お疲れ様です、ホラー映画考察ブロガーの30代独身男性です。
あなたもきっと、14年ぶりに復活した『ファイナル・デッドブラッド(Final Destination Bloodlines)』の情報を求めて、たどり着いてくれたのですね。
このシリーズへの情熱は誰にも負けないつもりで、今回はその全てを深掘りしていきましょう。
私自身、公開初日に劇場で鑑賞しましたが、これは単なる続編ではなく、シリーズ全体の「起源」を塗り替える傑作でしたよ。
特に今回の作品は、批評家からの評価が92%(Rotten Tomatoes)とシリーズ史上最高で、全世界興行収入も3億1300万ドルを記録し、シリーズ最大のヒット作になったという事実からも、その凄さが伺えますね。
ファイナル・デッドブラッド|あらすじネタバレ
■あらすじと血の系譜
今回の物語の核は、タイトルにもある通り「血統(Bloodlines)」です。
始まりは1968年、ニューヨーク州クローバーデールのスカイビュー高層レストランのグランドオープンに遡ります。
そこで若きアイリス・キャンベル(Brec Bassinger)は、高層タワーが崩壊し、中にいる全員が死亡する凄惨な予知夢を見てしまいます。
アイリスは警告を発し、事故を未然に防ぎますが、これによって「死の筋書き(Death’s design)」が狂ってしまったのです。
そして現代、アイリスの孫である大学生のステファニー・レイエス(Kaitlyn Santa Juana)は、この60年近く前のタワー崩壊事故の悪夢に悩まされます。
ステファニーは、疎遠になっていた祖母アイリス(Gabrielle Rose)と再会しますが、アイリスは余命わずかな癌を患いながらも、要塞のような隔離された小屋で死を避け続けていました。
アイリスがステファニーに明かした驚愕の事実は、死は彼女が救った生存者たちだけでなく、その「子孫」までをも標的にしているということでした。
アイリスは、自分の主張を証明するために自ら小屋を出て、風見鶏に串刺しになるという衝撃的な自己犠牲を払います。
ここから、アイリスの血筋を引く家族――伯父のハワード、従妹のジュリア、従兄のエリック、従弟のボビー、そしてステファニーと弟のチャーリーが、本来死ぬはずだった順番通りに次々とピタゴラスイッチ的なデス・トラップの餌食となっていきます。
特にハワードがバーベキュー中に芝刈り機で顔面を削り取られるシーン、ジュリアがゴミ収集車のコンパクターに圧し潰されるシーンは、シリーズ屈指のグロさで、鑑賞中、思わず「ひぃ!」と声が出そうになりましたよ。
途中で、エリックが実は伯母の不倫で生まれた子で、アイリスの「血筋」ではないことが判明し、死のリストから外れていると知らされる展開もありました。
しかし、エリックは、死を回避する方法を模索する中で、従弟のボビーを救うために行動を起こし、結果的に死の筋書きを乱したことで、皮肉にも次の犠牲者となってしまいます。
彼の末路は本当に残酷で、MRI室で全身のピアスや金属が強力な磁力に引っ張られ、車椅子に潰されながら即死するという、金属アレルギーを持つ私にはトラウマ級の映像でした。
ファイナル・デッドブラッド|シリーズのつながりは?
■シリーズの起源
本作は、単なる6作目というだけでなく、これまでのシリーズ全てを繋ぐ「起源(Origin)」を描いた作品として位置づけられています。
アイリスが残したノートには、過去作を連想させる『デッドコースター』の丸太トラックや、『ファイナル・デスティネーション』や『ファイナル・デッドブリッジ』の飛行機の絵が描かれており、1968年のスカイビュー事故がすべての始まりだった可能性を示唆しています。
つまり、これまで死の連鎖に巻き込まれた人々は、多かれ少なかれ、1968年にアイリスが救った人々の「子孫」だったかもしれない、という巨大なフランチャイズの裏設定が提示されたわけです。
そして、シリーズファンにとって最も胸熱なのが、ウィリアム・ブラッドワース(Tony Todd)の正体が明らかになったことです。
彼は、アイリスが1968年の事故で救った「幼い男の子(JB)」本人だったのです。
長年、生存者たちに「死のルール」を諭してきた葬儀屋の彼が、実は最初の生存者の一人であり、アイリスと協力して死のパターンを研究していたという事実に、私は深く納得しました。
また、彼との会話の中で、『デッドコースター』の主人公キンバリー・コーマンが「臨床的に死んで蘇生する」という方法で、実際に死を回避し生き残っていることが、シリーズの正史として確定したのも大きなポイントです。
ファイナル・デッドブラッド ネタバレ|最後の結末は?
■最後の審判
物語のクライマックスは、生存者がステファニー、弟のチャーリー、そして疎遠だった母ダーレンの3人だけになったところで起こります。
ダーレンは子どもたちを守るため、アイリスの要塞のような小屋に隠れようとしますが、移動中のRVが事故を起こし、小屋が爆発。
ダーレンはチャーリーを救った直後、倒れてきた街灯に胴体を切断され絶命します。
水没するRVの中で溺れるステファニーを、チャーリーが間一髪で救出し、心肺蘇生によって蘇らせます。
二人は「死んで蘇った」ことで、キンバリーと同じく死の連鎖を断ち切ったと信じ、安堵するのですが、この時、劇場にいる誰もが「いや、そんな簡単に終わるわけないよな…」と思っていたはずです(笑)。
案の定、一週間後、プロムを控えたチャーリーとステファニーの元に、近所の医師(チャーリーのデート相手の父)が訪れ、衝撃の事実を告げます。
「君は臨床的には死んでいなかった。ただ意識を失っていただけだ」と。
つまり、最後の回避策も失敗に終わっていたのです。
直後、彼らのいる場所の近くで貨物列車が脱線し、積み荷の巨大な丸太が空中に舞い上がります。
シリーズの象徴とも言える「丸太」の登場に、ファンとしてはゾクッとしました。
逃げ惑う姉弟は、結局、落下してきた巨大な丸太の下敷きとなり、圧死。
こうして、アイリスの血統は根絶やしにされ、物語は幕を閉じます。
監督たちは、ステファニーがアイリスのように小屋に引きこもり、弟を永遠に守るという「感傷的で憂鬱な」別エンディングも検討したそうですが、フランチャイズのトーンには合わないと判断し、このショッキングな丸太エンドを採用したとのことです。
ファイナル・デッドブラッド評価
■評価と考察
本作の最大の魅力は、やはり「死の連鎖」を「血統」という概念で拡張した、ストーリーの緻密さにあると思います。
「死は祖母が助けた者の子孫を狙う」という設定は、ホラー映画に「家族の絆」や「世代間のトラウマ」という、意外なほど深い感情的なテーマを持ち込みました。
また、個々のデス・シーンの出来栄えも素晴らしく、批評家フランク・シェックが言うように、「巧妙に設計された、悪魔的なルーブ・ゴールドバーグ装置(ピタゴラスイッチ)の連鎖」が期待通りに、いや、予想を遥かに超えていました。
そして、トニー・トッド(Tony Todd)の存在は、本作を語る上で欠かせません。
彼は2024年に逝去しており、本作が彼の遺作となりました。
ブラッドワースとして彼が語る「命は尊い。一瞬一瞬を楽しめ」というセリフは、現実での彼の境遇を知っていると、非常に胸に迫るものがありました。
これは、単なるホラー映画のセリフではなく、彼からファンへの美しい送り出し(send-off)のように感じられます。
本作はシリーズの歴史を遡り、新しいルール(血統)を導入しつつ、最後に最も象徴的なシーン(丸太)で決着をつけるという、ファンへのサービスと革新性を両立させた傑作でした。
シリーズ全体が1968年の事故から始まった「死の修正」だった、というスケールの大きな考察を与えてくれた点で、私は本作を高く評価しています。
劇場で観客が笑い、拍手し、叫び声をあげるという、このシリーズならではの「お祭り感」も健在で、まさに「残虐なセットピースを緻密に実行し、差し迫った運命を途方もない楽しさに変えている」という批評家の言葉通りでした。
まとめ
日本公開に伴い、もし劇場で観る機会があれば、ぜひ日常に潜む「死のトリガー」を恐れながら、この究極のサスペンスとグロテスクな描写を楽しんでください。
すでに続編(第7作)の企画も動いているようですが、個人的にはこの『ブラッドラインズ』でブラッドワースの物語も含めて一つの美しい終焉を迎えた感があり、ここでシリーズを終えてもいいのでは、とも思ったりしますね。
ただし、ヤツの仕事は決して終わらないので、「死は常に決着をつけるべきスコアを持っている」という監督の言葉を信じて、続報を楽しみに待ちましょう。