力の壁や環境の壁に立ち向かう彼らの情熱に、僕も一人のブロガーとして、そして一人のファンとして寄り添っていきたいと思っています。
皆さんも、これからはぜひアイスダンサーたちの足元のエッジの輝きや、二人で作り出す優雅な物語に注目してみてください。
きっとそこには、シングル競技では味わえない、深くて甘美なフィギュアスケートの真髄が隠されているはずですから。
