宮藤官九郎さんが脚本を手掛け、阿部サダヲさんが主演を務めるという最強のタッグで送り出されたのが、TBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」です。
プロデューサーには磯山晶さんが名を連ね、かつての「池袋ウエストゲートパーク」や「木更津キャッツアイ」を生み出した黄金トリオが19年ぶりに集結したことでも大きな話題となりました。
僕たちドラマ好きにとって、この顔合わせというだけで、一体どんな「不適切」な世界が待っているのかと期待に胸が膨らんだものです。
不適切にもほどがある|wiki情報
■ドラマ「不適切にもほどがある!」の基本作品情報
本作は、2024年1月26日から3月29日まで全10話にわたって放送された、時代を超えたヒューマンコメディです。
1986年の昭和と2024年の令和という、価値観が全く異なる二つの時代を舞台に、タイムスリップという魔法が物語を動かしていきます。
音楽には末廣健一郎さんたちが参加し、主題歌の「二度寝」を歌うCreepy Nutsもドラマの世界観を彩る重要な役割を果たしました。
不適切にもほどがあるネタバレ|あらすじ
■昭和から令和へ!怒涛のあらすじ解説
物語は、1986年に生きる昭和のダメおやじであり、中学校の体育教師を務める小川市郎が、ある日バスに乗って居眠りをしたところから動き出します。
目が覚めるとそこは、スマートフォンが普及し、コンプライアンスの波が押し寄せる38年後の2024年でした。
昭和の常識を貫く市郎の「不適切」な言動は、現代の人々を驚愕させますが、次第に彼が放つ極論が、窮屈な令和の空気を変えていくきっかけになっていきます。
一方、令和からは社会学者の向坂サカエとその息子キヨシが昭和へとタイムスリップし、これまた逆転したカルチャーギャップの中で奮闘する姿が描かれました。
不適切にもほどがある|キャストキャスト相関図
■キャストと登場人物の詳細・複雑な相関図
主人公の小川市郎を演じる阿部サダヲさんは、「地獄のオガワ」として恐れられる一方で、愛する妻を亡くし、一人娘の純子を男手一つで育てる深い愛情を持った父親を熱演しています。
その純子を演じた河合優実さんは、聖子ちゃんカットでロングスカートを穿いたスケバン姿が本当にハマっていて、令和の若者さえも魅了する存在感を放っていました。
令和で市郎が出会う犬島渚役の仲里依紗さんは、実は純子の娘であり、市郎にとっては自分の孫にあたることが物語の途中で明かされます。
そして磯村勇斗さんは、昭和の「ムッチ先輩」と、その息子である令和の「秋津真彦」の一人二役を見事に演じ分け、物語の血縁関係をより深いものにしてくれました。
さらに吉田羊さん演じる向坂サカエが、令和の価値観を昭和に持ち込みながらも、次第にその時代の熱さに影響されていく様子も非常に興味深いものでした。
登場人物たちの関係性は複雑で、市郎を中心に昭和の親子関係、令和の孫との絆、そして時代を越えた恋模様が何層にも重なり合っているのがこのドラマの魅力ですね。
不適切にもほどがあるネタバレ|最終回・最後の結末
■最終回・最後の結末と感動のフィナーレ
最終回「アップデートしなきゃダメですか?」では、タイムマシンバスの運行が残り1往復となる中、市郎はついに愛する娘・純子が待つ昭和へと帰る決意をします。
昭和に戻った市郎は「仏の小川」になると宣言し、令和で得た「多様性」や「寛容」といった概念を自分なりに噛み締めながら、昭和の同調圧力に立ち向かい始めました。
物語のクライマックスでは、喫茶「すきゃんだる」のトイレの壁の穴から、2054年からやってきた未来の井上昌和が現れるという衝撃の展開が用意されていました。
成田昭次さん演じる大人になった佐高強の出資によりタイムトンネルが完成し、市郎がさらなる未来や過去へと旅立つことを示唆するシーンで幕を下ろしたのです。
不適切にもほどがあるネタバレ考察|最後のテロップ
■最終回・最後のテロップに込められた粋な演出
物語が終わりを迎えたその瞬間、画面に映し出されたテロップが多くの視聴者の心を震わせました。
これまで毎回冒頭に出ていた「1986年当時の表現をあえて使用しています」という文言が、最後は「2024年当時の表現をあえて使用して放送しました」へと変化していたのです。
これは、僕たちが今正しいと信じている令和の価値観ですら、数十年後の未来から見れば「不適切」になる可能性があるという痛烈な皮肉であり、同時に救いでもあると感じました。
まさに宮藤官九郎さんという稀代の脚本家に、最後の最後で一本取られたような、心地よい衝撃でしたね。
不適切にもほどがあるネタバレ考察|様々な伏線
■様々な伏線と考察ポイントを徹底解剖
このドラマの最も切なく、そして見事な伏線回収は、市郎と純子が1995年の阪神・淡路大震災で命を落とすという史実に基づいた運命でした。
市郎は未来でその事実を知りながらも、過去に戻って純子との何気ない日常を慈しむ道を選んだわけで、その覚悟には涙が止まりませんでした。
また、令和の秋津くんの本名が「秋津真彦」であることが第1話の書類に密かに記されていたことも、ムッチ先輩との親子関係を示す重要な手がかりでしたね。
昭和に取り残されたCreepy Nutsの二人が、実は井上の研究を手伝う大学生として過去に紛れ込んでいたという設定も、最終回で見事に回収されました。
僕が個人的に唸ったのは、トイレの穴が2054年からのタイムトンネルへと繋がっていたことで、1話からの奇妙な現象に全て説明がついた点です。
不適切にもほどがある|感想
■視聴者の感想と巻き起こった「ふてほど」現象
放送が進むにつれ、SNS上では「ふてほど」という略称がトレンドを席巻し、2024年の流行語大賞に選ばれるほどの社会現象となりました。
視聴者からは「昭和の熱さが懐かしい」「令和の生きづらさに寄り添ってくれた」という共感の声が多く寄せられています。
一方で、ミュージカルシーンの挿入については賛否両論ありましたが、それも含めて議論が巻き起こること自体が、この作品のパワーを物語っていました。
何より、昭和と令和のどちらかを否定するのではなく、お互いに「寛容」になろうというメッセージが、多くの現代人の心に優しく響いたようです。
まとめ
■その先の未来へ
「不適切にもほどがある!」は、単なるタイムスリップコメディの枠を超え、私たちが忘れていた大切な何かを思い出させてくれる傑作でした。
2026年にはスペシャルドラマの制作も決定しており、市郎たちが次にどのような「不適切」な騒動を巻き起こしてくれるのか、今から楽しみでなりません。
時代がどれほど変わっても、人と人が向き合い、語り合い、大目に見ることのできる社会こそが、本当に「適切」な場所なのかもしれませんね。
僕も、少しだけ昭和のような熱い気持ちを持って、明日からの令和を歩んでいこうと思います。
