朝ドラ「風、薫る」の物語がいよいよ大きな歴史のうねりへと突入し、胸がざわざわしている方も多いのではないでしょうか。
特に第105話は、これまでの穏やかな日常から一転して、時代の荒波が主人公たちの背後に迫ってくるような、そんな静かで重い緊張感に満ちた15分間でした。
愛する人々がそれぞれの道を選択し、未来へ歩み出す姿に、私は画面を見つめながら何度も息をのんでしまいました。
今回は、そんな感情が揺さぶられた105話のディープな魅力を、あふれんばかりの情熱とともに語り尽くしたいと思います。
風、薫る(朝ドラ)105話までの振り返り
■別れを乗り越えた、彼女たちの足跡
まずは、ここまでの胸が締め付けられるような展開を少しおさらいしておきましょう。
りんは、小説の執筆に全力を注ぐシマケンこと島田健次郎を、健気に支えながら派出看護の仕事に励んでいました。
シマケンの小説がついに新聞に連載されることが決まり、二人の努力が報われる瞬間に、誰もが明るい未来を確信したはずです。
しかし、運命の女神はあまりにも残酷で、シマケンの兄である万太郎が莫大な借金を残して失踪するという、予期せぬ悲劇が襲いかかりました。
連載は突如として中止に追い込まれ、夢を絶たれたシマケンは実家のある浜松へと帰郷する決意を固めます。
「一緒に浜松に来てほしい」というシマケンの必死の願いに対し、りんは愛する娘の環や東京での大切な仕事、そして家族を置いていくことができず、ただ涙を流すしかありませんでした。
激しい雨が降る中、シマケンが静かに告げたりんへの「さよなら」は、今でも私たちの心に冷たい棘のように刺さったままですね。
風、薫る(朝ドラ)105話ネタバレあらすじ
■忍び寄る戦争の足音と、それぞれの決断
そして迎えた第105話は、あの悲しい別れから一気に2年の歳月が流れた、1894年の初夏から始まります。
世間では朝鮮出兵が決定されるなど、にわかに戦争の暗い影が日本全体を覆い始めていました。
それでも、りんと直美の二人は、新しくなったさわやかな色合いの制服を身にまとい、恵風看護婦会でひたむきに患者と向き合い続けていました。
りんの母である美津も元気に働いており、幼かった娘の環も驚くほど大きく成長した姿を見せてくれて、時間の流れの早さを実感させてくれます。
そんなある日、いつものように薬品を配達しに来てくれた幼なじみの虎太郎から、突然、担当者を交代するという寂しい報告がもたらされました。
驚くりんに対して、虎太郎は兵隊としてではなく、戦地に医薬品を届ける兵站の任務を自ら志願して朝鮮へ渡るのだと、力強いまっすぐな目で告げます。
「つても学もない俺が、努力だけでどこまで行けるのか試したいんだ」
その強い決意に、りんは「危なくなったら逃げて」と涙ぐみながら必死に懇願しますが、虎太郎の意志が揺らぐことはありません。
お互いの無事を祈るように、両手でしっかりと力強い握手を交わした二人の別れは、りんに「戦争」という現実を重く突きつけることになりました。
一方、直美が心を込めて派出看護を続けている長屋の平蔵は、相変わらず「酒しか楽しみがない」と悪態をつきながらも、背中に刻まれた生々しい戊辰戦争の傷跡を見せます。
生き残った者として平蔵が語る、「手柄なんて立てずにじっとしていることが大切だ」「死んだら元も子もない」という言葉は、じわじわと胸に響くものがありました。
その日の夜、直美が愛する夫である吾郎の白い軍服を静かに畳みながら、「吾郎さんさえ無事でいてくれたら、お国のためなんてどうでもいい」と不安を吐露するシーンは、本当に切なかったですね。
吾郎は「まだそんな話は出ていない」と優しく微笑み、自分が料理番を希望するような冗談を言って、愛妻の強すぎる不安を和らげようとしていました。
さらにそこへ、帝都医大病院で勤務を続けている同級生の多江が、予期せぬ大きな報告を携えて現れます。
多江は「自分の知識が役に立つのなら意味がある」「看護の未来に貢献してきます」と晴れやかな笑顔で語り、広島の陸軍病院へ救護看護婦として赴くことを決意していました。
りんと直美は、誇り高き友の凛とした決意に深く頭を下げ、彼女の旅立ちを静かに見送るのです。
風、薫る(朝ドラ)105話ネタバレ感想
■心が震えた、あの約束と傷跡
今回の放送を観て、私はテレビの前でしばらく言葉を失ってしまいました。
特に、虎太郎がかつての気弱な面影をすっかり消し去り、自分の足で人生を切り拓こうとする男の顔になっていたことに、深い感動を覚えずにはいられません。
「努力だけでどこまで行けるか」という彼のセリフは、身分制度の残る時代を生きる若者の、魂の叫びのようにも聞こえました。
りんと交わしたあの熱い握手は、かつての幼なじみという枠を超えて、同じ時代を戦う同志としての固い約束に見えて、胸が熱くなりました。
手先が不器用で不器用ながら、直美のために一生懸命お団子を作っていたあの頃の虎太郎が、こんなに立派に成長したのですね。
そして、平蔵のあのやさぐれた枯れた演技が本当に素晴らしかった。
背中の傷跡を見せながら語る「死んじまったら元も子もない」という言葉は、綺麗事ばかりが美化される戦時下において、何よりもリアルで重みのある人間の本音でした。
その言葉の直後に、直美が夫の無事だけを祈り、お国のためなんてどうでもいいと本音を語る描写へと繋がる流れは、脚本の吉澤智子さんの天才的な構成力が光っていました。
多江が自分の栄達のためではなく、苦しむ誰かのために「看護の未来」を背負って広島へ赴く姿にも、女性たちの地位を築こうとする強いパイオニア精神を感じて、涙がこぼれました。
風、薫る(朝ドラ)105話からどうなる?
■「明るい未来」に向けて、試される絆
さて、気になる次回106話からの第22週は「明るい未来」という、一見すると希望に満ちたサブタイトルが冠されています。
しかし、実際の歴史のうねりは、彼女たちにさらなる過酷な選択を迫るのではないかと予想されます。
何と言っても最大の注目点は、直美の妊娠が発覚するという、まさに「新しい命」という光が差し込む出来事です。
新しい命の誕生を吾郎とともに手を取り合って喜ぶのも束の間、無情にも彼に戦地への出征命令が下ってしまうのではないでしょうか。
直美は夫の出征という、最も恐れていた現実と、身重の身体で向き合わなければならなくなると考えられます。
また、広島の陸軍病院に到着した多江からは、戦地の凄惨な状況や、負傷した軍人たちの看護に極限状態で苦戦しているという手紙が、りんと直美のもとに届くはずです。
その悲痛な叫びを耳にした時、大山捨松が日本の近代看護の真の価値を示すために、本格的な支援や救護活動へ向けて大きく動き出すに違いありません。
りんと直美もまた、東京の派出看護の現場にいながらも、戦火によって傷つく人々の命を救うために、何ができるのかを自問自答することになるでしょう。
朝鮮へ向かった虎太郎の安否も含めて、次回からは一瞬たりとも目が離せない、息詰まる人間ドラマが展開されると確信しています。
まとめ
■嵐の予感を見つめながら
静かに、しかし確実に、彼女たちの人生を揺るがす大きな時代の嵐が近づいてきましたね。
過酷な運命を前にして、りんと直美がどのように手を取り合い、トレインドナースとしての誇りを貫き通すのか、私たちの応援にもさらに熱が入ります。
皆さんは、虎太郎や吾郎、そして多江が選択したそれぞれの未来について、どんな感想を持ちましたか。
新しい週が始まる月曜日を、ハラハラしながら、そして彼女たちの無事を祈りながら待ちましょう。
