週末の夕暮れ時にテレビから流れてくる「人生の楽園」を眺めていると、ふと今の生活を飛び出して、どこか遠くの静かな場所へ行きたくなるような不思議な感覚に包まれます。
2026年5月、今回スポットライトが当たったのは、岡山県備前市日生町の港町にある「海とピッツァ」という、名前を聞くだけで潮風の香りがしてきそうな素敵なピザ屋さんです。
瀬戸内海の穏やかな景色をバックに、夫婦が二人三脚で焼き上げるピザには、一口食べるだけで誰もが笑顔になれるような「幸せ」がたっぷりと詰め込まれています。
都会の喧騒を離れて見つけた自分たちの「楽園」で、お二人がどのような想いを込めて生地を練り、炎を見つめているのか、その深いこだわりについてじっくりと紐解いていこうと思います。
人生の楽園|岡山・備前市「ピザ 海とピッツァ」
■幸せを運ぶピザの秘密と情熱
このお店のピザを語る上で、まず触れなければならないのが、店主の小島昇さんが一切の妥協を許さずに追求し続けている生地の素晴らしさです。
昇さんは、小麦本来の豊かな旨みと香りを最大限に引き出すために、幻の粉とも称される北海道産の希少な国産小麦「はるゆたか」を贅沢に使用しています。
そこに合わせるのは、オーガニックレーズンからじっくりと時間をかけて育て上げた自家製の天然酵母で、この酵母が生地に命を吹き込み、もっちりとした唯一無二の食感を生み出しているのです。
私もパンやピザが大好きで全国を巡っていますが、天然酵母ならではの優しい味わいと、噛むほどに広がる小麦の甘みは、やはり格別なものがあると感じます。
さらに驚くべきは、ピザを焼き上げる「薪窯」そのものに込められた遊び心とデザイン性で、なんとオートバイの空冷エンジンをモチーフにして昇さん自らがデザインしたものなのです。
400度を超える圧倒的な高温で一気に焼き上げられることで、外側は驚くほどカリッと香ばしく、中は驚くほどモチモチとした理想的なピッツァへと仕上がります。
メニューに目を向けると、定番のマルゲリータはもちろんのこと、地元・日生の海の恵みを惜しみなく使った季節限定のピザが、訪れる人々の心を掴んで離しません。
冬になれば、ぷっくりと太った頭島産の牡蠣が主役の「柚子香る牡蠣のピッツァ」が登場し、春には旬のアサリと九条ネギを合わせた「ボンゴレ・プリマヴェーラ」がテーブルを彩ります。
食後には、妻の希さんが丁寧に淹れてくれる自家焙煎のコーヒーと、小麦粉を極力使わない身体に優しい手作りドルチェが待っており、最後まで至福の時間が続きます。
岡山・備前市「ピザ 海とピッツァ」開業の経緯|人生の楽園
■夢を追いかけた夫婦の物語
これほどまでに温かな空気が流れるお店が誕生した背景には、東京と大阪という大都会で忙しく働いていた小島さん夫婦の、大きな人生の決断がありました。
夫の昇さんは東京で広告写真の加工という非常にハードな仕事をこなしており、深夜にまで及ぶ不規則な生活の中で心身ともに疲れ果てていた時期があったそうです。
そんな昇さんの心を支えていたのが、共通の趣味であるオートバイを通じて出会い、37歳で結婚したカメラマンの希さんと共に行く、休日のツーリングでした。
二人はツーリングで瀬戸内海を訪れるたびに、その多島美やのどかな港町の雰囲気に魅了され、いつしか「いつか海のそばで暮らしたい」という夢を抱くようになります。
趣味で始めたピザ作りの奥深さに昇さんがのめり込み、「自分の店を持ちたい」という想いが強くなった頃、勤務先での早期退職募集という人生の転機が訪れました。
48歳で退職を決意した昇さんは、希さんと共に理想の場所を求めて全国をバイクで巡り、ついに牡蠣筏が浮かぶ美しい日生の地に辿り着いたのです。
かつてお弁当屋さんだった空き店舗を見つけた二人は、約2ヶ月もの時間をかけて自分たちの手でリノベーションを行い、洗練されていながらも温もりのある今の空間を作り上げました。
2022年5月のオープン以来、お二人の誠実なお人柄と美味しいピザに惹かれて、地元の方々だけでなく遠方からも多くのファンが足を運ぶようになっています。
自分の好きなこと、そして愛する人と共に歩む第二の人生を形にされたお二人の姿は、同じように毎日を忙しく過ごす私にとっても、眩しく、そして勇気を与えてくれるものです。
岡山・備前市「ピザ 海とピッツァ」場所・アクセス|人生の楽園
■潮風を感じる場所へのアクセス
「海とピッツァ」への旅を計画されている方に、具体的な行き方や駐車場についても詳しくお伝えしておきますね。
お店の住所は岡山県備前市日生町寒河2570-34となっており、公共交通機関を利用する場合は、JR赤穂線の日生駅から歩いてわずか1分から2分という、非常に便利な場所に位置しています。
駅を出てすぐの穏やかな海を望む環境にあるため、電車を降りた瞬間から旅の気分が盛り上がること間違いなしです。
車でお越しの場合も安心で、お店のすぐ前に3台から4台分の駐車スペースが確保されていますが、人気店なので満車になってしまうことも珍しくありません。
もし店前のスペースが埋まっていても、近隣の有料駐車場を利用すれば、1グループにつき1台分の駐車料金をお店が負担してくれるという、店主の優しい心遣いがあります。
営業時間は、土曜日と日曜日はランチが11時から15時まで、ディナーが17時から20時までとなっており、月曜日と火曜日はランチのみの営業です。
水曜日、木曜日、金曜日は基本的にお休みですが、特に金曜日は営業時間が異なる場合や、季節によって変動することもあるため、事前の確認をおすすめします。
支払いは現金のみとなっている点や、生地が無くなり次第終了というルールがあるため、確実に食べたい方は予約をしてから伺うのがベストな選択と言えるでしょう。
バイク乗りの聖地としても知られる日生の道を走り、この青い外装のお店に辿り着く瞬間は、バイカーにとっても最高の体験になるはずです。
岡山・備前市「ピザ 海とピッツァ」周辺の観光情報|人生の楽園
■備前の魅力を再発見する旅
せっかく備前市を訪れるのであれば、ピザを楽しんだ後に周辺の素晴らしい観光スポットにも足を伸ばして、一日を満喫してほしいと思います。
まず外せないのが、お店からほど近い「五味の市」で、ここでは瀬戸内海で水揚げされたばかりの新鮮な魚介類が格安で並び、漁師町ならではの活気を肌で感じることができます。
特に有名なのがカキフライをトッピングしたソフトクリームで、甘さと潮の香りが織りなす不思議な味わいは、一度は試してみる価値がある日生のシンボルです。
もう少し静かに歴史に浸りたいなら、日本最古の庶民のための公立学校である「特別史跡 旧閑谷学校」を訪れてみてはいかがでしょうか。
国宝に指定された講堂の美しい床板や、備前焼の屋根瓦が並ぶ厳かな風景は、日々の喧騒を忘れさせてくれるような清々しい空気に満ちています。
アクティブに過ごしたい方には、日生諸島の頭島や鹿久居島を巡るドライブや、展望台から瀬戸内海の多島美を一望できる「みなとの見える丘公園」も非常におすすめです。
幸福の鐘を鳴らしながら眺める夕暮れ時の海の景色は、まさに「楽園」と呼ぶにふさわしい、心に残る絶景となるでしょう。
備前焼の里として知られる伊部の町並みを散策し、自分だけのお気に入りの器を探したり、実際に土ひねり体験をしてみるのも、旅の思い出を形にする素敵な方法です。
美味しいピザを入り口にして、この地域の歴史や文化、そして人々の温かさに触れることで、あなたの休日がより豊かで輝かしいものになることを確信しています。
まとめ
■幸せの一片を持ち帰るひととき
「海とピッツァ」で過ごす時間は、単に美味しい食事を摂るということ以上に、自分自身の人生をどう彩るかを問いかけてくれるような、深い意味を持っている気がします。
店主の昇さんが心を込めて焼くピザは、まさに「食べることは生きること」というお店の理念をそのまま体現した、力強くも優しい味がします。
不規則な生活で疲れていた一人の男性が、愛する人と共に夢を叶え、今では地域の人々や遠方のファンに幸せを分け与えているというストーリーそのものが、最高のスパイスなのかもしれません。
2026年の今、私たちは情報の波に流されがちですが、こうして現地に足を運び、作り手の顔を見ながらいただくピザの味は、何物にも代えがたい真実の体験です。
あなたも次の休日には、日生の潮風に誘われて、あの美しい青いお店を訪れてみてはいかがでしょうか。
そこには、きっとあなたの心をも満たしてくれる、焼きたての「幸せ」が待っているはずです。
最後になりますが、お出かけの際は、季節ごとの新作メニューや営業状況をお店の公式SNSなどでチェックして、万全の体制で「楽園」を楽しんできてくださいね。
