映画「告白ヒストリー」:初恋と90年代、そして“本当の私”を見つける物語の深掘り
Netflixで配信が始まった「告白ヒストリー(Love Untangled)」。
90年代の釜山を舞台にした青春ロマンスということで、私のような30代前半の人間には、どこか懐かしさを感じる作品でした。
誰もが一度は経験するであろう、甘酸っぱい初恋の悩みや、コンプレックスとの葛藤が丁寧に描かれていて、見終わった後には温かい気持ちと、少しばかりのセンチメンタルな余韻が心に残りましたね。
この映画がどんな物語で、どんな結末を迎えたのか、そして込められたメッセージを、深掘りしていきましょう。
告白ヒストリーwikiネタバレ|あらすじ
物語の主人公は、1998年の釜山に暮らす19歳の女子高生、パク・セリ。
彼女には、生まれつきのくせ毛という長年のコンプレックスがありました。
学校で一番の人気者であるキム・ヒョンに片思いをしていて、「このくせ毛がなければ、きっと告白も成功するのに……」と、日夜悩んでいたんです。
そんなセリの前に現れるのが、ソウルから転校してきたハン・ユンソク。
彼は海で溺れそうになったところをセリに助けられ、足に怪我を負っていました。
偶然にも、ユンソクのお母さんが、ソウル仕込みの「マジックストレート」という縮毛矯正を施してくれる美容室を開いていると知ったセリは、ユンソクが松葉杖を使う間、彼のお世話をする代わりに、無料で髪をストレートにしてもらうという“取引”を持ちかけます。
ここから、セリのキム・ヒョンへの「告白大作戦」と、ユンソクとの奇妙な友情が動き出していくわけです。
セリはユンソクを友人の輪に巻き込み、彼と過ごす時間が増えるにつれて、次第にユンソクの優しさや、飾らない一面に惹かれていきます。
そして、ついにキム・ヒョンへの告白のチャンスが訪れる学園旅行の日。
髪も念願のストレートになり、万全の態勢で臨んだはずのセリですが、いざキム・ヒョンの前に立つと、彼女の視線は別の場所を捉えていました。
そこにいたのは、自分をどんな姿でも受け入れてくれるユンソク。
セリはキム・ヒョンに、「あなたを好きだったけれど、今は他に好きな人がいる」と告げ、彼への告白を取りやめるのでした。
告白ヒストリー ネタバレ|最後の結末は?
キム・ヒョンへの告白をやめた後、セリとユンソクは惹かれ合い、ついに恋人として秘密の交際を始めます。
彼らにとって、それはまさに青春の輝きそのものでした。
しかし、その幸せは長くは続きません。
ユンソクには、ソウルにいた頃からの暗い過去がありました。
彼の母親が、家庭内暴力を振るう父親によって病院に運ばれてしまうのです。
ユンソクは母親の元へ駆けつけますが、そこで彼のおばさんが、母親と彼をアメリカへ移住させようとしていることをセリは偶然耳にしてしまいます。
ユンソクは釜山でセリと築いた新しい生活を捨てたくないと葛藤していましたが、セリは、ユンソクと彼の母親が父親から完全に解放されるためには、ここを離れるべきだと悟ります。
苦渋の決断を下したセリは、ユンソクの未来を思い、心を鬼にしてポケベルに「あなたのことは友達としか思えない」というメッセージを残し、一方的に別れを告げるのでした。
セリの心は深く傷つき、ユンソクもまた、大きな痛みを抱えながらそれぞれの道を歩むことになります。
高校を卒業し、セリは海洋スポーツを学ぶ大学生となって新しい生活を送りますが、ユンソクへの思いを忘れることはできませんでした。
数年後、友人たちがセリにブラインドデートをセッティングします。
気が進まないセリは、待ち合わせ場所のカフェには行かず、二人の思い出の場所である海辺へと向かいます。
すると、一本の電話が。
相手はブラインドデートの相手だと言いますが、その声はまさかのユンソクでした。
振り返ると、彼が目の前に立っていたのです。
感動の再会を果たした二人は、そこで互いの気持ちを確かめ合い、セリは過去の別れのメッセージを謝罪します。
実はユンソクは、セリが本当は伝えたかった「あなたが恋しい」というメッセージも、彼女のポケベルに残されていたボイスメッセージで知っていたんですね。
こうして、紆余曲折を経て、セリとユンソクは再び結ばれ、映画は温かいハッピーエンドを迎えます。
そして、この再会の場面でセリの髪は、また自然なカーリーヘアに戻っていたのが印象的でした。
告白ヒストリー|この作品のテーマ
コンプレックスを乗り越え、「自分らしさ」を見つける旅
「告白ヒストリー」の最も大きなテーマは、やはりセリがくせ毛というコンプレックスを乗り越え、「ありのままの自分」を受け入れていく過程ではないでしょうか。
物語の序盤、セリはストレートヘアこそが「理想の自分」であり、それによって憧れのキム・ヒョンに振り向いてもらえると信じていました。
しかし、ユンソクは最初からセリのくせ毛を「可愛い」と言い、彼女の個性として受け入れていましたね。
この無条件の愛情が、セリが自分自身と向き合い、内面の魅力を発見するきっかけとなります。
最終的に、セリが髪をストレートにするのはキム・ヒョンへの告白のためではなく、自分自身の気持ちの変化を自覚するためでした。
そして、ユンソクと再会した時には、彼女はもう髪を隠したり、矯正したりすることはなく、自然なくせ毛のままでいました。
これは、他人の評価や世間の美の基準に縛られることなく、自分自身の個性を受け入れ、愛することの大切さを象徴しているように感じましたね。
90年代というスマホもSNSもない時代背景も、この「自分らしさ」を問う物語に深みを与えています。
インターネットが普及する前の、純粋で人間らしいコミュニケーションの中で育まれる友情や恋は、今の時代だからこそ、より一層心に響くものがあります。
告白ヒストリー ネタバレ|感想
この映画、全体的にすごく甘くて、心が洗われるような作品でした。
特に、シン・ウンスさん演じるセリの天真爛漫な魅力は、本当に輝いていましたね。
彼女の表情の豊かさや、くるくると変わる感情の動きに、画面越しに何度「可愛いなぁ」とつぶやいたことか。
コンミョンさんとの化学反応も素晴らしく、二人の間の初々しいドキドキ感が、しっかりと伝わってきて、私もすっかり彼らの恋を応援する一員になっていました。
90年代の雰囲気の再現度も高くて、ポケベルやカセットテープ、インスタントカメラといったアイテムの登場には、思わず「あぁ、あったあった!」と声を上げてしまいましたね。
その時代のファッションや、友人同士の「告白大作戦」を手助けする文化なども、懐かしさと同時に新鮮な発見があって、韓国の当時の若者文化を垣間見ることができました。
ただ、正直なところ、物語後半のユンソクの父親に関するシリアスな展開は、少しだけ「ん?」と思ってしまいました。
それまでが本当に平和でキラキラした青春物語だっただけに、急なトーンの変化に、戸惑いを覚えたのも事実です。
しかも、その父親との問題が、最終的にどう解決されたのかが明確に描かれていなかったのは、個人的には少し「もったいない」と感じてしまいましたね。
彼がどうやってトラウマを乗り越え、セリのもとに戻ってこれたのか、もう少し丁寧に描かれていれば、より一層感情移入できたかもしれません。
とはいえ、この映画の魅力は、そういった細かな部分を差し引いても十分に楽しめるところにあります。
まとめ
有名俳優さんのサプライズカメオ出演もあり、見終わった後に優しい気持ちになりたい、昔の青春を思い出したい、そんな方にぴったりの一本です。
予測しやすい展開ではありますが、その分安心して見られる「ザ・青春ロマンス」として、週末の夜にまったりと楽しむのに最高の一本だと、自信を持っておすすめしますよ。