朝ドラ『ブラッサム』の第5週「狂騒で、東京」がいよいよ幕を開けましたね。
故郷である山口・岩国での苦しい日々を乗り越え、憧れの東京へと足を踏み入れたヒロイン・葉野珠(石橋静河)の新生活に、朝から釘付けになった方も多いのではないでしょうか。
第21話は、新天地での胸躍る出会いと、早くも立ち込める波乱の予感が絶妙に入り混じった、見どころ満載の15分間となりました。
今回は、そんな注目の第21話について、これまでの物語の流れから本編の詳しい内容、心に刺さった見どころの深掘り、そして次回第22話で待ち受ける波乱の展開予想まで、余すところなくじっくりとお届けしていきます。
ブラッサム(朝ドラ)21話までの振り返り
■【ブラッサム前回までの振り返り】岩国での理不尽な免職と東京・本郷への決意の旅立ち
まずは、珠が東京へたどり着くまでの激動の歩みを振り返っておきましょう。
尋常小学校の代用教員として懸命に子どもたちと向き合っていた珠でしたが、同僚教師である島村辰彦との逢瀬が周囲に取り沙汰され、男性側の島村はお咎めなしだったにもかかわらず、珠だけが一方的に免職という不条理な処分を下されてしまいました。
その後も狭い町の中で心ない噂は尾ひれをつけて広がり続け、継母のリョウ(国仲涼子)が頭を下げて頼み込んでくれた本家の「葉野酒造」での仕事さえも、取引先への悪影響を理由に辞めざるを得なくなります。
家族にまでその影響は及び、弟の守(中須翔真)が学校でからかわれて取っ組み合いの喧嘩になってしまうなど、葉野家全体が深い閉塞感に包まれていました。
そんな八方塞がりの珠にとって、唯一心の重荷を下ろせる存在となったのが、かつて嫁いだ家の次男で、京都の第三高等学校に通う木村保(金子大地)との偶然の再会でした。
保の飾らない人柄とお互いに交わす手紙のやり取りに救われた珠は、やがて保が東京の大学へ進学することを知り、リョウからの力強い後押しもあって岩国を出る決意を固めます。
涙ながらに引き留める弟の守とも本音をぶつけ合って分かり合い、珠は第20話でついに大都会・東京へと旅立ちました。
汽車を降りた東京の街は、無数の人々が行き交い、誰も自分の過去の過ちや噂など気にも留めない自由な空気に満ちており、珠は胸のつかえが取れるような深い安堵を覚えます。
しかし、握りしめたメモを頼りにようやくたどり着いた本郷の下宿で、思わぬ落とし穴が待ち受けていました。
大家の娘である三好マキ(中村優子)が珠のことを保の実の妹だと早合点してしまい、下宿に「他人の男女は同居してはならない」という厳しい掟があることを知った二人は、やむなく兄妹のふりをして共同生活を始めることになったのです。
ブラッサム(朝ドラ)21話ネタバレあらすじ
■【第21話のストーリー】本郷での偽りの兄妹生活と文豪たちとの刺激的な邂逅
迎えた第21話は、本郷の下宿で珠と保が「兄妹」という嘘をつき通したまま暮らし始めてから、およそ1ヶ月が経過したところから幕を開けます。
保は大学に通い、珠は慣れない都会の台所で食事を作ったり洗濯をしたりと、保の身の回りの世話を甲斐甲斐しくこなす日々を送っていました。
夕食の膳に里芋の煮物が並ぶなど、二人の間にはまるで長年連れ添った夫婦のような、けれどどこかぎこちなさの残る独特の穏やかな空気が流れています。
そんなある日、珠は散歩がてら近所にある書店「ぶくぶく堂」へと足を向けました。
その店は、本を買い求める人だけでなく立ち読みをする客にも快くお茶を出してくれるという、本好きにはたまらない温もりに満ちた場所でした。
そこで珠の視界に飛び込んできたのが、当時若手文壇のトップを走り、飛ぶ鳥を落とす勢いだった気鋭の作家・秋山格之介(高良健吾)の姿でした。
『羅城門』や『蜘蛛の巣』といった傑作を世に送り出し文壇の寵児となっていた秋山は、鋭い知性と底知れぬ繊細さを漂わせており、珠はその研ぎ澄まされたオーラに息を呑み、圧倒されます。
さらにその書店で、珠は女学校時代に貪るように読んだトルストイの『イワンの馬鹿』を手がけた名翻訳家・小山牛丸(イッセー尾形)とも運命的な言葉を交わすことになりました。
年齢不詳で神出鬼没、どこか風変わりな小山が熱情を込めて語る翻訳論や文学の真髄に触れた珠の心には、かつて岩国で胸の奥深くにしまい込んでいた「物語を書きたい」という情熱の炎が再び激しく燃え上がります。
しかし、文学の熱狂に浸る珠の足元では、現実の危機が刻一刻と迫っていました。
下宿の大家の娘である三好マキ(中村優子)は、日々の生活の中で二人が見せる些細な目配せや距離感に違和感を抱き、「あの二人は本当に兄妹なのだろうか」と疑いの目を光らせていたのです。
ついにマキから核心を突く鋭い問いを突きつけられた保は、これ以上嘘を突き通すことはできないと悟り、大家たちを前に深々と頭を下げて、これまでの非礼と嘘を包み隠さず謝罪することになりました。
ブラッサム(朝ドラ)21話ネタバレ感想
■【第21話の感想】高良健吾の文豪オーラと保の魂の土下座に胸を掴まれた朝
画面から溢れ出る熱量と役者陣の素晴らしい演技に、朝から何度も感情を揺さぶられてしまいました。
何と言っても圧巻だったのは、芥川龍之介をモチーフにした秋山格之介役、高良健吾さんの醸し出す凄まじい存在感です。
がっつりと会話を交わすわけではなく、書店ですれ違うだけの刹那的なシーンだったにもかかわらず、その立ち姿や憂いを帯びた瞳の鋭さだけで、時代の最先端を走る天才作家の孤独と狂気がひしひしと伝わってきました。
私自身も本や文章を愛する一人として、憧れの表現者を目の当たりにしたときに感じる、あの背筋がゾクゾクするような高揚感と畏怖が入り混じる珠の心情が痛いほどリアルに胸に迫りました。
そこへ輪をかけて強烈なインパクトを残してくれたのが、イッセー尾形さん演じる小山牛丸の飄々とした佇まいです。
一見するとただの怪しい人物に見えながら、ひとたび言葉を発すれば文学の深遠な世界へと引きずり込まれるような語り口は、さすがイッセー尾形さんならではの名人芸だと唸らされました。
そして、今回のラストで描かれた保の「魂の土下座」には、思わずテレビの前で拳を握りしめてしまいましたね。
嘘をついて下宿に転がり込むことはもちろん褒められた行為ではありませんが、故郷で居場所を奪われ傷だらけになっていた珠をどうにか救い出し、守りたかった保の不器用で真っ直ぐな覚悟がそこにはありました。
同じ男の目線で見ても、自分の立場や世間体をかなぐり捨てて大切な人のために頭を下げる保の姿は、情けなく映るどころか、たまらなく誠実で胸を打たれる名場面だったと感じます。
立ち読み客にお茶を出してくれる本屋さんの人情味あふれる優しさと、嘘が暴かれて追い詰められる下宿での緊迫感という光と影のコントラストが、15分の尺の中に凝縮されていました。
ブラッサム(朝ドラ)21話からどうなる?
■【次回第22話の展開予想と考察】仕送り停止の絶体絶命!洋食店「悠樂軒」から始まる新たな運命
保の必死の謝罪によって、次回第22話ではなんとか大家さんから同居の継続を大目に見て認めてもらえることになります。
しかし、胸を撫で下ろしたのも束の間、二人の前にはそれ以上に過酷な現実の壁が立ちはだかります。
なんと保の実家の父親が急遽入院してしまい、二人の生活を支えていた唯一の命綱である実家からの仕送りが完全にストップしてしまうのです。
家賃の支払いはもちろん、明日の食事すら危うくなるという絶体絶命の兵糧攻め状態に陥ってしまいます。
学生である保だけに重荷を背負わせるわけにはいかないと、珠は家計を助けるために東京の街で新しい仕事を探し始めます。
大正時代の東京において、身寄りのない若い女性がすぐに雇ってもらえる職場を見つけるのは至難の業ですが、珠は新聞広告の片隅に掲載されていた西洋レストラン「悠樂軒」のウエイトレス募集の小さな求人を見つけ出します。
ここで物語に新風を吹き込んでくれるのが、初登場となるトレンディエンジェルの斎藤司さん演じる悠樂軒の店長・熊田や、先輩ウエイトレスの松子(瀬戸さおり)といった個性豊かな新キャラクターたちです。
斎藤司さんが演じる店長がどんなコミカルで味わい深い掛け合いを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。
さらに考察を深めていくと、この「悠樂軒」という西洋レストランは、単なるアルバイト先に留まらない極めて重要な運命の舞台となることが見えてきます。
今後の公式情報によれば、この店には文芸界を牽引する一流雑誌「首都公論」の豪快な敏腕編集長・黒崎大三郎(遠藤憲一)や、副編集長の山中勇三(井浦新)が足繁く通い、ビフテキを平らげていくことになります。
つまり、生活苦を凌ぐために飛び込んだウエイトレスという仕事が、奇しくも珠と文壇の中心人物たちを直接結びつける絶好の架け橋になっていくわけです。
保が新聞配達をして大学に通い、珠が洋食店で働きながら夜な夜な机に向かって原稿用紙に想いを綴るという、貧しくとも夢に満ちあふれた二人の奮闘劇がここから本格的に幕を開けることになるでしょう。
まとめ
■荒波の大都会で自分らしく咲き誇る珠の作家ロードを応援したい
第21話は、故郷・岩国での閉塞と理不尽に耐え抜いた珠が、文化と活気に満ちた大正の東京で自らの「書くことへの本能」を呼び覚まされた記念碑的なエピソードでした。
憧れの文豪との遭遇に胸を躍らせた直後に、同居の嘘が露見し、さらに次回は仕送り停止という過酷な試練が容赦なく降りかかってきます。
順風満帆とは程遠い波乱の連続ですが、どんな逆境に立たされても決して下を向かず、持ち前の行動力で次の一歩を踏み出していく珠の姿には、画面越しに背中を押されるような力強い勇気をもらえます。
宇野千代という希代の表現者がそうであったように、数々の苦難や恋愛の葛藤をすべて自らの創作のエネルギーへと昇華させていく珠の旅路は、まだまだ始まったばかりです。
これから始まる洋食店での賑やかな日々や、文壇の重鎮たちとの関わりの中で、珠がいかにして「花を咲かせていく」のか、毎朝の放送を一秒たりとも見逃さずに追いかけていきたいと思います。
