瀬戸内海の穏やかな波に揺られながら辿り着く大崎上島、そこには都会の喧騒を忘れさせてくれる至福の場所があります。
今回ご紹介するのは、テレビ番組「人生の楽園」でも取り上げられ、今まさに多くの人の心を掴んでいるレモン農家カフェ「Shiki Farm(シキファーム)」です。
僕自身、このご夫婦の物語を知ったとき、心のどこかで「本当の豊かさってこういうことじゃないか」と強く揺さぶられる思いがしました。
忙しない日常の中で、ふと立ち止まって自分を見つめ直したいと感じているあなたにこそ、この記事を最後まで読んでほしいです。
人生の楽園|瀬戸内・大崎上島のレモン農家カフェはShiki Farm!
■島全体の優しさに包まれるShiki Farmの五感で楽しむ特徴
広島県大崎上島町の中野地区にひっそりと佇むShiki Farmは、単なるカフェという枠組みを超えた、まさに「楽園」のような空間です。
まず驚かされるのが、その敷地の広大さと、そこにある多様な施設を総称して「シキパーク」と呼んでいる遊び心溢れるコンセプトでしょう。
かつて農機具や収穫したみかんが置かれていた古い倉庫を、ご夫婦が自分たちの手で少しずつ片付け、ピクチャーレールや照明を設けて見事なギャラリーへと再生させています。
この倉庫ギャラリー内は、なんと愛犬と一緒に過ごすことができるドッグフレンドリーな場所で、外には広々としたドッグランまで併設されているんですよ。
カフェで提供されるメニューは、園主の松本英紀さんが丹精込めて育てた、無農薬・無肥料のレモンやみかんといった島の恵みが主役です。
特に、妻の志乃さんが手掛ける「フルーツカード」は、果汁にバターや卵を加えて煮詰めた濃厚でクリーミーな味わいが特徴で、これを添えたアイスクリームやワッフルは一度食べたら忘れられない絶品です。
夏場には愛らしい犬の形をしたかき氷が登場したり、冬場には島の野菜がたっぷり入った心温まるスープが提供されたりと、季節ごとの楽しみが尽きません。
さらに、志乃さんの本職でもある染色工房が併設されており、レモンの枝や野菜の葉といった「島の素材」を染料にした草木染め体験もできるのが大きな魅力です。
化学染料では決して出せない、瀬戸内の自然が育んだ優しく深い色合いのストールやバッグを自分の手で作る時間は、旅の何よりの思い出になるに違いありません。
アーサー、シキ、ソワという3匹の看板犬たちが、尻尾を振って温かく出迎えてくれる光景を目にするだけで、日々の疲れがスッと溶けていくのを感じるはずです。
瀬戸内・大崎上島のレモン農家カフェ開業の経緯|人生の楽園
■都会を離れ「人間らしい仕事」を求めて辿り着いた開業のドラマ
この場所を切り盛りする松本英紀さんと志乃さん夫婦の歩みは、新しい一歩を踏み出す勇気を僕たちに与えてくれます。
英紀さんは長崎県出身で、大学卒業後は外資系保険会社で30年もの間、カバンより重いものを持ったことがないようなサラリーマン生活を送っていました。
しかし、50歳を過ぎて人生の残り時間を意識したとき、もっと土に触れ、自分の手で何かを生み出す「人間らしい仕事」がしたいという想いが芽生えたそうです。
そんな時、神戸で事務職をしながら染色に没頭していた志乃さんと出会い、2018年に再婚したことが、運命を大きく変えるきっかけとなりました。
たまたま知人を訪ねて大崎上島に遊びに来た際、海に沈む美しい夕日を目の当たりにした英紀さんは、直感的に「ここだ」と移住を決意したといいます。
驚くべきはその決断の速さで、初めて島を訪れてからわずか4ヶ月後の2019年には、夫婦揃って会社を辞めて島での暮らしをスタートさせていました。
農業未経験からのスタートでしたが、持ち前の真面目さと島の人々の温かいサポートによって、耕作放棄地を耕し、立派な柑橘農家へと転身を遂げたのです。
「島の人たちが気軽に集まれる場所を作りたい」という英紀さんの願いと、志乃さんの芸術的な感性が結びつき、2021年6月に現在のShiki Farmが誕生しました。
ゴミだらけだった古い倉庫を、補助金を活用しながらギャラリーへと変え、自分たちの夢を一つずつ形にしていく姿には、本当に頭が下がる思いです。
何でも夢で終わらせず「まずやってみる」というお二人の姿勢が、この場所を訪れるすべての人に希望の光を届けているのだと感じます。
Shiki Farm(瀬戸内・大崎上島のレモン農家カフェ)場所・アクセス|人生の楽園
■旅の前にチェックしておきたい店舗情報と島へのアクセス方法
Shiki Farmを訪れる際には、いくつか事前に確認しておくべき大切なポイントがあります。
まず、メインとなる「シキカフェ」の営業は、基本的に「毎週土曜日のみ」の13:00から17:00頃までとなっている点に注意が必要です。
また、12月から2月までの冬期間は、カフェ営業と野菜マルシェがお休みになるため、公式のInstagramなどで最新の情報をチェックしてから向かうのが賢明でしょう。
染色体験については、月曜、火曜、木曜の予約制となっており、4日前までに申し込むことで「今、この瞬間の島の色」を作品に込めることができます。
住所は広島県豊田郡大崎上島町中野3404-2で、古民家と倉庫、そしてドッグランが一体となった温もりのある空間があなたを待っています。
島へのアクセスですが、大崎上島は橋がかかっていない離島なので、フェリーでの船旅そのものを楽しむのがこの旅の醍醐味です。
広島県側の竹原港からであれば、垂水港または白水港行きのフェリーに乗って約25分から30分、安芸津港からであれば大西港行きに乗って約35分で到着します。
特に安芸津港はJR安芸津駅から徒歩5分ほどと非常に近いので、電車を利用して旅をする方にはこちらのルートが特におすすめですよ。
港に降り立ってからは、レンタサイクルや車で15分から20分ほど島を巡りながら、Shiki Farmへと向かう道のりを楽しんでください。
穏やかな瀬戸内海の風を頬に受けながら、ゆっくりと島時間へ体が馴染んでいく感覚は、離島ならではの贅沢な体験と言えるでしょう。
Shiki Farm(瀬戸内・大崎上島のレモン農家カフェ)周辺の観光情報
■大崎上島を丸ごと堪能するための周辺観光と癒やしのスポット
せっかく大崎上島まで足を運ぶのなら、Shiki Farm周辺の魅力的なスポットにもぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
僕が特におすすめしたいのは、島の中央にそびえる標高453メートルの「神峰山(かんのみねやま)」の頂上展望台からの景色です。
ここからは瀬戸内海の大小様々な島々が織りなすパノラマビューが一望でき、晴れた日にはしまなみ海道の橋まで見渡せる、まさに芸術的な美しさです。
また、歴史に興味があるなら、昭和初期の豪商の邸宅を改修した「海と島の歴史資料館(大望月邸)」で、島の歩んできた時間に思いを馳せるのも素敵ですね。
さらに、旅の疲れを癒やすなら「きのえ温泉 ホテル清風館」の絶景露天風呂は外せません。
目の前に広がる瀬戸内海の大パノラマを眺めながら温泉に浸かる時間は、まさに至福のひとときで、宿泊はもちろん日帰り入浴も人気があります。
運が良ければ、6月から10月にかけて行われる伝統行事「櫂伝馬競漕(かいでんまきょうそう)」の勇壮な姿を祭りで目にすることができるかもしれません。
島には「風待ちの案内所」というカラフルで個性的な観光案内所もあり、移住者のスタッフさんたちが親身になって島の魅力を教えてくれます。
特産のレモンやみかんを使ったお土産を選んだり、地元の人に愛される懐かしい味わいのおやつを探したりと、歩くほどに新しい発見がある島です。
こうした周辺のスポットとShiki Farmを組み合わせることで、あなただけの特別な「楽園の1日」が完成することでしょう。
まとめ
■好きなことをして生きる幸せを教えてくれる場所のまとめ
Shiki Farmを巡る物語は、単なる移住成功例ではなく、自分自身の心に正直に生きることの大切さを僕たちに語りかけてくれます。
50歳を過ぎてから全くの未経験で農業を始め、倉庫をギャラリーにし、夫婦で寄り添いながら新しい居場所を作り上げた松本さんご夫妻。
その温かな笑顔と、丹精込めて育てられたレモンの爽やかな香りは、訪れる人の心を優しく解きほぐしてくれるに違いありません。
「やりたいけど、お金が、時間が……」と立ち止まってしまいがちな僕たちの背中を、英紀さんの「やっちゃえ!」という言葉が優しく押してくれます。
瀬戸内の穏やかな自然の中で、美味しいスイーツを味わい、愛犬と戯れ、手作りの温もりに触れる時間は、何物にも代えがたい宝物になるはずです。
次の休みには、少しだけ日常を離れて、フェリーに乗ってこの素敵なご夫婦と3匹のワンちゃんに会いに行ってみませんか。
そこには、あなたがずっと探していた、本当の意味での「人生の楽園」が待っているのかもしれません。
夢を現実に変えるエネルギーに満ちたこの場所を訪れることで、きっと明日からのあなたの景色も少しだけ違って見えるようになるはずです。
大崎上島の優しい風に吹かれながら、自分の「好き」を見つける旅へ、ぜひ一歩踏み出してみてください。
まるで真っ白なキャンバスに志乃さんがレモンの色を重ねていくように、あなたの人生もここから新しい彩りを帯びていくことでしょう。
